サイトワールド2016・レポート「差別解消法に関する講演とシンポジウム」
11月1日、東京都墨田区のすみだ産業会館9階第1・2会議室において、日本盲人福祉委員会主催による「差別解消法に関する講演とシンポジウム」が開催され、約80名が詰めかけました。
まず、竹下義樹弁護士(日本盲人会連合会長)より法律の概要と施行後の課題についての基調講演が行われました。講演の中で、竹下弁護士は法律施行後の課題として、
1.法律に紛争解決の手順・手続きが明確に示されていない
2.民間事業者に対して「合理的配慮」が「努力義務」となっている
3.個別の差別が起こった時の問題解決について示されていない
と述べられました。
その後、野村茂樹弁護士、日盲連青年協議会伊藤丈人副会長、日盲連総合相談室下堂薗保相談員をパネラーに迎え、日本盲人福祉委員会指田忠司常務理事のコーディネーターでパネルディスカッションが行われました。
伊藤氏は、国際的な動きとして、障害者権利条約締結の背景と、昨年9月に締結された持続可能な開発目標(SDGs)の序文について触れました。また、盲青年大会で取り上げられたトピックとして、サインの問題とITの普及による新たなバリアについて紹介されました。
下堂薗氏は、障害者運動を歴史的に振り返った後、障害者差別解消法や改正障害者雇用促進法が施行されたことによって、今後の運動が変わっていくと述べ、障害を念頭に置かない社会の実現を望むと締めくくりました。
野村氏は、障害者差別解消法の救済システムが不十分な点について詳細に説明し、各障害者団体で合理的配慮の事例を集めてまとめていく必要があると述べられました。