サイトワールドで日盲連がシンポジウムを開催
11月1日~3日、東京都墨田区のすみだ産業会館サンライズホールで開催されたサイトワールド2015の初日、日本盲人会連合が主催するシンポジウム「視覚障害者向けに配慮された広報等の現状と課題」が開かれました。
このシンポジウムは、地方公共団体が住民向けに発行している広報等の点字版・音声版・拡大文字版について、日盲連が全国の視覚障害当事者・自治体に対して行った調査結果の報告の場であり、視覚障害者向けに配慮された広報等の現状と課題を議論し、当事者への情報保障が更に推進されることを目的に開催しました。参加者は100名近くにのぼり、席が無く立ったままパネリストたちの発言に耳を傾ける参加者の姿もありました。
竹下義樹日盲連会長の挨拶の後、中野泰志慶應義塾大学教授による基調報告があり、広報等の重要な情報も7割~8割しか提供されておらず当事者の4割が満足していないこと、また自治体側で配慮しない理由として「当事者からの希望がない」との回答が6割あったことなど、調査によって浮き彫りとなった現状が指摘されました。
続くパネルディスカッションでは、進行に藤井貢日盲連組織部長、パネリストとして髙橋秀治ロゴス点字図書館館長・川村和利東京都盲人福祉協会副会長・並木正弱視者問題研究会代表・柳本剛日盲連録音製作所職員が参加し、それぞれの立場から報告を行いました。後半は参加者から質問が寄せられ、多くの課題を全員が共有しシンポジウムは閉幕しました。
中野教授は最後に来年施行される差別解消法に触れ、「スタートして問題になるのは私たちの声。きちんと声を上げていくことが大切」と呼びかけました。なお、日盲連では今回の調査内容を編集し、平成28年1月頃までに報告書を完成させる予定です。