能登半島地震について最初にお話をさせていただきます。これまでにもお伝えした通り、1月1日に発生した能登半島地震について、私自身は、毎日忘れることはありえません。私自身が輪島市で生まれ、15歳まで育った一人として、そして私の実家もこの地震で壊れてしまったという立場からもそうですが、これまで私自身が、東日本大震災の被災者支援に入った時も、熊本地震の支援に入った時も、いつも頭にあることが一つです。それは視覚障害という障害の特性に対して、どれだけ周囲の人たちが理解をして私たちの支援をしてくれているのだろうか、ということであります。  先日NHKの特集番組を見ておりまして、能登半島の状況が報告されていました。その中で、被災地における困難者の一つのカテゴリーとして、障害者の問題が取り上げられていました。他には高齢者や外国人も取り上げられておりました。障害者としてその時取り上げられていたのは、知的障害者の被災状況、あるいは避難の困難性というテーマでした。残念ながら身体障害者、あるいは視覚障害者の状況はそこでは取り上げられていませんでした。私としては少しエゴ的かもしれませんが、悔しい思いをしました。災害において私たち視覚障害者が、どれだけ周囲からそれまでも理解されていたかが問われますし、いざ被災者となった時に、見えないことから来る不安、困難、あるいは助けて欲しい内容がどれだけ皆さんに理解されているかということが、常に私は頭から離れません。そのことがそういうメディアでも取り上げていただいて、全体に広がることを私は強く願いたいわけであります。  そういう意味では日視連の活動、あるいは北陸三県の各団体の役割というものは、大きな存在ということになるのではないかなとも思っております。今後、現地の状況が少しずつ明らかになる中で、私たちができること、そして私たちが周囲に伝えていかなければならないことをみんなで考えながら復興に向けて、あるいは新しいふるさとの建設に向けて、我々も応援していきたいと思います。引き続き皆さんのご理解とご支援をお願いしたいと思います。  さて、少し別の話をさせていただきます。私は、今回の能登地震でも感じたことですが、眼科医の方々との連携というのは、非常に大事になってきたなと思っております。例えば、日本眼科医会がロービジョン学会と共同して拡大読書器の価格の設定を、現在の状況に合わせて値上げしていただくことを全国の都道府県、市町村にお願いする活動をしておりますが、それに私たちの団体も足並みをそろえて眼科医会と一緒に行動するということを開始しました。  また、全国に出来上がってきたロービジョンネットワークの中で、私たちの役割も考えていく必要があります。眼科医との結びつき、眼科医と一緒に活動することによって私たちの仲間をこれからも募っていくこともできますし、私たちの日頃の悩みを聞いていただける大きな存在としての眼科医の存在をより一層大事にしていきたいと思います。