第132回労働政策審議会障害者雇用分科会開催

2024年7月29日

 令和6年7月9日、厚生労働省の「第132回労働政策審議会障害者雇用分科会」が厚生労働省3階共用第6会議室をホスト会場としてオンライン参加を交えて開催され、日本視覚障害者団体連合からは田中伸明評議員の代理で吉泉豊晴情報部長が参考人として出席しました。
 
 今回の議題は、2023年度の年度目標に係る評価及び2024年度の年度目標の設定で、2023年度の実績と評価については事務局から次の説明がありました。
 なお、目標値は前年の実績以上とすることを原則としています。
 1.ハローワークにおける障害者の就職件数は11万756件(目標値10万3163件以上、目標達成)
 2.障害者の雇用率達成企業割合は調査中(目標値46.6%以上)
 3.障害者雇用ゼロ企業のうち新たに障害者を雇用した企業の割合は調査中(目標値15.2%以上)
 4.精神障害者雇用トータルサポーターの相談支援を終了した者のうち就職に向けた次の段階へ移行した者の割合は84.3%(目標値78.8%以上、目標達成)

 ここで「調査中」とされているのは2024年の障害者雇用状況報告(いわゆる6・1調査)の結果待ちのことで、例年12月に公表される。ハローワークの就職件数が伸びた背景には、新規求職申込件数が対前年比で約7%伸びたこと、法定雇用率引き上げの影響下で障害者専用求人数の全数が対前年同期比9.5%増加したことがあるとの分析が示されました。
 
 吉泉参考人は事務局の説明に関連して次の2点を述べました。
 1.ハローワークの一般職業紹介状況では新規求職件数と就職件数の他に紹介件数が示されているが、障害者の職業紹介ではそれが示されていない。紹介件数はハローワークの介入・実績をダイレクトに示すデータなので障害者についても示してもらいたい
 2.令和4年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)によると、「仕事をしている」と回答した人のうち19~64歳の状況をみると、障害者向け求人に応募して就労している割合が身体障害22%(視覚障害23%)、知的障害29%、精神障害27%と、いずれも3割に達していない。障害者雇用率制度が果たしてきた役割は大きいと思うが、その一方で、より広い視野でみると障害者向け求人に応募する障害者の割合が必ずしも大きな割合を占めているわけではない。法定雇用率の引き上げを見据える中で、今後の更なる障害者雇用を促進するにはどうしたら良いかを、過去の実績と比較するだけでなく、広い視野から検討してほしい
 
 これに対して事務局からは、ハローワークにおいて障害のある求職者には手厚く支援しており、大半の新規求職申込者に職業紹介をしていると思われること、紹介件数の提示が可能かどうかについてはテクニカルな側面も踏まえて検討する必要があること、生活のしづらさなどに関する調査は2022年時点の無作為抽出による調査なので職業紹介状況や6・1調査と単純な比較はできないと思うが、政策を検討していく際には各種の調査を参考にしたいことの回答がありました。
 このほか、「ハローワークにおける障害者の就職件数」に対する評価の参考指標として、就職した障害者の定着率についても令和6年度から把握していくこととする旨が事務局から説明され、複数の委員からそれを評価するとの発言がありました。