第137回社会保障審議会障害者部会開かれる

2023年11月6日

 令和5年9月28日、厚生労働省の「第137回社会保障審議会障害者部会」がベルサール飯田橋駅前(1階)においてオンライン参加も交えて開催され、日本視覚障害者団体連合からは竹下義樹会長が構成員として出席しました。
 
 今回は障害保健福祉施策の動向として、
(1)令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について、並びに(2)市町村における精神保健に係る相談支援体制整備の推進について、それぞれ事務局から説明があり質疑が行われました。
 
 障害福祉サービス等報酬改定について竹下会長は次の3点を述べました。
(1)訪問系サービス、とりわけ同行援護の報酬について、短時間利用の場合に比べ、長時間利用になると、大きく減少する仕組みになっている。そうすると、公共交通機関の便がよくない地方では長時間の利用となってしまい報酬が少なくなることから、ガイドヘルパーや同行援護事業所の確保が難しくなる。そうした実態を改善するため、報酬の見直しをお願いする。また、昨今の物価高やヘルパーの人材不足にかんがみ、報酬を適正な水準にしてもらいたい。
(2)生活訓練・機能訓練の利用において矛盾がみられる。たとえば、中途視覚障害者が歩行訓練を受けようとするとき、訓練施設まで自力でいくのが難しいことから、同行援護を利用しようとすると、福祉サービスの重複利用になるとの理由で認められない。結果、自力で移動できるようになるための歩行訓練を受けられないという不都合な状況になってしまう。そうした福祉サービスの谷間をつくらないよう改めてもらいたい。
(3)相談支援に関連して、眼科を受診する患者で視力低下に悩む人がなかなか福祉につながれない実態がある。それを改善するには相談員が病院に出向いて相談に当たれるようにするなど、医療と福祉が連携する仕組みを構築する必要がある。報酬改定の際、そのような連携が実現しやすいものになるよう検討してもらいたい。
 
 そのほか、他の委員から視覚障害者に関連する意見として次のような発言がありました。
(1)視覚障害者が地域生活を送る上で、移動の問題があるわけだが、特に交通インフラが整っていない地域では移動が困難であり、同行援護等を思うように利用できない実態がある。また、新型コロナ感染症の影響で、同行援護等の利用が減少した。その少ない利用実績を基に報酬を検討したのでは適切な改定にならない可能性があるので、工夫してもらいたい。
(2)視覚障害者が入院した場合は、慣れない病室で苦労し、看護師等の医療スタッフが視覚障害者への対応に慣れていないため、不便を強いられる場合がある。資料に「重度障害者が入院した際のコミュニケーション支援の充実」とあるが、視覚障害者への支援も考慮してもらいたい。