第129回社会保障審議会障害者部会開かれる

2022年6月3日

 令和4年5月16日、厚生労働省の「第129回社会保障審議会障害者部会」がベルサール飯田橋駅前においてオンライン参加も交えて開催され、日本視覚障害者団体連合からは竹下義樹会長が構成員として出席しました。

 今回の議題は障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについてであり、その総論及び各論が事務局の説明の後で議論されました。総論部分について竹下会長は次の趣旨の発言及び質問を行いました。

 1.基本的な考え方のところに書かれている「当事者の目線をもって取り組むことが重要である」について、当事者を主体にするという意味だとは思うが、当事者の目線をもって誰が何をするのかが分からない。ここは「当事者の目線を尊重し」の方がいいのではないか。

 2.「障害児に対する専門的で質の高い支援体制の構築」のところで、障害児の早期発見という文言が必要だと考える。聴覚障害児については最近その早期発見がき
ちんと位置づけられるようになってきたが、障害児全体について必要なことである。弱視児を早期に発見して支援しないと、視機能の回復・調整が後からでは難しくなる。

 3.住まいの問題について、地域移行型のグループホームを考えることに賛成ではあるが、移行できそうな障害者に限定されるようなことがあっては困る。事業所の在り方として、地域移行型と合わせて、ついの住処型(ずっと住み続ける形)も扱う混合型というのは考えられないか質問したい。

 4.相談事業のところで「中立・公平性を保ち」ということも大事だが、そのためには独立した相談事業所が成り立ちやすい体制(人員配置の要件や報酬の在り方)を考えてもらいたい。

 5.「就労アセスメントの手法を活用した新たなサービスの実施主体等について」に関連して、就労移行支援事業所やA型事業所もアセスメントの対象として考えているのかどうかを確認したい。

 6.「障害者の就労支援に携わる人材の育成」のところ、「専門人材の高度化に向けた階層的な研修」と書かれているが、障害種別に対応できる専門家の養成を是非お願いしたい。

 竹下会長の質問に対し事務局からは、グループホームの在り方については障害者が自分の考えに基づいて選択できることが大切であること、既存のグループホームでは地域移行型とついの住処型の両方を扱うことになるが、新たに設立されるグループホームの在り方は今後の検討課題であること、また就労アセスメントの手法を活用した新たなサービスの実施主体については、就労移行支援事業所やA型事業所も対象になることが説明されました。

 「当事者目線」にまつわる表現については、竹下会長をはじめ複数の委員から疑問の声が上がっていることから、更に検討・調整したい旨の発言が部会長からありました。
 各論部分については竹下会長が次の趣旨を発言しました。

 1.障害福祉サービス等の人材確保・育成について、実際にサービスを担うヘルパーの確保が難しい実態がある。質の確保も大切だが、報酬の在り方を含めて先ずは数の確保が重要であることを念頭に置いた書き方にしてもらいたい。

 2.高齢の障害者に対する支援について、介護保険と障害者福祉サービスの兼ね合いで自治体側と障害者側の意見の対立が起きているが、裁判に至る前の段階で解決するシステム、たとえば厚労省と自治体とがホットラインのような形で連携し、難しいケースについて対応する仕組みを是非考えてもらいたい。

 3.入院中の障害者の支援をもっと利用できるようにしてもらいたい。医療と福祉の連携をどのように整理するか難しい面はあるが、入院中の障害者からすると、看護師に負担をかけてしまうことに遠慮があり、現実に思うような支援を受けられないケースも発生している。重度訪問介護以外の訪問系サービスの利用についても入院中に利用できるようにしてもらいたい。視覚障害者の場合は終日の支援というよりも読み書きなどに関する場面場面に応じた支援が必要になる。実態を踏まえて入院中にそうした支援を受けることができるような制度づくりをしてもらいたい。