第77回障害者政策委員会開かれる
令和5年11月13日、内閣府の「第77回障害者政策委員会」が中央合同庁舎8号館6階623会議室をホスト会場として、オンラインを交えたハイブリッド方式で開催され、日視連からは田中伸明 日本視覚障害者団体連合評議員が構成員として出席しました。
今回は、前回に引き続き障害者基本計画(第4次)の実施状況について各省庁から説明があり質疑が行われました。
第4次基本計画の実施期間は平成30年度から令和4年度の5年間でありますが、令和3年度・4年度の実施状況が中心に取り上げられました。
田中評議員は、以下の二つの質問を行い、一つの意見を述べました。
1.デジタル庁への質問:
現在進められている各種裁判手続きのデジタル化に関して、法務省及び最高裁判所との連携の状況を教えてほしい。裁判手続きは国民の権利にかかわる非常に重要な要素であり、そのアクセシビリティの確保が大事であるが、そこにおいてデジタル庁が重要な役割を担っていると認識している。デジタル庁内のサービスデザインユニット、アクセシビリティチームに視覚障害当事者が勤務していると聞いている。その知見やノウハウを裁判手続きのデジタル化にも是非生かしてもらいたい。
2.文部科学省への質問:
一般の学校で勤務する障害のある教職員の数を把握しているようであれば教えてもらいたい。インクルーシブ教育を進めていく上で、障害のある教職員が一般の学校で働いているという状況は一つの大きな要素になる。そのことによって周囲の教職員あるいは生徒の障害に関する理解が促される。それがインクルーシブ教育の環境の整備につながると考える。
3.デジタル庁、総務省、経済産業省にかかわる意見:
現在、社会のデジタル化が進められており、障害者基本計画(第5次)にも情報アクセシビリティの項目が設けられている。その一方で、タッチパネル方式のセルフレジやコインロッカーが非常に多く視覚障害者には使えない状況になっている。また、マイナンバーカードと健康保険証の一体化においても、その利用に必要なカードリーダーがタッチパネル方式であり利用困難である。そうした現状を考えると、国連障害者権利委員会の総括所見のパラグラフ46の勧告が国内で十分に実施されているかどうか、今一度検証する作業が必要であると考える。障害者基本法では、第22条に情報アクセシビリティの規定があり、その第3項が「努めなければならない」という努力義務になっているが、それで十分といえるかどうか、他の法令やその運用とも合わせて、基本法改正の要否を検討する必要があると考える。国連障害者権利委員会の総括所見をどのように受け止めるのかについて、また、障害者基本法改正の要否について、この障害者政策委員会において検討すべきであり、継続的に開催することを含めて、意見として申し上げておきたい。
これに対しデジタル庁からは、裁判手続きのデジタル化に関しては裁判所と連携しながらシステムの開発を進めており、様々な人が利用できるものとなるようシステムを構築していること、タッチパネル方式にかかわる課題は認識しており、民間部門のプロダクションに指示を出す権限はないものの、アクセシビリティに関するガイドブックなどを通して、タッチパネル方式を実装する場合にはその課題を解決できる代替手段を設けるよう啓発していきたいことが説明されました。