第131回社会保障審議会障害者部会開かれる

2022年7月1日

 令和4年6月3日、厚生労働省の「第131回社会保障審議会障害者部会」がベルサール飯田橋駅前(1階)においてオンライン参加も交えて開催され、日本視覚障害者団体連合からは竹下義樹 会長が構成員として出席しました。今回は障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しに関する報告書(案)について、事務局の説明を踏まえて議論されました。

 竹下会長は報告書(案)について基本的に賛成であり修正を求めるものではないとしつつ、前半部分に関して留意してもらいたいことを4点述べました。
1.「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」について、実施状況や好事例を参考にするだけでなく、障害者のニーズと制度とのずれがどのように生じているのか、申し込みがあったけれども実施に至らなかった事例は何かなども踏まえないと、運用改善につながらないと考える。

2.精神科病院に入院する患者への訪問相談は、大きな前進ととらえている。ただ、自治体が正しく理解して取り組まないと実効性に結びつかない。訪問相談が実際に行われるよう自治体への支援を念頭に置いた制度設計にしてもらいたい。

3.『精神科病院の管理者は、この期間ごとに医療保護入院の要件を満たすか否かの確認を行うこととするべきである』のところ、確認を行う際の判断基準が重要になるわけだが、それがあいまいである。保護入院が必要か否かが適切に判断され、着実に社会復帰が行われるよう図ってもらいたい。

4.精神科病院以外での虐待について明確には言及されていないように思う。現実には様々な医療機関で虐待が起こっている。それも視野に入れた虐待防止策が必要と考える。

 後半部分については次の3点を述べました。
1. 65歳以上の障害者の場合の介護保険と障害者福祉との兼ね合いで、現に自治体による不適切な決定がなされ裁判になっているケースもある。不適切な決定を是正するための仕組み(自治体と厚労省との協議の場を設定するとか、是正のための指導が行われるようにするなど)が必要である。

2.地域生活支援事業の実施状況において不条理な地域格差が生じているのが現実である。そうした不条理な格差が生じないようにするため、自治体に示す運用ガイドラインを検討してもらいたい。

3.『入院中の重度訪問介護の利用によるコミュニケーション支援等の必要性を判断する基準や指標等を検討する必要があるとの意見があった』のところ、いわゆる意思疎通支援に限定してとらえるのでなく、入院中の生活の質を確保するための福祉的な支援という広い観点でとらえてもらいたい。