厚労省の視覚障害認定基準検討会が終了

2018年1月9日

 昨年12月27日、厚生労働省にて、第5回視覚障害の認定基準に関する検討会が開催され、これまでの検討結果をまとめた報告書案と今後の取り組みについて最終的な検討が行われました。同検討会には、日本盲人会連合からは竹下義樹会長が構成員として参加しています。

 視力の認定に関する見直し案については、これまでの「両眼の視力の和」から「良い方の眼の視力」で行うこととなり、それぞれの等級の視力基準は次の通りになります(これにより、現在より等級が下がることはありません)。

 1級:良い方の眼の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異常のある者については、矯正視力について測ったものをいう)が0.01以下のもの
 2級:1.良い方の眼の視力が0.02以上0.03以下のもの。
    2.良い方の眼の視力が0.04かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの。
 3級:1.良い方の眼の視力が0.04以上0.07以下のもの(2級の2を除く)。
    2.良い方の眼の視力が0.08かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの。
 4級:良い方の眼の視力が0.08以上0.1以下のもの(3級の2を除く)。
 5級:良い方の眼の視力が0.2かつ他方の眼の視力が0.02以下のもの。
 6級:良い方の眼の視力が0.3以上0.6以下かつ他方の眼の視力が0.02以下のもの。

 また視野認定の見直し案については、ゴールドマン視野計に加え、自動視野計での基準を盛り込むことと、中心暗点についても新たに認定できるものが盛り込まれました。

 竹下会長は、2級基準の良い方の眼が0.04で他方の眼が手動弁以下、3級基準の良い方の眼が0.08で他方の眼が手動弁以下が経過的措置となっていることについて、継続的に認定されるものなのか、ある期間までのことなのかと質問をされました。これに対し事務局からは、特に期間を設けることはしないという回答がありました。

 今後の取り組みとして、視覚障害の認定基準の改正に資するために、新たな研究会を設置することが提案されました。この中で、今後より一層医学的観点かつ日常生活の制限の程度の観点から合理的で客観的なものとなるよう改善していくため、FVS(Functional Vision Score)の活用など国際的動向も踏まえ、視機能を評価する手法や指標に関する基礎資料を収集することとなりました。
 竹下会長から、研究会の構成メンバーについて、医療関係者から視能訓練士を加えること、また、眼瞼痙攣などで眼球使用困難者など、視覚障害当事者の声が反映できる仕組みを検討するよう要望がありました。
 
 同検討会は今回で終了となり、本年1月中に厚労省の審議会(疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会)で審議されます。審議を終えた後、1月から2月中にパブリックコメントを募集し、省令改正を行い、今年度内に改正省令が告示されます。新たな認定基準は、一定の周知期間を経て今年秋頃には実施される予定です。なお、会議資料については、厚労省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=404284)で公開されています。