障害者雇用研究会報告書まとまる

2018年9月5日

 厚生労働省により平成29年9月20日から平成30年7月27日まで15回にわたり開催された「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」(座長・阿部正浩中央大学経済学部教授)の報告書が7月30日に公表されました。
 日本盲人会連合から工藤正一総合相談室長が委員として参加しました。同研究会の目的は、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)に基づき、障害者雇用に係る制度の在り方について幅広く検討を行い、「障害者が、希望や能力等に応じて活躍できることが当たり前の社会」の実現を目指すとしています。
 研究会に臨むに当たり、竹下義樹日盲連会長、障害者雇用の専門家・相沢保相談員はじめ、有識者らで構成する「バックアップ会議」を設置して対処しました。本年7月20日に開かれた第14回で同研究会事務局から示された「報告書素案」は、短時間労働や中小企業問題などに偏っており、これまで各団体から様々な意見が出されたにもかかわらず、それらが反映されていないことから、可能な限り反映するよう要望しました。最後の研究会となった第15回でも、改めて報告書の不十分さを指摘し、工藤総合相談室長は「我が国の障害者雇用は、雇用率制度と納付金制度が車の両輪として進められてきたが、今後の障害者雇用促進は雇用率と助成金があればそれでよいものではなく、特に、働き方改革ということに鑑みると、雇用管理上の支援、障害者のキャリア形成、能力開発、中途障害者の継続雇用支援などが重要である。今後は雇用率ありきではなく、雇用管理に力を入れるべきであり、さらに、視覚障害者の多くが携わっている自営業者の問題についても検討すべきである。一方、公務員等については、民間の範たるべく率先垂範して取り組んでいると言いながら、実際には民間企業に対するような支援制度がなく、官民格差がある。さらに視覚障害者のように障害者の中でもマイノリティーとなった障害者は一般対策では制度の恩恵が受けられないため、個別の支援対策が不可欠である。最後に、ハローワークの機能強化を図るため、雇用対策法を改正し、失業者だけでなく在職者に対しても広域的な支援ができるようにすべきである。」と意見を述べました。