表紙 厚生労働省令和2年度障害者総合福祉推進事業 視覚障害者の就労のために効果的なICT訓練の実施に向けた調査研究事業 報告書(テキスト版) 令和3年(2021年)3月 社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 ※テキスト版について 1.目次 目次ページには、各章内の節のページ番号を追加で掲載する 2.第3章〜第5章の調査結果 クロス集計の結果は割愛する 3.資料A 調査票 テキスト版では割愛する 目次 ※テキスト版のみ、各章内の節のページ番号を掲載する はじめに 1ページ 第1章 事業概要 3ページ 1 事業の概要 4ページ 2 本報告書で使用する用語について 6ページ 第2章 調査に向けた論点整理 7ページ 1 視覚障害者とICTの現状 8ページ 2 視覚障害者の就労とICTの課題 14ページ 3 調査の方向性 20ページ 第3章 調査@ 視覚障害あはき師に対する調査 23ページ 1−1 書面調査 調査概要 24ページ 1−2 書面調査 結果 25ページ 2−1 ヒアリング調査 調査概要 50ページ 2−2 ヒアリング調査(個人開業) 結果 51ページ 2−3 ヒアリング調査(ヘルスキーパー) 結果 56ページ 第4章 調査A 訓練機関等に対する調査 61ページ 1−1 書面調査 調査概要 62ページ 1−2 書面調査 調査結果 63ページ 2−1 ヒアリング調査 調査概要 82ページ 2−2 ヒアリング調査(障害福祉サービス) 結果 83ページ 2−3 ヒアリング調査(パソコンサポート団体) 結果 88ページ 第5章 調査B あはき師養成機関に対する調査 95ページ 1 書面調査 調査概要 96ページ 2 書面調査 結果 97ページ 第6章 考察・分析 101ページ 1 視覚障害あはき師に対する調査 102ページ 2 訓練機関等に対する調査 122ページ 3 あはき師養成機関に対する調査 133ページ 第7章 まとめ 137ページ 1 調査結果の整理 138ページ 2 提言 142ページ 3 今後の課題 145ページ 資料@ ICT訓練等の実施機関の紹介 149ページ 1 自立訓練(機能訓練/視覚)の施設 150ページ 2 就労支援の施設 152ページ 3 パソコンサポート団体 154ページ 資料A 調査票、関連資料 157ページ 1 視覚障害あはき師向け書面調査 調査票 158ページ 2 訓練機関等向け書面調査 調査票 160ページ 3 あはき師養成機関向け書面調査 調査票 161ページ 4 療養費支給申請書(入力補助シート付) 162ページ おわりに 164ページ 【報告書について】 1.本報告書の書体、文字サイズ  弱視者の見やすさに配慮して、次の掲載ルールを基本に編集を行った。なお、この書体等が全ての弱視者にとって必ずしも読みやすいものとは断定できない。  ・タイトル        ゴシック体、20ポイント、太字  ・本文          ゴシック体、14ポイント、太字  ・その他(注釈、引用等) ゴシック体、10ポイント、太字  ・特定文字        数字:全角(ページ番号、表とグラフは半角)               アルファベット:全角(URL等は半角) 2.データ版の公開  本報告書のデータ版は、本連合のホームページに掲載を行う。墨字版(PDF版)の他に、テキスト版、点字版、デイジー版を掲載する予定となっている。   日本視覚障害者団体連合 ホームページURL http://nichimou.org/ 3.視覚障害者に関する名称の統一  視覚障害の状態を表現するための用語には様々な種類があるが、本報告書では全盲、弱視、盲ろうという用語を用いる。 1ページ はじめに  ICTをはじめとするデジタル機器は、社会の基礎的なツールとして普及しています。そして、国もさらなるデジタル化を推進するため、「デジタル庁」を創設しようとしています。そうした中にあって、視覚障害者のICTをはじめとするデジタル機器の活用状況は十分に向上しているとは言い難い状況があります。とりわけ、視覚障害を有するあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、つまり「あはき師」の中で、ICTを使いこなしている者はごく僅かでしかありません。  視覚障害者の職域は、一方ではICTの進歩によって広がっているものの、他方ではあはき業のように、ICTの普及が職域を狭めかねない状況になっているといった懸念があります。ICTは、あはき業を取り巻く環境の変化を的確に把握したり、資質向上に必要な学習教材等の資料を獲得する上で必要不可欠となっています。さらに健康保険を適用してあはき業を営むためにも、極めて有用です。あはき業は、これまでも視覚障害者の職業的自立の中心でしたが、そのことはこれからも変わることはありません。それどころか、ICTを十分に活用し健康保険を取扱うことによって、あはき業を魅力的な職域として発展させることが必要です。  そうした強い思いから、令和2年度障害者総合福祉推進事業として、視覚障害者のICT利用に関する現状、とりわけ視覚障害を有するあはき業者にとってのICTの活用に関する現状や課題を調査することにしました。この調査を通じて見えてきた問題点、あるいは解決すべき課題を今後どのように克服するかについても考えていくことが、本調査の目的であり、本連合としての願いであります。  新型コロナウイルスの感染拡大という困難な中にあって、本調査にご協力いただいた全ての皆様、氏間和仁委員長をはじめとする各委員のご尽力により、当初の目標を達成できたことに心から感謝申し上げます。本連合としては、本調査で明らかとなった課題を解決するために必要な施策を関係方面に提言するとともに、引き続き本調査の結果を踏まえたさらなる調査研究を継続する所存です。 3ページ 第1章 事業概要 4ページ 1 事業の概要 1.事業名  厚生労働省令和2年度障害者総合福祉推進事業  「視覚障害者の就労のために効果的なICT訓練の実施に向けた調査研究」 2.事業の目的  視覚障害者が就労する上で、情報処理や通信技術(ICT)を習得・活用することが今や必須とされている。一般事務職、公務員等と同様に、多くの視覚障害者が就いているあん摩マッサージ指圧、はり、きゅうの職種においても、ICTを使用した事務処理スキルが必要とされている。ただし、これらのスキルの習得には様々な課題があり、多くの視覚障害者は満足に訓練や支援を受けられていない現状がある。そこで、視覚障害者にとって効果的なICT訓練等が受講できる体制の充実を図ることを最終的な目的とし、本事業を実施する。特に、次の論点を整理するため調査等を実施し、効果的なICT訓練等の在り方を検討する。   論点@ 視覚障害者にとって効果的なICT訓練等の実施方法の在り方   論点A 地域でICT訓練等を受けるための効果的な支援方法の在り方 3.事業内容 (1)検討委員会の設置  上記論点の課題整理を行うために検討委員会を設置し、次の事項について検討を行う。  @ICT訓練等に関わる現状整理  A調査の実施内容  B調査結果のまとめ (2)調査の実施  検討委員会の検討内容に基づき、次の方法で調査を実施する。  @書面調査  Aヒアリング調査 (3)報告書の作成  調査の結果と検討委員会での意見を踏まえ、本調査のとりまとめとして報告書を作成する。なお、報告書の作成後は、全国の視覚障害関係団体や関係機関等に報告書を配布し、調査結果の周知を行う。 4.検討委員会の概要 (1)委員名簿(順不同・敬称略)  氏間 和仁  広島大学大学院人間社会科学研究科 准教授【委員長】  竹下 義樹  社会福祉法人日本視覚障害者団体連合 会長【副委員長】  下山 敬寛  国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局第1自立訓練部 視覚機能訓練課長  田中 秀樹  東京都立文京盲学校専攻科 主幹教諭  平瀬 芳美  国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局函館視力障害センター 教官  古村 法尾  公益社団法人東京都盲人福祉協会三療部 部長  柳田 友和  社会福祉法人日本視覚障害者職能開発センター 主任職業指導員  山賀 信行  特定非営利活動法人スラッシュ 副理事長 (2)開催日程 第1回 期日:令和2年8月7日 場所:日本視覚障害者センター、オンライン 議事:