第130回労働政策審議会障害者雇用分科会
令和5年12月27日、厚生労働省の「第130回労働政策審議会障害者雇用分科会」が厚生労働省専用第15会議室をホスト会場としてオンラインで開催され、日本視覚障害者団体連合からは田中伸明評議員が構成員として出席しました。
今回の議題は2023年度の年度目標に係る中間評価についてでしたが、そのほか、令和5年障害者雇用状況の集計結果(6月1日現在の状況を取りまとめたもの)及びいわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組にも取り上げられ、それぞれ事務局より説明が行われた後で質疑が行われました。
田中評議員は次の2点について発言しました。
1.障害者雇用ゼロ企業について、ゼロ企業脱却割合が上昇しながらも目標達成までには至らなかったとのことだが、改善のためにはゼロ企業の更に詳しい分析が必要と考える。たとえば、ゼロ企業の企業規模別の状況は示されていないと思うが、実態として、おそらく規模の小さい企業が多いのではないかと推測される。規模が小さいと、新たに障害者雇用に取り組むことの大変さがあるのかもしれないが、一方、顔の見える暖かい職場環境という特徴があり、障害者雇用の潜在的可能性を秘めているともいえると思う。中小企業の関係団体と協力しながら、ゼロ企業脱却割合を上げるよう努めてもらいたい。
2.6月1日現在の障害者雇用状況が障害類別に細かく示されているが、きめ細かな施策を検討・実行する上でその分析が必要である。たとえば、雇用されている身体障害者に占める視覚障害者の割合を算出してみると5.6%であるが、一方、2016年の生活のしづらさ調査をみると、身体障害者数に占める視覚障害者数はもっと高い。つまり、雇用されている視覚障害者が相対的に低い水準にあることが分かる。きめ細かな施策推進に生かせるよう更なる分析をお願いしたい。
これに対し事務局から次のような説明がありました。
障害者雇用ゼロ企業の状況をみると、ご指摘のとおり小規模のところが多い傾向にあり、100人未満企業がゼロ企業の86%程度を占めている。一方、中小企業の中にも障害者雇用を伸ばしているところもあるので、そうした企業の取り組みを参考にしつつゼロ企業脱却割合を上げるよう努めたい。6月1日現在の障害者雇用状況については、身体障害者の類別状況を昨年から調査することとなった。今後、そのデータの分析も参考にしながら、ゼロ企業対策をはじめとする各施策に生かしていきたい。そのほか、いわゆる障害者雇用ビジネスについては、障害者の働く場の確保・拡大という面がある一方で、実雇用率の引き上げのために雇用されているのであって働きがいを実感できないということになりかねず、障害者雇用促進法の理念を徹底してもらいたいとの発言が複数の委員からあった。