第120回労働政策審議会障害者雇用分科会開催

2022年6月30日

 令和4年6月2日、厚生労働省の「第120回労働政策審議会障害者雇用分科会」が中央労働委員会会館第612会議室をホスト会場としてオンラインで開催され、日本視覚障害者団体連合の竹下義樹会長が構成員として出席しました。

 今回は、前回に引き続きこれまでの議論の内容を集約した意見書(案)について、事務局の説明を踏まえて議論が行われました。意見書(案)の柱は次の5つとなります。

1.雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化

2.障害者雇用と障害者福祉の連携の促進

3.多様な障害者の就労ニーズを踏まえた働き方の推進

4.障害者雇用の質の向上の推進(調整金・報奨金の取扱いを含む納付金制度の在り方等)

5.その他の諸課題(除外率の取扱いなど)

 竹下会長は、全体として意見書(案)に賛成しつつ、次の3点について発言しました。

1.有効期限のある精神障害者保健福祉手帳が更新されず手帳を所持しなくなった場合について、就業の困難性にかんがみ一定期間は雇用率に算入することを検討するとの記述がある。しかし、手帳を所持しない障害者(発達障害者等)は雇用率にカウントしないことを他の部分で述べており、それと矛盾する。就業の困難性への配慮は、合理的配慮を図るための助成金支給等で対応するのが適当ではないか。

2.中高年齢者等の長期継続雇用されている障害者の雇用率における取り扱いについて、『個々の企業による長期継続雇用に向けた取組を客観的に評価し、雇用率制度上評価する方策について引き続き検討する…』と書かれているが、雇用率にカウントすることには無理があるように思う。長期雇用の評価に際しては別の方策、たとえば助成金支給等で対応するのがふさわしいのではないか。

3.除外率の廃止に向けた検討の内容は、廃止に向けて進めることにブレーキをかけることではなく、除外率の廃止を進める際にいかなる支援が必要かを考えることだと思う。そのような趣旨が明確になるような記述を望む。

 その他、参考として社会保障審議会障害者部会における障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて事務局から説明があり、それに関連して竹下会長は次の趣旨を質問しました。

1.アセスメントを福祉施策と雇用施策の双方で行うこととされているが、両者の関係がどのように整理されるのかを確認したい。

2.支援人材の養成が福祉施策と雇用施策の両方で述べられている。ジョブコーチと並んで職業カウンセラーも重要な人材であり、特に障害種別に応じて支援できる専門性を持った人材が重要なわけだが、その養成は雇用施策の役割なのかどうか確認したい。

 これに対し事務局からは次のような回答がありました。

1.福祉サービスの観点から行われたアセスメントを受けた人が雇用を望む場合、職業リハビリテーションの観点からのアセスメントを行い、それを福祉のアセスメントに上書きする形になる。逆に、働き続けることが難しくなった場合は福祉サービスを受けるためのアセスメントを受けることになるが、その場合は雇用でのアセスメントを参考にしていただく。両者は異なる観点でのアセスメントだが、障害者の生活を支えるとの観点で連携をとるよう図りたい。その際、両者に重複する部分があるとアセスメントを受ける障害者に負担をかけることになるので調整したい。

2.職業カウンセラーは地域職業センターに所属するものであり、雇用施策の側で養成する。養成について検討が必要な場合は雇用分科会で議論していただきたい。