参院厚労委、障害者雇用問題で竹下会長意見陳述

2018年11月27日

 11月20日、第197回国会(臨時会)において、参議院厚生労働委員会(石田昌宏委員長)の「社会保障及び労働問題等に関する調査(公務部門における障害者雇用に関する件)」が開かれました。
参考人として、日本盲人会連合の竹下義樹会長が出席しました。

 竹下会長が最初に発言された内容は次の通りです。
1.今回の問題で、障害者雇用に対する社会の理解の本質的な弱点があらわになった。眼鏡をかけて視力が「1.0」の人も障害者とカウントしてきたことは非常に悔しく、腹立たしい。検証委員会の報告で終わらせず、日本の障害者雇用の在り方を抜本的に見直す機会にしていただきたい。

2.再発を防ぐために必要なことは監視ではなく、主体的に障害者の受入と障害者の雇用を進める策を講ずることだ。そのためにも、毎年6月1日現在の障害者雇用状況報告書をより詳細に、障害者の種別、障害の部位別、個別の障害に対してどのような配慮がなされたのかを報告させることだ。障害者の実態を示すことは再発を防ぐ手立てでもあり、行政の大きな基礎となる。

3.ただ怒りをあらわにするだけではなく、今出来ることを実施していくことだ。障害者のための別枠選考採用制度を国が実施することを高く評価している。試験に関しては、音声パソコン活用など各受験者が能力を発揮できるように配慮すべきだ。個々の障害特性やその人のニーズに合わせて組み合わせる方法が必要であり、そのことは、とりもなおさず採用後の合理的配慮に結び付く。

4.公務員には雇用納付金や雇用保険財源が使えないため、財源確保が困難である。採用後の定着支援や中途失明者のリハビリ、継続雇用支援など、合理的配慮が現実に可能となるような財源の確保をお願いしたい。

5.採用された障害者を数合わせで終わらせてはならない。その障害者が能力を発揮し、国、社会のために役立つ仕事をさせてほしいというのが、障害者が真に望んでいることだ。障害者が職場で活躍することは、行政が当事者の目線に立った政策を考える上で、大きな役割を果たすことを是非理解していただきたい。

 引き続き、各会派代表の委員との質疑応答が行われました。竹下会長に対しては、障害者がどうすれば仕事ができるか、仕事の組み立て、職場実習の効果、定着支援の在り方、視覚障害者の職域開拓(ヘルスキーパーとしての雇用)、試験実施に当たっての配慮などについて質問があり、活発な質疑が交わされたました。