愛盲時報 令和6年7月25日(木)第283号 目次  1.第77回全国視覚障害者福祉大会 火の国 熊本で開催  2.内閣府障害者政策委員会に要望書提出  3.自民党ユニバーサル社会推進議員連盟に要望書提出  4.第25回日本ロービジョン学会学術総会でポスター発表  5.東京都専門点訳奉仕員養成講習会受講者募集  6.ご寄付のお願いについて  7.奥付  *見出しの頭には「--(半角で2つ)」の記号が挿入されているので、検索機能を使って頭出しをする際にご利用下さい。  また検索の際、目次でご紹介した数字を続けて半角で入力すると、その項目に直接移動することができます。  (例)1をご希望のときは、「--1(すべて半角)」と入力。 (以下、本文) --1.第77回全国視覚障害者福祉大会 火の国 熊本で開催 【写真】日本視覚障害者団体連合 竹下義樹会長(左)と熊本県視覚障がい者福祉協会の村上芳継会長(右) 今年は5年ぶりに対面開催  日本視覚障害者団体連合(以下、日視連)と熊本県視覚障がい者福祉協会主催による第77回全国視覚障害者福祉大会(熊本大会)が、熊本県熊本市のホテルメルパルク熊本を会場に6月2日から6月3日まで開催されました。  今大会は、5 年ぶりに従来と近い形での開催となり、2日間をとおして全国から多くの視覚障害当事者の参加がありました。 分科会も現地で開催  今大会では、5年ぶりに会場で生活分科会、バリアフリー分科会、職業分科会の3つの分科会が開かれ、全国の代表者127名が各分科会に別れ、白熱した議論を交わしました。  生活分科会では、同行援護における地域間格差やガイドヘルパーの人員不足、物価高騰にともなう補装具および日常生活用具の値上げの問題、マイナ保険証(マイナンバーカードを保険証として利用すること)への移行の問題などが話し合われ、バリアフリー分科会では、駅や公共施設、飲食店、小売店における無人化やオンライン化への問題、鉄道や踏切、道路での安全対策、ウェブアクセシビリティの確保、情報保障の問題などが話し合われました。また、職業分科会では、あはきにおける無免許・無資格医業類似行為者、違法業者の取り締まり強化、マイナ保険証のオンライン資格確認の問題、重度障害者等に対する通勤や職場等における支援、職場介助者やジョブコーチによる支援などについての議論がありました。 【左上写真】生活分科会の様子 【右中央写真】職業分科会の様子 【左下写真】バリアフリー分科会の様子 令和6年度 第1回全国団体長会議 開催  1日目(6月2日)に令和6年度第1回全国団体長会議が開かれ、全国の加盟団体の代表者等が参加しました。今回の全国団体長会議では、各加盟団体代表者の参加に加え、団体提出議案に関する分科会の参加者も出席し、拡大会議として開催しました。  会議では、橋井正喜 日視連副会長の司会、今野正隆 千葉県視覚障害者福祉協会会長と野口豊 長崎県視覚障害者協会会長の議事進行の下、令和6 年度の運動方針(案)及び団体提出議案について議論が行われました。 【写真】第1回全国団体長会議の様子  はじめに、運動方針(案)について竹下義樹 日視連会長から説明がありました。竹下会長は、今年度から、社会福祉法人としての事業計画は年単位の短期の計画、運動団体としての運動方針は中長期のビジョンを掲げることとした旨を説明し、課題ごとの現状と目標として、主に次の8つを挙げました。 1.各種のデジタル化に向けた取り組み 2.読書バリアフリーの実現、解説放送、金融機関での代筆・代読支援等の情報保障 3.医療段階からの早期相談や各種支援機関と連携した相談支援体制 4.駅の無人化や電動キックボードの利用拡大に際しての安全確保等の外出保障問題 5.就労への取り組みでは、あはきの研修に関する就労移行支援事業所の立ち上げや一般就労の事例収集・フォーラムの開催 6.教育関連では「あはきと理療科教育の未来を考える懇談会」の検討を踏まえたグランドデザインの提示、視覚障害児童・生徒に対する教育体制(インクルーシブ教育を含めた教育体制の整備や通学・通園支援要求等) 7.能登半島地震をはじめとする各種災害の経験を踏まえた災害・防災対策 8.生活を豊かにし、自己実現を図る上で重要な文化・芸術、スポーツへの取り組み  また、参加者からは、視覚障害者の賃貸住宅の借用が難しいことから、それについて取り組みを進めてほしいこと、能登半島地震の募金の取り扱いについて説明してほしいことが意見として述べられました。  