第3回全国団体長会議開かれる

2024年3月7日

 令和6年2月14日、第3回全国団体長会議が日本視覚障害者センター研修室をホスト会場として、オンラインで開催されました。
 
 会議は、全国の加盟団体の代表者が参加し、後藤英信日本視覚障害者団体連合常務理事の司会、土屋昭男堺市視覚障害者福祉協会会長及び木村弘美新潟県視覚障害者福祉協会理事長の議事進行により進められました。
 
 まず冒頭にて、日本視覚障害者団体連合相談役の小川幹雄氏が2月に逝去されたことに黙祷を捧げ、続いて、竹下義樹日視連会長は挨拶の中で、能登半島地震における視覚障害者支援の状況に触れつつ災害支援策の重要性について述べ、また、国連障害者権利委員会の総括所見を踏まえながら日視連の運動を展開していく必要があるが、そうした大きな視点を念頭に置きつつ日々の経験に基づき来年度の事業計画・運動方針に意見を出してほしいと述べました。
 
 議事では、まず日視連の将来ビジョン推進委員会の「総括所見に関する検討中間報告書(案)」について大胡田誠委員長及び舟崎隆副委員長より説明が行われました。
 
 大きな柱建てとしては次の3つです。
1.自立した生活及び地域社会への包容:障害者が地域で誰と暮らすかを選択でき、生活形態も自ら選択できること、障害者が自分の生活をコントロールできるようにすることをめざす。
2.教育:「インクルーシブ教育推進会議(仮称)」を設置するなど、具体的な方策を打ち出し、活動を進める。
3.労働及び雇用:進路選択における個人の意思の尊重や能力開発の充実を前提にしつつ、各自がその力を発揮し、生きがいを持って社会と関われるようにするため、福祉的就労が持つ意義を踏まえながら一般労働市場への移行を進める。
 
 関連する質疑では、グループホームの位置づけをどう解釈するか、視覚障害者の立場からインクルーシブ教育の意味をとらえる必要がある、特別支援学級や特別支援学校の専門性にも着目することが必要といった質問・意見が出されました。

 これに対し、国際的にはグループホームも入所施設と位置づけられているのに対し日本では入所施設とは異なる位置づけであるが、位置づけはともあれ多様な暮らし方が選択できることが大事であること、関連して、福祉施設入所者は同行援護を利用できないが、グループホーム入所者は同行援護を利用できることが説明されました。教育関連では、社会のインクルーシブと同様に教育においてもインクルーシブの実現が重要であるが、現状において特別支援学校等が果たす役割や意味も大きいことを踏まえて取り組んでいきたい旨が説明されました。

 次に、令和6年度事業計画及び取り組みについては組織部から説明がありました。
続いて意見交換に入り、インターネットでJRの乗車券を購入する場合に障害者割引を受けられるかどうか、協議会(青年協・女性協・スポーツ協)の取り組みを説明してほしい、駅ホームの安全性確保に向けて各加盟団体から意見を出してほしいといった質問・意見がありました。JRの割引乗車券はマイナポータルに登録していればネット経由で購入できるが、マイナポータルの登録が簡単ではないという課題があること、駅ホームの安全性確保については事務局としても事業計画・運動方針にどのように盛り込めるか検討したいことが説明されました。

 また、協議会の取り組みについては、青年協からは研修等の機会を通して活動の活性化に取り組むこと、女性協からは協議会大会と合わせて女性相談会に取り組むこと、スポーツ協からはインクルーシブ教育を受けている児童・生徒へのブラインドスポーツの普及や高齢視覚障害者へのスポーツの機会の拡大に取り組むことが述べられました。

 拡大読書器に関する要望書については、井上賢治東京都眼科医会・副会長より、物価高騰等の影響により拡大読書器の価格が高騰している一方で、その給付基準額が据え置かれているため高額な自己負担が発生することから、日本ロービジョン学会、日本眼科学会、日本眼科医会、日本視能訓練士協会が給付基準額見直しの要望書を全国の自治体に提出したことが説明され、視覚障害当事者団体として日視連にも協力してもらいたい旨が述べられました。

 これに関連して竹下義樹会長は、拡大読書器が単なる便利な道具ではなく生活の質を維持する上で不可欠なものであることをアピールしつつ日視連の加盟団体が各地の眼科医会と協力しながら要望書を提出していきたい旨が述べられ、また、各加盟団体からは給付基準額の引き上げを要望したが認められなかった事例や引き上げられた事例等の報告がありました。