結成の地で弱視者に関するシンポジウム
8月18日、メルパルク大阪で開催された日本盲人会連合結成70周年記念シンポジウム後半では、「弱視者(ロービジョン)の抱える困難と社会の変革を目指して」をテーマにパネルディスカッションが行われました。
日盲連では、平成27年12月より弱視者の課題を整理するために弱視に関する懇談会を立ち上げ、弱視者への理解を深めることを目的に検討を重ね、このほど報告書を作成しました。
シンポジウムでは、この報告書を元に、弱視者の困り事や要望について紹介し、弱視者が暮らしやすい社会の在り方について議論を行いました。最初に同懇談会伊敷政英委員より、懇談会の経過報告、検討された内容、報告書の構成について述べました。報告書は全4章で構成されており、第3章では、懇談会で出された移動全般、就労、買い物や契約などの弱視者の日常生活について、第4章では、「弱視者からのお願い」として制度やルールを決めるときは弱視者を抜きにしないこと、見えにくいが故の行動に対する理解、弱視者自身が気をつけたいこと、また見えにくいことを訴え、受け入れられる社会を作ることなどが盛り込まれています。また、今後の課題として症状の早期発見、読み書き問題、女性特有の課題について議論が必要であるとまとめています。
続くパネルディスカッションは、日盲連関東ブロック協議会江見英一青年部会長の司会で進められ、コーディネーターに慶應義塾大学経済学部中野泰志教授、パネリストに弱視に関する懇談会石原純子委員と同神田信委員、大阪府視覚障害者福祉協会髙橋あい子会長、奥野総合法律事務所・外国法共同事業野村茂樹弁護士が登壇しました。自身の見え方を紹介するとともに、化粧やファッション、子育てなどの困りごと、障害の受容、受験における弱視者に対する配慮などについて述べました。
最後に、日盲連竹下義樹会長より「日盲連が弱視者に関する問題を取り上げないのは、真に視覚障害者問題に取り組んでいるとは言えない。今後、弱視者問題を継続的に取り組む組織を日盲連内に立ち上げる」との決意表明がありました。