第3回視覚障害者公務員交流会 開催

2024年2月22日

 2月3日(土)、日本視覚障害者団体連合(以下、日視連)主催による第3回視覚障害者公務員交流会が東京都新宿区西早稲田の日本視覚障害者センターでオンライン参加を交えたハイブリッド方式で開かれました。
 国や地方自治体などで働いている視覚障害者26名、就労支援者7名、そのほか主催者等計41名が参加しました。
 はじめに竹下義樹日視連会長から公務部門で働く視覚障害者の生の声を日視連の運動に反映させたいとの挨拶があり、その後、第1部では3名による基調報告、第2部では視覚障害公務員各人の近況報告が行われました。
 
 第1部の基調報告では、次の3つの報告がありました。
1.現在新潟県視覚障害者福祉協会会員、認定NPOタートル相談スタッフであり、地方公務員として働いている清水晃氏による「視覚障害公務員として働き続けるために」と題した視覚障害当事者の立場からの報告(公務員を続ける上で必要なスキル、自らの経験と課題、障害者活躍推進計画等について)
2.日視連総合相談室相談員(雇用・労働担当)の相沢保氏による「公務職場と視覚障害者の活躍」と題した支援者の立場からの報告(公務職場の「障害者雇用率不適切」問題の実態、障害者雇用促進法の改正と労働政策の転換等について)
3.日視連評議員の田中伸明氏による「総括所見と目指す方向性」と題した国連障害者権利委員会の日本審査に立ち会った立場からの報告(国連の総括所見が持つ意義、国内法である国家公務員法と地方公務員法が持つ意義等について)

 第2部では公務員として働いている各人の経験が報告されました。主な内容は次のとおりです。
1.障害について理解が得られるか否かにより業務のやりやすさが大きく左右されるが、理解が得られない場合、相談体制が重要になる。しかし、現状では相談支援員がいたとしても、視覚障害の理解が不十分な場合がある。理解してもらうためのアピールを自分一人で行うのは心理面等で負担が大きい。
2.職場において障害者同士の交流の機会があればと思うが、横のつながりがなくコーディネーターやアドバイザーもいない。
3.紙による情報のやりとりが多く読み書きに負担を感じる。拡大読書機を使って対応するが疲労が大きい。今後障害が重くなったらどうなるか不安。
4.ロービジョンで苦労しながら仕事をこなしているが、それが裏目に出て「視覚障害があるなんて嘘だろう」と言われてしまう。ロービジョンを理解してもらうことの難しさがある。
5.補助機器やソフトウェアの導入に理解が得られず苦労する。民間部門では助成金があるが、公務部門では助成金を使えないため上司の理解がないと導入してもらえない。
6.補助機器やソフトウェアを導入できたとしても、それを使いこなすスキルを習得する必要があるが、そのための支援を受けられない。公務員は公的な能力開発制度の活用が認められないことが多い。
7.画面読み上げソフトではデータ共有システムにアクセスできない。また、テレワークも難しい。視覚障害者が使えるシステムが望まれる(なお、テレワークについては数名が実際に行っていると挙手した)。
8.いわゆる水増し問題で採用された障害者は、比較的年齢が高い中途採用で、給与水準が低いままに抑えられているケースが大半。要求して特別昇給したが、それがないと退職後の生活に大きく影響する。

 なお、日視連では、参加者各人に「視覚障害公務員職場等の満足度に関するアンケート」を行い、交流会で出された意見と合わせて整理した上で、働く環境改善の要求につなげていくとともに、今後も交流の機会を設けていきます。また、今回の交流会に参加できなかった全国の地方自治体などで働いている視覚障害者で、就労上抱えている問題などがある場合、日視連総合相談室までご連絡ください。

【お問い合わせ】
日本視覚障害者団体連合 総合相談室
電話:03-3200-0011 番号:5(平日 午前10時~12時、午後1時~4時)
メール:soudan@jfb.jp