韓国の「点字法」制定過程と意義  シロアム視覚障害者福祉会 常任理事 チェ・ドンイク 1.点字法の概要  2016年5月29日 第19代国会において制定された法律(議員立法)  全20条で構成される  2017年5月30日施行(大統領令第28056号)  最終改正は2019年7月9日実施の点字法施行令(大統領令第299872号) 2.点字法制定の意義  点字法の意義は下の四つである。  一つ、点字使用に対する権利を認めたことだ。第1条目的では「この法は点字及び点字文化の発展と保全の土台を作り、視覚障害者の点字使用の権利を伸張させ、生活の質を向上することを目的とする。」といって、この法が視覚障害者の点字使用の権利伸張を目的で作られたことを示している。これに従って、視覚障害者は政府部局や公共機関で作る各種の広報物を点字印刷物で要求することができる。また、この法では政府は点字発展計画や実態調査等をするように規定している。  二つ、点字をハングルと同じ公式文字と認めた点である。第4条1項では「点字はハングルと共に大韓民国で使用される文字であり、一般活字と同一の効力を持つ」とした。さらに、第10条では点字の再改定を政府の承認下にするようにし、点字が国家的文字であることをさらに確実にしている。  三つ、政府と自治体が点字と関連した予算を支援するようにした点である。第12条2項では点字施設に対する予算を政府が支援するように規定している。主に文化観光体育部傘下の障害者図書館に対する予算の支援の根拠を作った。ただ、図書館を規定する図書館法では‘点字図書館’や‘視覚障害者図書館’ではなく、‘障害者図書館’という用語を使っていて、概念上混乱を招く恐れはある。また、第16条では、政府が点字と関りがある民間団体にも予算を支援という内容を、第17条では4次産業革命時代に備え、点字関連機器を政府が開発及び普及する内容を含んでいるが、第16条と第17条はいまだに施行されていない。 四つ、11月4日を国家記念日‘ハングル点字の日’と指定したことである。11月4日はもともと民間の視覚障害者関連団体が‘ハングル点字の日’として各種の行事を行っていたが、国家記念日には定められていなかった。この法を通じて、この日を公式化した。 参考資料: 点字法(抜粋) 法制処 国家法令情報センター [施行2017.5.30.][法律第14205号、2016.5.29.、制定] 文化体育観光部(規制改革法務担当官) 044-203-2255 第1条(目的) この法律は点字や点字文化の発展と保全の基盤を樹立し、視覚障害者の点字使用権を拡張し、生活の質(QOL)を向上させることを目的とする。 第4条(点字の効力や差別禁止) @点字はハングルとともに、大韓民国で使用される文字であり、一般の活字と同一の効力を持つ。 A公共機関等は立法・司法・行政・教育・社会文化的に点字の使用を差別してはならない。 第10条(点字規定等の制定や改正) @文化体育観光部長官は、点字関連専門家等の審議を経て点字規定を制定し、その内容を官報にて告示しなければならない。これを改正する場合もまた同様である。 第11条(点字教育の基盤造成) 文化体育観光部長官は、教育部長官、保健福祉部長官と協議し、点字を学ぼうとする人のために教育課程と教材を開発・普及しなければならない。 第16条(民間団体等の活動支援) 国家と地方自治体は点字の発展と普及を目的に活動する法人・団体等に対して行政的・財政的支援を行うことができる。 第17条(点字情報化の促進) @文化体育観光部長官は点字を通じて知識と情報を生産し活用できるよう、点字情報化に向けた各種事業を積極的に実施しなければならない。 A文化体育観光部長官は、基本計画によって視覚障害者が点字を容易に使用できるよう、点字の使用・点訳・校正に必要なソフトウェア、機器、サービス等の開発・普及を支援しなければならない。 第18条(点字関連の専門人材への資格付与等) @公共機関等は点字関連の専門人材に対し、資格を付与することができる。 A第1項による資格の種類、資格要件及び資格付与の方法等に必要な事項は大統領令にて定める。