第73回障害者政策委員会開かれる 

2022年12月9日

 令和4年11月14日、内閣府の「第73回障害者政策委員会」が中央合同庁舎8号館4階416会議室をホスト会場としてオンラインにより開催され、日本視覚障害者団体連合からは竹下義樹会長が構成員として出席しました。
 今回は、1.障害者基本計画(第5次)並びに2.基本方針改定(報告)について議論が行われました。
 

 議題1の障害者基本計画については、内閣府の事務局からこれまでの意見を踏まえて修正した点の説明があったほか、厚生労働省から地域生活への移行と日常生活用具に関して、また、文部科学省からはインクルーシブ教育に関して、その現状、今後の方向性、国連権利委員会が提示した総括所見の基本計画への反映のさせ方について説明がありました。
 日常生活用具に関連して、各地域の実情を勘案すると一律のガイドラインの作成が難しいとの厚労省の説明に対し、竹下会長は、過去にガイドラインが作成された経緯があることを指摘しました。平成4年に厚労省がテクノエイドに委託してガイドブックを作成しましたが、それが未だ自治体の指針とされていることを述べた上で、新たな用具開発の実態に合わせるため、また地域間格差を是正するために、日視連では新たなガイドライン作成を求めてきたことを発言しました。また、基本計画について竹下会長は次の趣旨を述べました。

 (1)『本基本計画を通じて実現を目指すべき社会』のところに、デジタル庁の関連で「デジタルの活用により一人一人の障害者の特性やニーズあるいは希望に即したサービスを選ぶことができ、障害の有無にかかわらず多様な幸せが実現できる社会」という文言を一つの項目として挿入してもらいたい。
 (2)『条約の実施状況に関し令和4年9月に採択・公表された障害者権利委員会による総括所見等も踏まえて議論が行われ、本基本計画が策定されたことも考慮するなど』と書かれているが、率直にいって、総括所見を踏まえた基本計画になっているとは思えない。このように書くからには総括所見を踏まえた十分な議論の時間を取ってもらうか、あるいは、基本計画を実施する中で総括所見を踏まえた検討を行うというような記述にすべきである。
 (3)『情報の取得又は利用のための手段について選択する機会の拡大』とあるが、「機会の拡大」ではなく「機会の確保」とすべきである。
 総括所見を踏まえた基本計画という書き方に関連して、内閣府は、可能な限り総括所見を反映させるという意味であるとして次の趣旨を説明しました。総括所見には大きな改革を求める内容が含まれており、その本格的な施行には年単位の期間を要する法制度改革が必要になる。その一方で、基本計画が切れ目なく施行されるためには来年4月より前に策定する必要がある。そうした制約がある中ではあるが、総括所見を踏まえた議論をしていただき、可能な範囲で計画に盛り込むようにしたいと説明しました。日常生活用具給付の在り方については、厚生労働省から、過去においてテクノエイドが作成したガイドブックのようなものを改定して示すのがいいのか、あるいは別の方法がいいのかを含め、自治体の実情を加味しながら指針の内容や提示の仕方を検討したいとの発言がありました。 
 そのほか、『9.雇用・就業、経済的自立の支援』に関連して竹下会長は、『福祉的就労の底上げ』という見出しや記述があるが、総括所見では福祉的就労が肯定的にとらえられていないと解釈されるので、「福祉的就労の底上げ」というのは総括所見の方向性に逆行すると考えられるとして、改めてもらいたい旨を述べました。 
 

 議題2.の基本方針改定に関しては、今後の進め方のスケジュールを問う竹下会長の質問に対し、2週間程度の準備期間の後に30日間のパブリックコメント募集を行った上で閣議決定となる予定であること、その後は各省庁に対応指針を準備してもらい、相談体制も整えてもらった上で、施行日が決められる段取りになることが内閣府より説明されました。