それらに対し竹下会長は、第5次障害者基本計画及び障害者差別解消法における合理的配慮の提供の両面において、障害者が賃貸住宅を円滑に借用できるよう取り組むことが示されているが、日視連の運動としてそれらの徹底を求めていくこと、能登半島地震の募金の取り扱いは、日視連等が構成団体となっている日本盲人福祉委員会(日盲委)が取りまとめて配分等を行っており、今後も募金活動等の支援を継続していくが、5月末時点で1千万円以上の募金が集まっていることなどを説明しました。  続く団体提出議案に関しては、直前に行われた生活、バリアフリー、職業の3つの分科会について各分科会の座長より報告が行われ、その後の質疑では、あはき業者がマイナ保険証の取り扱いでマイナンバーカードの読み取りができない場合について何か情報を持っているかとの質問があり、これについてカード読み取りの機器操作が難しい視覚障害者の実態を厚労省に伝え、引き続き対応を求めていきたいとの説明がありました。また、踏切の安全対策としての誘導ブロックの敷設について質問があり、それについては従来とは異なるブロックを国交省がガイドラインで示しており、その製造メーカーなどの具体的情報に関しては国が把握している可能性があることが述べられました。  最後に事務連絡として、3つ報告がありました。1つ目は、能登半島地震の募金について各加盟団体の協力もあって日盲委によると5月末時点で約1,200万円の募金が集まったこと。2つ目が、拡大読書器の基準額増額を求める活動に協力していただいたが、その成果をみるためのアンケート調査を予定していること。最後、3つ目が、視覚障害者ガイドヘルパーの日(12月3日)に同行援護従業者功労表彰(仮称)を 含むイベントを行う予定であることの説明でした。  そのほか、日視連青年協議会(以下、青年協)から、青年協のメーリングリストへの担当者の登録、青年協の各種オンラインイベントへの参加、非会員と青年部のパイプ役をお願いしたいことが述べられました。 式典は今年もライブ配信  2日目(6月3日)には、ホテルメルパルク熊本を会場とし、来場者に加えてYouTube配信の視聴者を交えて、大会式典及び大会議事を開催しました。 【写真】式典で祝辞を述べる木村敬熊本県知事  第1部の大会式典では、小島義久 宮崎県立視覚障害者福祉協会理事長の開会宣言、国家斉唱、会歌斉唱、黙祷の後、村上芳継 熊本県視覚障がい者福祉協会会長から歓迎の挨拶が述べられました。 次に、竹下義樹 日視連会長は主催者挨拶として、全国大会がコロナ前の規模に戻り、全国から会員が参加できるようになったことの喜びと感謝を述べたうえで、第77回大会が、新しい発想で運動をさらに前進させるスタート地点になることを確信しているとし、全国大会の開催に向けてご尽力された地元会員の方々をはじめ多くの方に感謝の意をあらわしました。  続いて、日視連顕彰表彰式、木村敬 熊本県知事、金子恭之 衆議院議員並びに熊本県視覚障がい者福祉協会顧問、大西一史 熊本市長、橋本岳衆議院議員並びに日視連顧問の来賓祝辞の後、川部勝一 厚生労働省障害保健福祉部企画課自立支援振興室長による武見敬三 厚生労働大臣の祝辞代読、森田浩司 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育調査官による盛山正仁 文部科学大臣の祝辞代読、斉藤鉄夫 国土交通大臣からの祝電が披露されました。  第2部の大会議事では、吉松政春 日視連副会長の司会、片岡美佐子 日視連副会長、松下貴則 福岡県盲人協会会長の議事進行の下、令和5年度決議処理報告、令和6年度運動方針を執行部の原案通り全会一致で可決。続いて、宣言・決議も全会一致で採択されました。  さらに、次年度の第78回大会開催地団体を代表して、今野正隆 千葉県視覚障害者福祉協会会長から挨拶があり、来年5月25日(日)と5月26日(月)に千葉県千葉市で開催することが報告されました。  最後に、前田則浩 熊本県視覚障がい者福祉協会副会長から閉会が宣言され、拍手の中、来場者とオンライン視聴者を交えた2日間にわたる大会が幕を閉じました。 【写真】次期開催地を代表して挨拶する今野正隆 千葉県視覚障害者福祉協会会長 イベントも開催 盛況を博す  今大会は、2日目に大会のサブイベントとして「見えない見えにくい人向け機器展」を開催しました。  白杖や遮光眼鏡といった補装具、拡大読書器やルーペなどの日常生活用具、便利グッズの展示・販売のほか、視覚障がい者向け歩行ナビゲーション「あしらせ」や視覚障がい者歩行支援アプリ「アイナビ」の紹介ブース、国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局福岡視力障害センターによる就労移行支援・自立訓練に関する相談など、さまざまな催しがあり、多くの人が来場し、会場は賑わいをみせました。 