労働政策審議会障害者雇用分科会開かれる

2022年2月8日

 令和3年10月12日、厚生労働省の「第110回労働政策審議会障害者雇用分科会」がオンラインで開催され、日本視覚障害者団体連合の竹下義樹会長が構成員として出席しました。

 今回は、議題である関係団体からのヒアリングとして、就業支援、在宅就業支援、就労移行支援、就労継続A型事業所支援に携わる団体へのヒアリングが行われました。

 竹下会長は、全国社会就労センター協議会(セルプ協)に対して、雇用と福祉の連携における議論の中で、一般雇用とA型事業所を暫定的に行き来できるようにすることが望ましいという議論があるが、そうした弾力化と、A型事業所は一般雇用が困難な障害者が働く場であるという原則とを整理するのは難しいと感じていると述べました。その上で、セルプ協ではどのような議論が行われているのかを尋ね、また、A型事業所に対して労働基準法を適用することが現状にかんがみて妥当と考えるかを質問しました。

 これに対しセルプ協は、弾力化とは違うが、A型事業所に一般雇用に移行できる人がいるのではないかとの指摘については、受け入れのときに適切なアセスメントを行うことによって整理できると考えており、雇用と福祉の連携の議論においてもアセスメントの在り方が論じられていたと回答しました。
 労働基準法の適用については、A型事業所では基本的に適用しているのに対し、B型事業所では適用していないが最低賃金等を適用すると入所のハードルが上がり居場所を失う障害者が出てくる懸念があるとし、働き続けたいと希望する人の居場所の確保が重要であると回答しました。

 また、就労継続支援A型事業所全国協議会(全Aネット)に対しては、1つめに障害者の直接雇用を強調し過ぎると障害者雇用促進法の趣旨が形骸化しかねないということの意味は何か、2つめにA型事業所に納付金制度に基づく雇用調整金を支給することが妥当であるとする根拠は何かという2点を質問しました。

 これに対し全Aネットは、1つめの質問に対し、障害者雇用率ビジネス(切り離された障害者の働く場を提供して雇用率を達成させるもの)が横行する背景には直接雇用の過度な強調があると考えており、間接雇用(みなし雇用)をバランスよく取り込むことでその形骸化を防げること。
 2つ目の質問に対し、職業能力はあるものの環境に適応できず一般雇用が難しいA型事業所の利用者に労働基準法を適用することは妥当であり、だとすれば雇用調整金の支給もあってしかるべきと考えることと回答しました。ただし、A型事業所には福祉施策の支金が投入されていることから、割り引いて考える必要があることも付け加えました。