全国盲人福祉施設大会2年ぶり開催

2021年12月23日

 社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会(長岡雄一理事長)主催の「第69回全国盲人福祉施設大会」が、11月11日に、東京都視覚障害者生活支援センターを配信会場として、2年ぶりにオンラインで開催されました。参加者は、北海道から沖縄までの各施設から132名でした。

 開会の辞の後、各事業部会(点字出版部会・情報サービス部会・自立支援施設部会・生活施設部会・盲人用具部会)の発表、研修会(講師:慶應義塾大学理工学部教授・慶応義塾大学共生知能創発社会研究センター長・栗原聡 氏)、式典(表彰、来賓祝辞、アピール文・決議文発表)、閉会の辞と続きました。

 来賓祝辞において、日本視覚障害者団体連合の竹下義樹会長(日本盲人福祉委員会理事長)は、「これからは『連携』をキーワードとして、当事者団体と施設等が、できる限り一致点で協力し、国や自治体、一般国民にアピールしていくことが大切である」ことを強調しました。また、日視連で長年音訳・音訳校正でご奉仕いただいている遠藤由利子 氏が、ボランティアに対する感謝状贈呈を受けられました。

 研修会の概要は次の通りです。
 テーマは『進化するAIの目指すもの』。「人とAIの共生」を目指し、視覚障害者の協力を得ながら、次世代AI・IOTの活用を研究している栗原氏は、これまでの経過、現時点の到達点等についての分析等を踏まえて、今後目指すもののイメージについて講演されました。「日常生活で我々に寄り添い、気の利いた相棒のようなAI(ロボットが人間の行動を予測して次の動きをするようなイメージ)」、「視覚障害者を十分観察して、画像の処理と知識を活用して支援するAIヘルパー」など、将来に大きな期待が高まる内容でした。

 大会決議文の要旨は次の通りです。

1.視覚障害者等のために発行される点字版・音声版・拡大版の「選挙のお知らせ」が選挙公報として発行を義務づけられること

2.点字製版・印刷機の新規購入や保守管理等の費用について補助すること

3.「情報化対応支援員」を全ての視覚障害者情報提供施設に配置するよう国庫負担金を増額すること

4.新型コロナ下での感染対策を踏まえ、機能訓練・生活訓練・就労移行・就労定着・就労継続の各サービスについて、ICTの活用によるリモート支援も個別給付のサービスとして広く認めること

5. 60%を下回る盲導犬育成経費の公的支援率を上げることならびにフォローアップ訓練に訓練費の助成が支給されるよう制度を見直すこと

6.盲人ホーム事業の安定的運営のための助成金を増額すること。

7.新型コロナによる経済活動の停滞により、生産活動(就労継続事業、盲人ホーム事業)による収入が減少し、利用者工賃に影響が出ているため、収入補填ができる仕組みを検討すること

8.視覚障害者を対象としている盲養護老人ホーム、救護施設、グループホームなどの入所施設にWi-Fi環境整備の義務化およびWi-Fi環境を整備する為の補助金を交付すること

9.視覚障害者の盲養護老人ホームへの入所に関し措置控えを解消するように国が全国の市町村を指導すること

10.盲養護老人ホームに入所したいという視覚障害者が盲養護老人ホームに入所出来るよう配慮する趣旨の通知を発出すること

11. 65歳を過ぎてから失明した視覚障害者も、グループホームに入居できるようにグループホームの入居基準を改善すること

12.日常生活用具に関する給付地域格差がないように公正な用具認定に関して各市区町村への指導及び調査すること

13.各市区町村の福祉課窓口で、視覚障害に対し、日常生活用具等の給付事業内容について説明すること

14.日常生活用具の給付事業において、新たに開発された機器に対して、厚生労働省で新たな指針を示すこと