第130回社会保障審議会障害者部会開かれる
令和4年5月27日、厚生労働省の「第130回社会保障審議会障害者部会」がベルサール飯田橋駅前(1階)においてオンライン参加も交えて開催され、日本視覚障害者団体連合からは竹下義樹会長が構成員として出席しました。今回の議題は「障害者総合支援法改正法施行後3年の見直し」の議論の整理で、その総論及び各論が事務局の説明の後で議論されました。竹下会長は、予め提出した意見書を踏まえて総論部分について次の3点の趣旨を発言しました。
1.地域間格差が現に発生していることを踏まえた制度設計、あるいは格差を防止する仕組みが必要である。
2.支給決定を行う場合は、障害の実情・生活の実情に即して支給されるような仕組み、不条理な決定がなされないような仕組みをどのように構築していくかが重要である。
3.「社会の変化等に伴う障害児・障害者のニーズへのきめ細かな対応」に関連して、障害児についても重度訪問介護の対象にすべきである。それにより在宅で生活する際の家族の負担を軽減する。
また、各論部分(前半)については次の4点の趣旨を発言しました。
1.居住支援について、重度の障害者とりわけ最重度の人が地域で安心して生活できるようにすることが社会保障の根本であり、それが可能となるような支給決定等の仕組みが必要である。
2.グループホーム利用者による居宅介護・重度訪問介護等の利用を時限措置ではなく継続して利用できるよう緩和すべきである。利用できなくなるかもしれないことに不安を感じている障害者が多い。
3.障害者の就労を支えるための雇用・福祉施策の連携施策が実現したことは高く評価したいが、それをより安定的なものとし地域格差が生じにくいものとするため、地域生活支援事業ではなく自立支援給付に位置付けて強化を図るべきである。また、通勤介助だけでなく、まだ実現していない通学の介助についても施策の対象に加えるべきである。
4.「当事者目線」という表現について、障害当事者を主体に置くという思いは各委員に共通するものだと思うが、障害当事者でない人が「当事者目線をもって」という表現だと違和感があり、事務局から示された『当事者の目線を尊重して取り組み』が適切だと考える。
各論(後半)については次の2点を述べました。
1.高齢者福祉について、介護保険と障害者福祉の兼ね合いの問題で、国が示している基準と異なる取り扱いを自治体が採るため、時には不合理であったり独自の判断になったりして地域格差が生じている。この問題を解決する必要がある。国の基準を自治体にしっかり理解してもらい、それが遵守されるような仕組みを設けるべきである。この問題をめぐって裁判が行われているが、裁判に至る前に解決できる仕組みが必要。
2.医療と福祉の連携について、入院中の障害者が重度訪問介護を利用できるようになったが、障害認定区分が5以上の人に限るのではなく、それ以外の障害者も利用できるようにしてもらいたい。入院中の障害者の生活の質を確保し、加えて病院スタッフの負担を軽減するためにも支援を受けられるようにしてもらいたい。入院中の支援にはコミュニケーションの支援も必要になる。視覚・聴覚の障害者あるいは知的障害者にとってコミュニケーション支援が大きな役割を果す。