第128回労働政策審議会障害者雇用分科会
令和5年4月17日、厚生労働省の「第128回労働政策審議会障害者雇用分科会」が厚生労働省職業安定局第1・2会議室をホスト会場としてオンラインで開催され、日本視覚障害者団体連合の竹下義樹会長が構成員として出席しました。
今回は、令和6年度から実施される新設助成金の設定及び既存助成金の拡充(雇用相談援助助成金の事業者要件等を含む)について事務局より案が示され、質疑が行われました。
助成金の拡充では、職場介助者に係る助成金において事務的な業務とそれ以外の業務の統一が行われ、あはきをはじめ、事務職以外の雇用者が多くの介助を受けることができるようになります。
また、介助者等の配置及び委嘱について、申請期間が雇入れから一定期間とされていますが、職務内容の変更等があれば再度認定申請できることが明確化されます。新設予定の障害者雇用相談援助助成金については、相談援助の質の担保を図るため、労働局長の認定を受けた事業者が、事業を行った場合に助成金を支給することとし、認定に当たっては、申請事業者の障害者の一連の雇用管理に関する相談援助の実績等を確認することとされています。
竹下会長は、新設助成金の設定及び既存助成金の拡充について提示された案に賛成した上で、それらが広く周知されるようパンフレットなどを作成する、あるいは説明会を開催するなどの予定はないのかを質問しました。これに対し事務局からは、分かりやすくなるよう内容を工夫した上でパンフレットを作成・配布する予定であること、説明会についても全国の労働局等を通して開催していくことの回答がありました。
そのほか、いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について事務局から説明がありました。障害者雇用ビジネスとは、形式的に雇用率の達成を目的として、障害者を雇用する法人(いわば代行業者)と契約して自社の障害者雇用とするものであり、就業場所(農園やサテライトオフィスが多い)や就業内容が企業の本来の場所や業務とかけ離れていて、障害者の能力発揮に配慮されていないなどの問題が指摘されています。
これに関して竹下会長は次の2点を指摘しました。
1.農福連携等の好事例が障害者雇用ビジネスとしてネガティブにとらえられるようなことがあると、むしろ障害者雇用にとってマイナスとなる。好事例と不適切な事例とが明確に区別されるようにすべきである。
2.不適切な障害者雇用ビジネスは様々な手法を用いて法の網の目をくぐろうとすると聞く。不正を取り締まるため実態を把握する際は、通り一遍ではなくきめ細かな方法で把握する必要がある。
※詳細は第128回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)(URLは、こちらから)を参照。
なお、現在の委員構成で開催する雇用分科会としては最後の会議となり、竹下会長も交代することとなるため、長年委員として務めることができたことに謝意を表すとともに、果たしてきた役割に満足していると挨拶しました。