第3回点字考案200年記念事業記念講演会inサイトワールド2023 第二部 日本における児童・生徒、中途失明者に対する点字指導のあり方 点字指導の実際  ――「私の文字」と胸を張って社会へ出るために――心を育む現場から 福島県立視覚支援学校教諭 渡邊寛子 1 点字切り替え・導入の事例から  1.中途失明生徒への切り替え ―― 大学時代の点訳ボランティアと国立塩原視力障害センターでの生活訓練の経験を活かして   @復帰後初仕事は15歳(高1)への切り替え   A14歳(中2)への触読指導   B17歳(高2)での併用   C18歳(高3)専攻科へ進む前に   D30〜50代 保健理療科の国語の授業 週2回  2.先天盲5歳 ―― 地域の小学校へ上がる前に  3.結論    @触読指導の目標をはっきりと。    何のために、いつまで、どのくらいの速さ?    この後の人生をどう歩みたいか   A触読速度変化比較データ(18人の記録)からの考察    1ページ18行初見で何分で読めたか 2 小学1年生からの指導のお手伝い  小学一年国語1−1、算数1−1は点字の触読に特化  発達段階に応じて読み物を準備  国語の単元テストや夏休みの課題の校正 3 校内文字能力テスト:五十音書き、転写、聴写、速読  1. 点字を速く正確に、読み書きする力を育てる  2. 小学生が高校生と共に受ける機会を意図的に作る  3.速読練習用題材   @「アミドゥブライユ」のバックナンバーを活用   A去年の図書便り   B秋の読書  4.点字の文字能力テストの残り時間は、空間認知と触察能力向上を目指して点字つきかるたとり 4 本を読んで行動を起こす  1.今年度小学生課題図書「給食室の1日」、昨年度「おすしやさんにいらっしゃい! 生きものが食べものになるまで」  2.「犬と話をつけるには」 数年後盲導犬ユーザーに。  3.「赤毛のアン」の舞台へ高校生の夏休みに家族旅行  4.ココイチ カレーハウス創業者の半生を読んで憧れ、大学進学を目指す。コロナ1年目のテイクアウト体験  5. 1.@の15歳の場合   @五十音、清音が一通り終わった後の壁    → くじけそうになっても、「あきらめさせないでください」   A読みたい小説を片面で出す。    → 点の潰れないピンディスプレイ     → 教科書は紙なのでと自分から紙に戻る   Bスピーチ「私の宝物紹介」:手(点字を読む指)   C3月に作文コンクールで最優秀賞。表彰式で朗読しなくてはならなくなった。点字用紙5枚を1ヶ月で20分→5分半   D卒業後、「歴女と知り合ったので、点字で歴史小説を読んでいます。」 最後に  5歳で点字導入した生徒がこの4月に大学進学  「私の文字」をありがとう(点訳ボランティアにじの会40周年に寄せて)  5月の大学祭で、点字サークルで初めて教える体験  つながっていく点字のご縁  未来を拓く若い力に期待