2022年2月7日 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律 19条訴訟における最高裁判所判決に対する声明 あん摩師等法19条連絡会 代表者 竹下義樹 平成医療学園グループは、福島県、神奈川県、大阪府及び兵庫県に設置しているはり師きゅう師を養成する専門学校ないし大学にあん摩マッサージ指圧師の養成課程を新設するための施設認定請求があん摩師等法19条1項によって厚生労働大臣及び文部科学大臣によって棄却されたことから、これを不服として2016年(平成28年)7月に認定処分取消訴訟を仙台地方裁判所、東京地方裁判所及び大阪地方裁判所に提起しました。 そこで、視覚障害者団体や鍼灸マッサージの職業団体等の関係16団体が結集して「あん摩師等法19条連絡会」を結成し、平成医療学園グループが提起した訴訟は視覚障害者の職業的自立を破壊するものであり、自らの利益のみを図ろうとするものであるとして、その主張の不当性を訴えてきました。その結果、2019年12月16日に東京地方裁判所は平成医療学園グループの主張を排斥し、わが国においては視覚障害者の職業的選択が未だ十分には保障されておらず、極めて狭い範囲でしか就労できていないという視覚障害者の就労実態をふまえ、今なおあん摩マッサージ指圧師の分野においては視覚障害者の就業を保護する必要性があるとして、そのためには晴眼者のためのあん摩マッサージ指圧師の養成課程の新設を制限することを定めたあん摩師等法19条は憲法22条に反しないと判示しました。そして、2020年2月25日には大阪地裁が、2020年6月8日には仙台地裁が東京地裁と同様の判決を言い渡しました。 ところが、平成医療学園グループは、それらの判決を不服として控訴しましたが、そのいずれの控訴審においても平成医療学園グループの控訴が棄却されたため上告しましたが、本日すべての上告が棄却されました。 最高裁判所第2小法廷は、下級審と同様に、わが国における視覚障害者の就労実態をふまえ、今なおあん摩マッサージ指圧師の分野においては視覚障害者の就業を保護する必要性があり、そのためには晴眼者のためのあん摩マッサージ指圧師の養成課程の新設を制限することを定めたあん摩師等法19条は憲法22条に反しないと判示しました。 わが国においては、現在でもあん摩マッサージ指圧師のうち晴眼者が8割を超える実情であり、あん摩師等法19条による規制が緩和されるようなことがあれば、さらに晴眼者の占有率が加速度的に拡大し、この分野における視覚障害者の職業的自立は成り立たなくなることを考えれば、最高裁があん摩師等法19条の合憲性を認めたことは極めて正当であり、私たちにとっては大きな喜びです。私たちは、今後も多くの視覚障害者があん摩マッサージ指圧師という職業によって経済的に自立し、社会に貢献できるよう努力する決意です。