参議院厚労委 障害者雇用促進法改正で意見陳述

2019年7月1日

 6月4日開催された、第198会国会(通常)厚生労働委員会において、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第53号)が審議され、日盲連の竹下義樹会長が参考人として出席しました。

 会長の意見は次のとおりです。

1.人事院による初の障害者選考採用試験の結果、43名の視覚障害者(うち点字使用者2名)が合格したが、この人たちが今後国家公務員として活躍できるように、視覚障害者が働きやすい環境作りと合理的配慮をお願いしたい。

2.この試験は、決して「水増し問題」の代償措置であってはならず、障害者の働く場の拡大と、その機会を保障する観点から、今後は恒久的な制度として実施して欲しい。

3.今回の改正法案において、障害者活躍推進計画に関する規定が追加されたことは重要であり、これら計画を作る際には障害者団体の参画あるいは現に就労している障害者の意見が反映されるものにして欲しい。

4.厚労省に昨年設置された「国の行政機関における障害者雇用の推進に向けた専門家会議」の場をもっと活用すべきである。

5.視覚障害者がその能力を発揮するための職場環境が十分でない実態があるので、ジョブコーチなど視覚障害に精通した専門家が不可欠である。

6.今回の法改正には直結していないが、障害者の雇用を進めるためには、「除外率制度」を無くしていくことが必要であり、身体障害の部位別の実態を明らかにすることが不可欠である。

7.雇用と自営にまたがるが、視覚障害者の大半が鍼灸マッサージという職業に従事していることから、この分野での就労環境の改善が強く求められている。

 竹下会長の意見を受け、各会派代表の委員は採用後の留意点、通勤や介助に関する支援の問題、障害者自身が政策に関わることや職業生活相談員に当事者が関わることの意義などについて質問がありました。なお、改正法案は、6月7日の参院本会議で全会一致により可決成立しました。

 本法案の施行期日は、公布日、公布日から3月以内で政令で定める日、令和2年4月1日の段階施行とされています。日本盲人会連合では、今後に向けて、適宜勉強会(対策会議)を開きながら対処していきます。