第66回障害者政策委員会開かれる
令和4年6月14日、内閣府の「第66回障害者政策委員会」がTKP新橋カンファレンスセンター幸ビルディング14階ホール14Aをホスト会場としてオンラインにより開催され、日本視覚障害者団体連合からは竹下義樹会長が構成員として出席しました。
今回は議題1.令和3年度調査研究(障害者差別の解消に向けた相談体制、事例の収集・共有の在り方)の報告および議題2.障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針改定(そのうち主に相談体制)について事務局の説明を踏まえて質疑が行われました。
竹下会長は調査研究の報告について次の2点を質問しました。
1.自治体の第1次相談窓口で相談を受けた後の流れとして、関係部局に振り分ける形になっていると受けとめた。単に振り分けるということでいいのかどうか。監督権限や許認可権限を持つ部署が率先して窓口になって、業界における合理的配慮を実現するための建設的対話につなげたり事例を収集して障害者差別の解消を図ったりすることが重要だと思う。そういう位置づけまでは考えていないのか。
2.事業者自身が相談を受けて合理的配慮を図る流れと、行政に相談が寄せられたときの解決に向けた流れとは違うと思うが、そこはどのように整理するのか。
これに対し事務局からは次のような回答がありました。
1.相談窓口で受けた相談を関係部局に振り分ける場合、第1次窓口が手を引くということではなく、個人情報の保護に留意しながら、関係者間で情報を共有して検討するという体制が検討会において考えられていた。
2.事業者の窓口で受ける相談と行政が受ける相談の関係については、検討会で特段の議論がなかった。今回は主に行政の相談体制が検討された。事業者が相談を受けて解決につながらなかった場合に行政に持ち込まれる可能性がある。
この事務局の説明に対し竹下会長は、たとえばスーパーマーケットに合理的配慮の提供を求めたが対応してもらえなかった場合に、話し合いの場を設けて円滑に解決に結びつけるような仕組みやマニュアルがあると有益だと思うため、是非そのことを念頭に置いてもらいたいと述べました。
振り分けに関して石川准委員長は、国の機関において所管が錯綜したり明確でない場合に内閣府が取りまとめ役になるのかを質問しました。これについては事務局より「まずは都道府県で解決を図り、それがうまくいかなかった場合に国の機関に持ち込まれることになるが、所管が複数にまたがるようなときは内閣府が必要な助言等を行うことで整理されている。所管が錯綜したり明確でない場合の対応はそれほど議論されていないが、取りこぼしがないようにすることが大前提に置かれて検討が行われた」との説明がありました。
その後、議論において複数の委員からワンストップ相談窓口の在り方について意見が出されましたが、竹下会長は「ワンストップといっても一つの相談窓口や機関が最初から最後まで取り扱うということではないと考える。ただ、たらい回しにならないようにするためにどうするかまでは検討会で詰め切れていないということだと思う。相談した側が迷走させられることがないような体制や相談窓口を設ける必要がある。そのことを基本方針で示すべきと考える」と述べました。関連して石川委員長は「たらい回しを防ぐため内閣府が調整機能を果たすということでどうか。司令塔になるとの記述も報告書にはあるが、所管でない内閣府が司令塔になることには実効性からみて無理があるように思う」と述べ、竹下会長も調整機能というとらえ方に賛意を示しました。
その他、竹下会長は次の趣旨を発言しました。
1.事業者自らが相談を受けてそれを解決に結びつけることが望ましい。そうするための流れを基本方針に盛り込むのがいいと考える。行政は、事業者の段階で解決できないときに支援するという形がいいのではないか。
2.事例の収集・分析については、不当な差別に該当するかどうかや合理的配慮なのか環境の整備なのかが分かりにくい場合がある。事例の取り扱いは慎重にしてもらいたい。それと同時に、その後の問題解決に発展するものになるよう検討してもらいたい。
3.マニュアルの作成によって個別の対応がスムーズになり、かつ、地域間格差を是正することにもなるため、基本方針でマニュアルの作成を明記してもらいたい。