障害者放送協議会が意見交換

2016年4月21日

 障害者放送協議会、および総務省情報流通行政局地上放送課、ならびにNHKなどの放送事業者との「意見交換の場」が、4月13日、東京都新宿区の戸山サンライズで開かれました。

 冒頭、障害者放送協議会の寺島彰放送通信バリアフリー委員会委員長は、挨拶の中で、同協議会の概要と活動目的に触れ、「今回は(視覚障害、聴覚障害等のある方が)日頃困っている問題などについて、どのようにしたら解決していけるか、意見交換できる貴重な場なので、前向きな視点で意見や助言をいただけたら有りがたい」と述べました。続いて、放送事業者側を代表してNHKから、編成局計画管理部専任部長西透氏、日本民間放送連盟から、テレビ東京編成局編成部副部長内田久善氏、総務省から、情報流通行政局地上放送課長藤野克氏が、それぞれ今回の意見交換会を有意義なものにしたいと挨拶を述べました。

 その後、全体会合があり、続いて、「字幕・手話放送」と「解説放送」の分科会に分かれて意見交換を行いました。日本盲人会連合からは、工藤正一情報部長が出席しました。

 4月13日に開かれた障害者放送協議会、総務省、放送事業者との「意見交換の場」の全体会議では、NHKの坪倉善彦氏の司会進行により、意見交換が行われました。内容は次のとおりです。

(1)本年4月に施行された障害者差別解消法において、行政機関等では合理的な配慮が義務となり、民間事業者では努力義務となることを受け、今後の対応について
(2)障害当事者の参政権に関しては、政治参加の保障と問題、とりわけ国会中継・政見放送の字幕が不十分であることから、その改善点について
(3)わが国の放送事情に関しては、情報バリアフリーの観点から、日本が世界に遅れているので、その改善点について
(4)障害者権利条約関係で日本が提出したレポートの内容について。

 4月13日に開かれた障害者放送協議会、総務省、放送事業者との「意見交換会」で全体会合に続いて、「解説放送」と「字幕・手話放送」の2つの分科会が行われました。解説放送分科会には視覚障害関係者が多く参加しました。野々村好三(全国視覚障害者情報提供施設協会)氏の司会で進められた分科会の概要は次のとおりです。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック中継を含む生放送への音声解説付与について、「2020年に向けて、今年のリオ大会への取り組みは大きな意味を持ちます。日本ライトハウスと朝日放送が共同でプロ野球中継に音声解説を付けている試みを参考に、生放送番組やスポーツ中継に音声解説を付けることに是非チャレンジして欲しい」と要望しました。これに対し、放送事業者から「新しい放送形態を前向きに検討したい」との回答を得ました。
 また、視覚障害者がデータ放送利用できる環境の整備について、「テレビがアナログから地上デジタル放送に変わるメリットとして、総務省は、データ放送等の有用性を挙げていたが、現在、データ放送を点字や音声で伝える技術はあるものの商品化されておらず、視覚障害者がこのサービスを実質的に利用できないことが問題である」と指摘されました。更に、タッチパネル方式のテレビリモコンについて、「基本的にはメーカーの問題だが、今の安価で使い易いボタン式のものは残しつつ、その上で、付加価値の付いたものが開発される可能性はある」との意見がありました。

 最後に、解説放送について「全国ネットだけでなく、ローカル番組にも付けてほしい」という声が全国から日盲連に寄せられていることが紹介され、「ローカルの解説放送の情報も積極的に提供して欲しい」と要望しました。総務省を始め、在京キー5局や地方局の担当者が熱心に耳を傾けていました。