第111回労働政策審議会障害者雇用分科会

2022年3月7日

 令和3年11月10日、厚生労働省の「第111回労働政策審議会障害者雇用分科会」がオンラインで開催され、日本視覚障害者団体連合の竹下義樹会長が構成員として出席しました。
 今回は、議題1 今後の障害者雇用対策の検討の進め方および、議題2 障害者雇用率制度・納付金制度等の在り方(精神障害者に関する雇用率カウント)について職業安定局障害者雇用対策課から説明があり、それを踏まえて議論が行われました。議題2は、精神障害者に係る特例の取扱い(令和4年度末までの間、20時間以上・30時間未満の短時間労働の人が0.5人でなく1人とカウント。なお、新規雇入れ又は手帳取得から3年間という要件あり)の延長をどう考えるか、また、いわばダブルカウントに当たるこの特例の取扱いと、精神障害には重度の取扱いがないこととの関連性をどう考えるかが論点であるとの説明がありました。
 これについて竹下会長は、特例の取扱いの延長に反対するものではないが、このような場合に往々にして再延長を認めることになることを考えると、3年間の要件を外すと特例とはいえなくなるため、この要件は維持すべきであるとし、もし3年間の要件を外すのであれば再延長はしないこととすべきであると述べました。
 精神障害の重度の取扱いについては、カテゴリー化できないことを理由に個別に判断することとなった場合、制度的に整合性を取るのが難しくなると指摘しました。身体障害の場合は重度の定義があり、それについて雇用率のダブルカウントが適用されているわけですが、精神障害において個別判断が持ち込まれると、身体障害についても個々の労働能力に着目して判断すべきといった観点から現行制度に対する疑問が提示されかねず、制度の根幹にかかわる問題となるので慎重に検討すべきであると述べました。
 この論点に関して特例の取扱いの延長に概ね賛同との意見が多かったが、期限を設けずに延長することや重度の取扱いの検討をいつまでも継続することには懸念の声があり、事務局からは、そうした意見を踏まえて慎重に検討していきたい旨の回答がありました。
 なお、既に3年を超えて勤務している精神障害者に特例の取扱いを適用するか否かについては、事務局として整理した上で改めて検討をお願いする旨の説明があり、これに関して竹下会長は、長期にわたって勤務している人がその就労を継続できるよう労働時間を調整することは合理的配慮の問題であり、そこに特例が適用されると問題があいまいになるのではないかとの懸念を述べました。
 その他、手帳を所持していない精神障害者の取扱いについては、雇用率制度の対象としない方針に賛同する意見が多くあったが、医療的観点や就労困難性の観点から引き続き検討していく必要があるとの意見もありました。