第76回奈良大会でシンポジウム開催

2023年5月26日

 第76回全国視覚障害者福祉大会(奈良大会)1日目の5月21日奈良県橿原市のDAIWA ROYAL HOTEL THE KASHIHARAにおいて「踏切と横断歩道の安全を考えるシンポジウム」が開催されました。
 令和3年8月に静岡県三島市で、令和4年4月には奈良県大和郡山市で、踏切内において視覚障害者が列車と接触し死亡する事故が起きました。それらの事故を振り返り、二度と起こらないようにするべく、その方策を考える目的で企画・実施されました。
 始めに、日本歩行訓練士会の古橋友則会長による「静岡・奈良での視覚障害者踏切事故と、道路横断を含めた日本歩行訓練士会の取り組み」と、国土交通省道路局企画課大西良平課長補佐による「国土交通省が進める安全対策について」と題した基調報告が行われました。
 その後、コーディネーターとして慶応義塾大学経済学部中野泰志教授と、登壇者として奈良県視覚障害者福祉協会の役員を加え、パネルディスカッションが行われました。登壇者の方々に、実際に踏切や横断歩道を歩いた時の実感やひやりとした体験などを伺いながら、報告者である古橋氏や大西氏の意見も交えて議論は進められました。視覚障害者の踏切と横断歩道における危険な現状を把握し、安全対策を進める方策を探る討論の場となりました。
 最後に今回のシンポジウムの締めくくりとして、視覚障害者が「踏切と道路を安全かつ安心して横断できることを実現するための奈良宣言」が満場一致で採択されました。
 日本視覚障害者団体連合竹下義樹会長は「今日のシンポジウムはスタートに過ぎない。視覚障害者の踏切や横断歩道における問題というのはまさに緊急の課題であって、命が奪われた後では取り返しがつかない。これまで犠牲になった人達の命を無駄にしないためにも、速やかに問題に取り組んでいかなければならない。今日のシンポジウムや奈良宣言の内容を国に要求するだけでは不十分であり、日視連が国交省と連携していき、我々ができることをしなければいけない。自分たちで、我々の仲間たちがより安全に社会参加、日常生活が送れるような環境をつくると決意したい」と総括しました。

 シンポジウムの模様は日視連YouTubeチャンネル( URLは、こちらから )でアーカイブ配信されています。現在視聴可能となっているアーカイブ版は、編集版の動画を日視連YouTubeチャンネルで公開し後に非公開となります。ご注意ください。