厚労省及びこども家庭庁の障害児・者に係る合同会議開かれる

2024年12月5日

 令和6年11月14日、社会保障審議会障害者部会(第143回)・こども家庭審議会障害児支援部会(第8回)合同会議がベルサール六本木(地下1階ホール)においてオンライン参加も交えて開催され、日本視覚障害者団体連合からは竹下義樹会長及び大胡田誠将来ビジョン推進委員会委員長が構成員として出席しました。

 今回は公費負担医療におけるオンライン資格確認の導入が主な議題で、その他に就労継続支援A型の状況、株式会社恵への対応状況(行政指導を受けた後の別法人への一括承継)が取り上げられました。

 公費負担医療におけるオンライン資格確認について、健康保険証がマイナ保険証を基本とするオンラインの仕組みに移行するのと同様に、公費負担医療の分野においても、関係機関や行政機関等の間で必要な情報を安全に交換できる情報連携の仕組みを整備し、自治体システムの標準化の取組と連動しながら、介護保険、予防接種、母子保健、公費負担医療や地方単独の医療費助成などに係る情報を共有していくためオンライン資格確認を導入し、また、個人が行政手続に必要な情報を入力しオンラインで申請ができる機能をマイナポータルに追加するよう検討しているとの説明がありました。

 これに関して竹下会長は、マイナ保険証のオンライン手続きが顔認証にしても暗証番号入力にしても視覚障害者には使えず、メリットどころか不利益を被っていることを指摘し、その問題の解決を求めるとともに、公費負担医療におけるオンライン資格確認についても視覚障害者が使えるものにしてもらわないと困ると述べました。
 また、大胡田委員も視覚障害者が顔認証等を利用することは困難であることを指摘し、医療スタッフによる目視での確認が必要であるが、目視による確認のことを知らない医療関係者が多いことから、もっと周知してもらいたいと述べました。

 また、紙の資格確認書を使った場合は病院にかかった受診履歴を確認できないのかを質問したところ、オンライン資格確認の場合と異なり紙による資格確認の場合は履歴を確認できないとの回答があり、関連して、紙による資格確認のときもオンラインの場合と同様のメリットを享受できるようにしてもらいたいと述べました。

 オンラインの資格確認については、知的障害者や重症心身障害者も手続きが困難だとの指摘があり、そうした意見を受けて事務局は、現在の目視による確認はシステムの上で操作が複雑になってしまう面があり、今後、それを簡素化する予定であること、また、紙の資格確認書をいつまで発行するかは今のところ決まっていないことを説明しました。

 就労継続A型事業所について竹下会長は、令和6年3月から7月にかけてハローワークが把握した障害者の解雇者数4884人のうち、4279人が就労継続支援A型の利用者であり、8月末時点で就労継続支援B型事業所への移行者(予定を含む)は2073人に上ることに触れ、これだけの障害者が最低賃金を得られなくなるのは大きな問題だとして、こうした状況が続くようであればA型事業所の在り方を再検討する必要があると述べました。

 なお、株式会社恵の運営する障害者グループホーム等の一括承継については、承継先として株式会社ビオネスト(兵庫県神戸市)と基本合意書を締結し、令和7年1月末を目途に今後調整を進めることが報告されました。