厚労省及びこども家庭庁の障害児・者に係る合同会議開かれる

2024年11月20日

 令和6年10月22日、社会保障審議会障害者部会(第142回)・こども家庭審議会障害児支援部会(第7回)合同会議がベルサール飯田橋駅前(1階)においてオンライン参加も交えて開催され、日本視覚障害者団体連合からは竹下義樹会長及び大胡田誠日本視覚障害者団体連合将来ビジョン推進委員会委員長が構成員として出席しました。
 今回の議題は、障害福祉サービスデータベース(以下、障害福祉DB)における第三者提供についてでしたが、そのほか、同行援護のサービス提供責任者の資格要件の改正等についても説明がありました。

 障害福祉DBにおける第三者提供に関しては、次のような説明がありました。
 医療保険及び介護保険では既にデータベースの第三者提供が行われており、各々の専門委員会でガイドラインを設け、それに従って提供している。障害福祉DBも同様の方法を採る方針が以前の障害者部会と障害児部会で承認されたところであり、それにより専門委員会を開催してガイドラインの検討を始めた。ガイドラインには審査基準や提供に係る事務処理基準の内容が盛り込まれる。
 なお、第三者提供の際は社会保障審議会又はこども家庭審議会の意見を聴くべきことが法律で規定されている。仮名化情報については、匿名化情報と異なり、個人に仮名を割り当てて提供することから個人の時間的経緯による変化等を調査できるが、一方、個人が特定されないようにするための検討が必要であり、匿名と仮名の使い分けも重要になる。
 

 以上の説明に関して複数の委員から、個人が特定されないよう担保すべきこと、データベース管理者のヒューマンエラーへの対処も考えておくべきことが指摘されました。

 竹下会長は、障害児が成人の障害者になった場合、あるいは65歳になって介護保険に移行した場合の取扱いについて質問しました。これに関して、障害福祉DBは障害児と障害者の両方のデータを記録するものであり、「児」から「者」に移行したときの変化を研究する目的の申請があれば「児」と「者」の両方を提供することになるとの説明がありました。なお、DBにはサービスの請求情報と障害認定等の申請情報がその都度のタイミングで入力されること、介護保険に移行した場合の研究については、障害福祉DBと介護保険DBの両方に提供の申請を出してもらうことになる、との説明がありました。

 同行援護のサービス提供責任者の資格要件の改正については、
 1.同行援護従業者養成研修(一般課程)を修了した者で、3年以上視覚障害者の介護等の業務に従事したもの、
 2.同行援護従業者養成研修(応用課程)を修了したもの(相当する研修課程修了者を含む)も要件に加えるという内容で、必ずしも介護福祉士等の資格を持っていなくてもサービス提供責任者になれる、
との説明がありました。

 これに関して竹下会長は、サービス提供責任者の人材を確保しやすくなり、事業の拡大・継続につながるものとして歓迎すること、同行援護従事者の研修カリキュラムも改正されて従事者の資質向上が期待されるが、そのことも合わせて周知を図ってもらいたいことを述べました。
 また、大胡田委員は「3年以上視覚障害者の介護等の業務に従事したもの」という要件について、一口に3年の経験といっても、どのくらいの頻度で従事したかによって濃淡があるが、その目安をどう考えているかを質問しました。
 これに対し事務局は、「従来から3年の経験を要件とする項目があり、それに準拠するよう考えている。従来は期間の半分、3年であれば1年半の従事・就労期間を条件としている」と回答しました。

 そのほか、大胡田委員は、株式会社恵が運営するグループホーム事業所の指定取消処分が行われた件に関連して、全国101の事業所を一括譲渡するよう検討しているようだが、そうなると大手の業者しか受け手がない。しかし、各地域で質の高いサービスを提供する中小の事業所が参入できなくなるのではないかと質問しました。
 これに対して事務局から、必ずしも一括譲渡をめざしているわけではないが、なるべく全地域でサービスが切れ目なく実施されるよう速やかな譲渡を図る必要があり、サービスの質の確保と合わせて検討したいとの回答がありました。