第118回労働政策審議会障害者雇用分科会

2022年5月31日

令和4年5月10日、厚生労働省の「第118回労働政策審議会障害者雇用分科会」が同省の職業安定局第1会議室をホスト会場としてオンラインで開催され、日本視覚障害者団体連合の竹下義樹会長が構成員として出席しました。

 今回の議題は1.雇用の質の向上、及び2.除外率制度に関する対応の2つで、事務局より次のような論点等が説明されました。

 雇用の質の向上については、障害者の適正な能力評価、働きやすい環境整備、キャリア形成の支援を充実させるため、事業主の取り組みを求めるとともに行政として支援することが主な論点として示されました。

 除外率制度については、5年ごとの法定雇用率見直しのタイミングで除外率も段階的に引き下げてはどうか(たとえば10%ずつの引き下げ)との案が示されました。

 議題1.の雇用の質の向上について竹下会長は、基本的に事務局案に賛意を示した上で次の趣旨を述べました。

 1.在職者が研修やスキルアップの機会を確保できるよう図ってもらいたい。特に都市部以外ではその機会が少ない現状にある。その改善をお願いしたい。

 2.アセスメントについては合理的配慮や環境整備を行った上で能力評価を行ってもらいたい。

 3.ジョブコーチに関しては障害の特性を理解しそれぞれの障害種別に対応・支援できる人材を配置し、また活動できる範囲を広げてもらいたい。

 4.デジタル化の進展や新型コロナ感染症の影響によりテレワークが広まっているが、在宅でリモートの職場のシステムにアクセスする際、関連のセキュリティシステムが音声出力に対応していないため視覚障害者にとって障壁になっている。システムを改良し合理的配慮をどのように具体化すべきか検討してもらいたい。

 5.障害の状況によって円滑に行える業務とそうでもない業務がある。そのことを勘案して業務の切り出しや再設定を行うことが障害者の能力発揮を引き出す重要な要素だと考える。

 6.合理的配慮の具体化に当たって障害者の意見が適切に繁栄されることが望ましい。職場内で実現可能性を踏まえてどのように具体化するかをチームとして検討する場が必要だと考える。障害者本人を含めた建設的対話の場を設けてもらいたい。

 竹下会長の発言にあった業務の切り出しに関連して山川隆一分科会会長は、就職当初の切り出しだけでなく、キャリア形成を視野に入れた中長期の業務設定という観点も必要であると述べました。

 また、議題2.の除外率制度に関する対応について竹下会長は、10%の引き下げに踏み切ることとしたことを評価しつつも、次の2点を指摘しました。

 1.除外率制度の廃止と除外率対象業種への支援はセットであり、障害者に対する合理的配慮を進めるための助成金や職場環境を整備するための助成金等を充実することによって、除外率の廃止を促すことが大事であると考える。

 2. 5年ごとの除外率見直し(10%の引き下げ)というだけでは廃止までに長い年数を要する。廃止までの目途を設定するとか、毎年6月の障害者雇用状況調査のタイミングで見直すとか、あるいは一律10%ではなく更なる引き下げも視野に入れるなど、廃止に向けた道筋を検討してもらいたい。