第129回労働政策審議会障害者雇用分科会開催
令和5年6月12日、厚生労働省の「第129回労働政策審議会障害者雇用分科会」が中央労働委員会612会議室をホスト会場としてオンラインで開催され、日本視覚障害者団体連合から竹下義樹会長に代わって新たに構成員となった田中伸明評議員が出席しました。
議事に先立って、複数の構成員の交代に伴い分科会長及び会長代理の選任が行われましたが、会長は引き続き山川隆一明治大学法学部教授が、また、会長代理は渡邊絹子筑波大学ビジネスサイエンス系准教授が勤めることとなり、田中評議員を含む新たな構成員の紹介がありました。
議事では1.法改正に伴う令和6年度施行分の政令・省令・告示案要綱について(諮問)並びに2. 2022年度の年度目標に係る評価及び2023年度の年度目標の設定について事務局から説明があり質疑が行われました。
議題1.の障害者の雇用の促進等に関する法律の改正に伴う政令・省令・告示案要綱の主な内容としては、障害者雇用調整金の支給額の調整、障害者雇用関係助成金の拡充、特定短時間労働者等に関する特例のほか、加齢により職場への適応が困難となった中高年齢等障害者の雇用継続への支援、障害者雇用に関する相談援助のための助成金の創設、不正受給対策等がある。これらについて、運用面で実態を調査しニーズに合った形で適正に施行するよう求める意見等があったが、内容に関して意義はなく、答申(案)が了承された。
議題2.の2022年度の実績評価及び2023年度の目標の設定については、新型コロナ感染症の影響下でもハローワークにおける就職件数や実雇用率等が伸びたことを評価する発言があったが、一方、2023年度の目標設定には若干の異論が出された。前年度の実績を参考にして、それを上回ることを目標にするのが原則だが、2020~2021年度はコロナ禍で実績が大きく低下したことを踏まえ、前年度ではなくコロナ禍前の実績を参考にした。ただ、2022年度の実績がほぼコロナ禍前の水準に戻ったため、事務局は、原則に立ち返って2022年度の実績を参考として目標の案を示した。しかし、ハローワークにおける就職件数についてはコロナ禍前の水準より若干低い値になっており(10万3163件から10万2537件に引き下げられる形)、前年度より低い値を目標とすることに疑問の声が複数出され、それを受けて、高い値の方を目標とするよう修正することで了承された。
その他、障害者雇用ビジネス(企業が別法人と契約して、農園等を障害者の働く場とするもの)の実態調査を踏まえて作成したリーフレット(事業主に対し望ましい障害者雇用のポイントを示すもの)、障害者のテレワーク雇用を推進する企業向け相談窓口の開設について事務局から説明があり、望ましい障害者雇用のポイントの一つに多様性(ダイバーシティ)の効果も加えた方がいいのではないかといった意見が出されました。