日視連顕彰被表彰者(敬称略・順不同でご紹介します) 【村谷昌弘賞】特別組織功労 富田清邦(東京都) 【礎賞】組織功労 佐々木秀勝(青森県) 鴫原真一(仙台市) 井上誠一(大阪府) 土屋久美子(堺市) 川田忠茂(岡山県) 小山田稔(福岡市) 藤井眞一(大分県) 【青い鳥賞】福祉・文化功労 殿山隆行(札幌市) 工藤幸雄(青森県) 金野守(岩手県) 藤岡健次(愛媛県) 【光の泉賞】内助等功労 菊池正明(北海道ブロック・北海道) 澁谷富子(東北ブロック・青森県) 塘添明美(北信越ブロック・富山県) 肥留間俊治(東海ブロック・三重県) 中西多恵子(近畿ブロック・滋賀県) 山本美佐江(近畿ブロック・兵庫県) 山路広美(中国ブロック・広島県) 小石敬子(九州ブロック・大分県) 【感謝状】 学校法人 清水学園西日本教育医療専門学校 社会福祉法人 熊本県視覚障がい者福祉協会 【写真】村谷昌弘賞を受賞した富田清邦元日視連音楽家協議会会長 --2.内閣府障害者政策委員会に要望書提出 【写真】左から、ろうあ連盟 山根本部事務所長、日視連 竹下会長、内閣府 小林参事官、日視連 田中評議員、全難聴 宇田川副理事長  6月10日、日本視覚障害者団体連合、全国盲ろう者協会、全日本ろうあ連盟、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の4団体は、連名の要望書を内閣府の障害者政策委員会に提出しました。  情報を取得すること、移動することのほか、日常生活または社会生活を送る上での障壁の解消をめざすためには、令和4年10月7日に国連障害者権利委員会から出された日本に対する総括所見の指摘を踏まえて、現在の日本における問題点を整理し、法整備を含めた制度の改善を検討する必要があるとの考えから、内閣府障害者政策委員会が障害者権利条約の国内実施を監視する役割を果たす為、本要望書を提出しました。  当日は、内閣府の障害者施策担当の小林参事官に要望書を手渡し、障害者基本法の改正が必要なこと、裁判に関する情報保障を充実させること等を強く求めました。  要望書全文は、日視連ホームページ(http://nichimou.org/all/news/secretariat-news/240613-jimu/)からみることができます。 【写真】内閣府 小林参事官に要望書を渡す日視連 竹下会長 --3.自民党ユニバーサル社会推進議員連盟に要望書提出  6月18日(火)、日本視覚障害者団体連合は「自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟」の総会に出席し、要望書を提出しました。  同議員連盟は、我が国における移動や情報のバリアフリーの推進を通して、ユニバーサル社会の実現を目指すために組織されたものになります。総会には、同議員連盟に所属する国会議員、関係府省庁の担当者、障害関係団体が参加し、日視連からは会長の竹下義樹、常務理事の三宅隆が出席しました。  日視連が提出した要望書は、駅の無人化に関すること、情報アクセシビリティの確保に関することに焦点を絞り、要望をまとめています。特に、情報アクセシビリティの確保においては、竹下会長より「視覚障害者はマイナ保険証を使いたくても使えない。国の責任の下で、視覚障害者がマイナ保険証を使えるようにしてほしい」と強く訴えました。  なお、後半の意見交換の時間では、同議員連盟会長の石破茂衆議院議員より、鉄道事業における省人化について意見がありました。石破会長からは、みどりの窓口の閉鎖、新幹線の車内サービスの簡略化の流れを踏まえ「様々な理由で鉄道事業者が省人化を進めていることは理解できるが、視覚障害者のようなサービスを利用したくても利用できない人がいることは考えられているのか。国や鉄道事業者は、こういった人のことも考えて施策の推進や事業を進めるべきだ」との意見がありました。  要望書全文は、日視連ホームページ(http://nichimou.org/all/news/secretariat-news/240613-jimu/)からみることができます。 【写真】意見を述べる日視連 竹下会長と三宅常務理事 --4.第25回日本ロービジョン学会学術総会でポスター発表  日視連では、眼科の医学的な治療が終了し、医療機関において視覚障害になる可能性の告知を受けた方々へ早期に気持ちに寄り添った支援をすること、また、視覚リハビリテーションを含む福祉・教育・就労支援等につなげ、体制を構築することを目的とした調査を令和4年から行っています。その調査において、英国の早期相談・介入の取り組みを参考に、現在の日本での取り組みの現状と課題を踏まえて検討をしています。  英国では医療機関を拠点に患者とその家族らに対して、早期から気持ちに寄り添った支援や、すぐに活用できる支援を行うとともに、福祉・教育・就労等の社会資源へ橋渡しを担う専門家であるECLO【エクロ】(Eye Clinic Liaison Officer)のシステムが確立されています。そして、ECLOのうち半数が視覚障害のあるECLOであることも特徴です。  また、ECLOの養成や活動に際し、視覚障害当事者団体である英国王立盲人協会(RNIB)が大きな役割を果たしています(令和4年調査報告書URL:http://nichimou.org/all/news/other/230630-jouhou-1/)。日視連は、このECLOシステムに着目し、昨年8月には、専門家とともに5日間にわたる現地調査を行い、ECLOの役割や仕事、システムの仕組み、運営等について、現場で活躍しているECLOやシステムの運営側であるRNIBから話を伺いました。  日視連は、この英国での現地調査の結果から明らかになった視覚障害者が活動する意義やその支援体制について、埼玉県さいたま市の埼玉会館を会場に5月24日から5月26日の3日間にわたり開かれた第25 回日本ロービジョン学会学術総会で発表しました。  発表者代表の吉泉豊晴 情報部長は発表の中で、視覚障害のあるECLOのやりがいや意義に触れたうえで、視覚障害があることで自分が視覚障害のことを全て理解していると思い込んでしまい、相手に自分の考えを押し付け、相手に寄り添えないことも懸念されることや視覚障害者がこれまでの経験を活かすための研修の必要性について言及しました。当日は、医療関係者や視覚障害支援施設の職員との議論も行われ、有意義な時間となりました。 【写真】ポスターの前で発表する吉泉豊晴情報部長 --5.東京都専門点訳奉仕員養成講習会受講者募集  日視連では、東京都の委託による「令和6年度専門点訳奉仕員養成講習会」を実施しております。下記の要領で実施いたしますので、お知り合いのボランティアなど関係する方々にご案内いただけますと幸いです。 (対象)点訳の知識と経験があり、受講後に都内で活動できる方 (期間)令和6年10月1日〜令和7年2月21日 英語コース:火曜日 10時〜12時 触図コース:金曜日 10時〜12時 コンピューターコース:水曜日 13時半〜15時半 (定員・回数)各コースとも定員10名、全10回 (申込書請求)8月1日〜9月2日(必着)に希望コース名を明記した用紙と、住所・氏名を記入し94円切手を貼った返信用封筒(長形3号)を同封の上、下記まで郵送ください。申込時に課題提出と来館による試験があります。詳細は、日本視覚障害者団体連合ホームページ(http://nichimou.org/)をご覧ください。 (問い合わせ先) 日視連点字図書館 講習会担当 (電話03-3200-0011 内線番号:7番) --6.ご寄付のお願いについて  日本視覚障害者団体連合は視覚障害者自身の手で、<自立と社会参加>を実現しようと組織された視覚障害者の全国組織です。  1948年(昭和23年)に全国の視覚障害者団体(現在は、都道府県・政令指定都市60団体が加盟)で結成され、国や地方自治体の視覚障害者政策の立案・決定に際し、当事者のニーズを反映させるため、陳情や要求運動を行っています。  活動内容は多岐にわたりますが、そのために必要な経費の確保は、厳しい財政の中困難を極めています。  視覚障害者福祉の向上を目指し、組織的な活動を維持していくため、皆様からの特段のご厚志を賜りますよう、何とぞ宜しくお願い申し上げます。 ■ゆうちょ銀行 記号番号 00160−5−536104 加入者名 社会福祉法人日本視覚障害者団体連合 ■みずほ銀行 店名 高田馬場支店 預金種目 普通  口座番号 2868101 カナ氏名(受取人名)フク)ニホンシカクショウガイシャダンタイレンゴウ ※領収証が必要な方、本連合が振り込み手数料を負担する専用の振込用紙をご希望の方は、日本視覚障害者団体連合までご連絡ください。(電話:03−3200−0011) --7.奥付 愛盲時報 令和6年1月25日(木)第281号 ※この愛盲時報は鉄道弘済会の不動産賃貸事業などの益金等、日本盲人福祉委員会の愛盲シール維持会費の中から贈られた寄付金などで作られたものです。 発行所:社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合  〒169-8664東京都新宿区西早稲田2-18-2 発行人:竹下 義樹 / 編集人:吉泉 豊晴 電話:03-3200-0011/FAX:03-3200-7755 URL:http://nichimou.org/ Eメール:jouhou@jfb.jp(情報部) 以上で、愛盲時報 令和6年7月25日(木)第283号を終わります。