第83回障害者政策委員会開かれる

2025年3月21日

令和7年3月12日、内閣府の「第83回障害者政策委員会」が中央合同庁舎8号館1階講堂をホスト会場として、オンラインを交えたハイブリッド方式で開催され、日本視覚障害者団体連合からは田中伸明日本視覚障害者団体連合評議員が構成員として出席しました。

今回は、まず、新たに委員に就任した人の紹介があり、その後、委員長の選出と委員長代理の指名が行われました。複数の委員の推薦を受けて熊谷晋一郎東京大学先端科学技術研究センター教授が委員長に選出され、曽根直樹日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科教授が委員長の指名を受けて委員長代理に就任しました。
次いで、障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画について事務局による説明の後に質疑が行われました。

これは、旧優生保護法国家賠償請求訴訟の最高裁判決を受け、「障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部」(総理が本部長、全閣僚で構成)が設置され、支援体制の構築、中央省庁の障害者差別解消法の「対応要領」の取り組みの強化、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」における「心のバリアフリー」の取り組み等のフォローアップと強化などを踏まえて、必要な対応策を検討し、新たな行動計画を取りまとめるもの。
これまで本部会議のほか、7回の幹事会や障害者団体等へのヒアリングを行っています。

田中委員は、一つ目の意見としてインクルーシブ教育の更なる取り組みを求めました。国連障害者権利委員会が日本政府に対して示した総括所見の中で、かなり強い表現でインクルーシブ教育を進めるよう勧告していることを踏まえて、インクルーシブ教育の専門家の意見を聞きながらモデル事業を立案するなど今一度踏み込んだ取り組みを実行していただきたいと述べました。

二つ目の意見としては、旧優生保護法による人権侵害への対応に長期間を要した事実を踏まえて、人権侵害の救済が迅速かつ確実に行われるようにするための体制を強化すべきと述べました。これに関連して、国連の総括所見において国内人権機関の設置が求められていること、司法手続きのアクセシビリティは情報アクセシビリティの観点だけでなく人権救済の面からも重要であることを付言しました。