第69回障害者政策委員会開かれる

2022年8月9日

 令和4年8月1日、内閣府の「第69回障害者政策委員会」が中央合同庁舎8号館1階講堂をホスト会場としてオンラインにより開催され、日本視覚障害者団体連合からは竹下義樹会長が構成員として出席しました。今回は障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針改定案について、事務局の説明を踏まえて議論が行われました。

竹下会長は次の2点を発言しました。
 1.正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例として『定時性確保のため、搭乗手続や保安検査に時間がかかることが予想される障害のある利用者には早めに空港に来てもらうこと』が上げられているが、これは削除してもらいたい。「時間がかかることが予想される障害のある利用者」がどのような障害者なのか事業者が判断できるだろうか。一律に障害者全体を対象にしてしまいかねない。この事例を載せることは差別を助長することになる
 2.事業者における研修のところに『事業者が障害者に対応する際に参考となる事例等の提供を通じ』とあるが、これまでの議論においてマニュアルの作成・提供が言われていた。ここは事例だけでなく「事例やマニュアル等を提供することによって」と改めるべきである

 1.については他の委員からも不適切な事例であるとの意見がありました。早めに来て待たされることの苦痛、同じことを何度も尋ねられるなどの事業者の手順の悪さ(改善の余地あり)の指摘がありました。

竹下会長は、また次の趣旨の発言を行いました。
 正当な理由があるため不当な差別的取扱いには該当しない事例を上げることは最小限にとどめるべき。正当な理由に当たるかどうかは個別のケースによって違ってくる。一般化できるものではない。しかし、事例として示すとそれが一人歩きしてしまう危険がある。合理的配慮に関する過重な負担に該当するかどうかについても同じことがいえる。事例を示す際には十分に留意してもらいたい

 この竹下会長の発言について石川准委員長からは、事務局としては差別に当たる事例と当たらない事例のバランスをとろうとする姿勢のようだが、差別解消法の趣旨にてらしてみると、差別に当たらない事例を示すことには弊害があり、そのことを念頭に置いて検討してもらいたいとの発言がありました。