第123回労働政策審議会障害者雇用分科会  

2023年2月10日

 令和5年1月18日、厚生労働省の「第123回労働政策審議会障害者雇用分科会」が同省の職業安定局第1会議室をホスト会場としてオンラインで開催され、日本視覚障害者団体連合の竹下義樹会長が構成員として出席しました。
 
 今回は、障害者雇用率について(案)の諮問を受けて、議論が行われた他、今後の検討項目とスケジュールについて説明が行われ、障害者雇用対策基本方針改正案なども一部審議されました。
 
 事務局から、令和5年度からの障害者雇用率の設定等について、以下のような説明がありました。
 
 1.新たな雇用率の設定について、令和5年度からの障害者雇用率は、2.7%とする。ただし、雇入れに係る計画的な対応が可能となるよう、令和5年度においては2.3%で据え置き、令和6年度から2.5%、令和8年度から2.7%と段階的に引き上げることとする。国及び地方公共団体等については、3.0%(教育委員会は2.9%)とする。段階的な引上げに係る対応は民間事業主と同様とする。

 2.除外率の引下げ時期について、除外率を10ポイント引き下げる時期については、昨年6月にとりまとめられた障害者雇用分科会の意見書も踏まえ、雇用率の引上げの施行と重ならないよう、令和7年4月とする。
 
 3.事業主向けの支援について(省略)、
 
 以上のような雇用率の引き上げについて、使用者代表からこぞって異論が続出したため、分科会長の判断で一時審議を中断し、二段階に分けての引き上げの時期について、改めて引き上げの経過措置を令和8年6月30日に引き延ばした諮問案が読み上げられました。後半の引き上げ期日は4月1日から7月1日に修正されて、引き続き意見交換が行われ、厚生労働省案は概ね妥当として、分科会長から労働政策審議会会長に報告することが了承されました。
 
 審議の中で、竹下会長は次のように意見を述べました。
 これまでの企業の努力によって障害者の雇用が大きく前進してきたことには感謝を申し上げたい。考えるべきことは、障害者が働きたいという希望を持った時に、その人たちが就職できる環境を作ることが究極の目標だと思う。その手法として、法定雇用率があり、今回の2.7%は、法律に基づいて算定された、現時点における障害者雇用の最低実現したい目標と理解している。本来ならば、令和5年4月から引き上げられるべきであるが、熟慮期間を経たとしても、令和6年4月から2.7%に、直ちに引き上げられるべきだろうと率直に思う。しかし、激変緩和あるいは企業の努力を継続的にお願するという意味からも、段階的にというのは、けだし止むを得ない。事務局案として令和6年と令和8年の段階的引き上げが示されたが、これは法律に基づくというよりは、事務局の緩和策として出てきたものである。強く言いたいのは、除外率の引き下げの問題である。本来廃止すると決めていながら未だに実現されていない。本来もっと加速度的に廃止に向けて除外率を下げていくべきである、これもいわば激変緩和という意味で、10パーセントずつということが昨年審議会で決まったものだが、令和7年といえば、今からまだ2年先になり、これも事務局案としての緩和策である。令和10年の時点で、再度法定雇用率の見直しがあるが、それとのバランスからいっても、これ以上後ろに持っていくことはあり得ないことだ。
 
 なお、もう一つの議題、障害者雇用対策基本方針改正案に対しては、時間の関係で、竹下会長から次回障害者雇用分科会に向け、文書にて意見書を提出する旨発言し、了承されました。
 
 ※詳細は第123回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)(URLは、こちら)を参照。