第80回障害者政策委員会開かれる 

2024年10月23日

 令和6年10月8日、内閣府の「第80回障害者政策委員会」が日本財団ビル2階会議室をホスト会場として、オンラインを交えたハイブリッド方式で開催され、日本視覚障害者団体連合からは田中伸明日本視覚障害者団体連合評議員が構成員として出席しました。
 今回は、障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部の設置についての報告のあと、障害者基本計画(第5次)の実施状況について各担当省庁から説明があり質疑が行われました。

 障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部の設置に関しては、
1.結婚、出産、子育てを含めた希望する生活の実現に向けた支援の取組の推進、
2.各府省庁における職員の研修・啓発の点検、
3.ユニバーサルデザイン2020(心のバリアフリー等)のフォローアップ・取組強化、
4.障害当事者の意見を反映する体制の構築
の4つの柱について進捗状況の報告がありました。
 
 障害者基本計画(第5次)の実施状況については各委員から幅広い意見が出されましたが、日視連の田中委員は次の意見を述べました。
1.障害者差別解消法に関わる広報に関して、直接差別だけでなく関節的な差別や合理的配慮の不提供も差別であること、また、複合的差別(障害のある女性等への差別)があることも広報・啓発の内容に盛り込んでもらいたい。これらは国連障害者権利委員会の一般的意見に明記されている。
2.入学試験や国家試験の合理的配慮について、点字試験等の実施の際に1.5倍の時間延長が行われていることが多いが、一律に延長幅を決めるのではなく、試験の長さや回答に係る作業量に考慮して時間延長を設定してもらいたい。もちろん公平性の観点は忘れてはならないが、国際的な事例も参照しながら配慮してもらいたい。
3.情報アクセシビリティに関して、情報通信機器の企画・開発・提供に当たっては、JIS規格等に準拠した開発だけでなくユーザーテストを行ってもらいたい。特に国の方針として導入する情報通信技術は、全ての国民が利用できることが前提になるべきであるが、視覚障害者が単独では利用できないタッチパネル方式が広く普及している。今後、国の施策としてますますデジタル化が進められると思うが、開発に当たっては是非ユーザーテストを行ってもらいたい。
4.防災対策に関して、災害時の情報提供、避難所や仮設住宅のバリアフリー化が書かれているが、災害が発生した後はもとより、事前の準備も大事である。どのような情報提供をすれば障害者に適切に届くのか、避難所においてプライバシーを保護するにはどうしたら良いかなど、国として具体的な内容を盛り込んだ準備を行ってもらいたい。
5.司法手続き上の配慮に関して、これは合理的配慮とは異なる。したがって、過度な負担がある場合は提供しなくても良いという制約を受けない。このことを改めて協調しておきたい。司法手続きにおいて公費により手話通訳者を確保するなど十分な予算を確保してもらいたい。