厚労省「第140回障害者部会」開催

2024年3月22日

 令和6年3月5日、厚生労働省の「第140回社会保障審議会障害者部会」がベルサール飯田橋駅前(1階)においてオンライン参加も交えて開催され、日本視覚障害者団体連合からは竹下義樹会長が構成員として出席しました。
 今回の議題は、1.令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等について(報告)及び2.障害福祉サービスデータベースにおける第三者提供についての2つで、それぞれ事務局から説明があった後、質疑応答が行われました。

 障害福祉サービス等報酬改定等について竹下会長は、次の3点を述べました。

1.地域移行支援体制加算(新設)の「グループホームから希望する一人暮らし等に向けた支援の評価」は、重要な新しい取り組みだと思う。その運用や適用要件等を分かりやすく解説した文書(Q&Aなど)を作成し、取り組みを進めてほしい。
2.いわゆる65歳問題に関連して懸念を述べておきたい。今回の報酬改定で、障害福祉サービスと介護保険サービスの両方とも報酬単価が引き上げられたが、介護保険の訪問系サービスの単価は引き下げられた。これまで障害者が65歳になったときに障害福祉から介護保険に移行することについてトラブルにならないよう考慮されてきたはずだが、介護保険の単価が下がることによって、障害者の意向に反して介護保険に移行させられる傾向が強まるのではないかと懸念している。行政としてはどう考えるか。
3.今回、補装具の基準額改定も行われている。これは3年ごとに見直しが行われるとのことだが、3年後も「補装具評価検討会」が開催され、その結果を受けて改定するという手順になるのかを確認したい。

 介護保険との関係については事務局から次のような説明がありました。

 65歳以上の高齢障害者について障害福祉と介護保険の適用関係が今回の報酬改定によって変わるものではない。障害福祉と介護保険それぞれが財政状況等を勘案して別個に報酬改定を行っており、両者間で調整するものでないため関係性をどうするか難しい面はあるが、ご指摘のような懸念が生ずるかどうか注視していきたい。
 これに対し竹下会長は、障害者の立場からすると、制度的に障害福祉の居宅介護から介護保険の訪問介護に移行するといっても、実態としては連続して同じようなサービスを受けるものであり、その中で訪問介護の単価が下がってしまうのは不合理と言わざるを得ないと述べた。
 これを受けて菊池部会長が、介護保険の報酬改定の際に障害者の意見を聞き取っていたかどうか確認し、聞き取っていない場合は介護保険の分野でも障害者の意見が反映されるようにすることが今後の課題となると述べました。
 
 補装具の基準額改定については、3年後の見直しの際も市場価格等のデータを調べ、補装具評価検討会で検討した上で改定すること、ただし、検当会のメンバーは変更される可能性があることが事務局により説明されました。
 障害福祉サービスデータベースにおける第三者提供は、令和5年4月から作成がスタートした障害福祉サービスデータベース(匿名化されたもの)を研究目的で使用する第三者に対し提供するもので、提供の有無の判断基準(ガイドライン)を設けた上で、個々の提供申請を認めるか否か「匿名障害福祉及び障害児福祉情報等の提供に関する専門委員会」(以下、専門委員会)で協議することが事務局より説明されました。
 
 ガイドライン(案)は専門委員会が作成し、それが社会保障審議会障害者部会及びこども家庭審議会の承認を得て正式なものとなる。医療保険のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)及び介護保険総合データベース(介護DB)の両者は、より早い時期から作成されており、その第三者提供は同様の方法で行われている。これに関連して、「専門委員会に障害当事者もメンバーとして加えてもらいたい」との意見が出されました。
 そのほか、令和4年度の障害者虐待事例への対応状況調査(毎年実施)の結果について事務局から説明があり、養護者及び障害福祉施設従事者等による障害者虐待について、それぞれ相談・通報件数、虐待判断件数、被虐待者数がいずれも増加し、特に、障害福祉施設従事者等による虐待判断件数が大幅に増加したこと、施設従事者虐待の虐待判断件数については、施設・事業種別では共同生活援助、施設入所支援、生活介護の順に多く、障害種別では知的障害者や行動障害のある者の割合が高いことなどが報告されました。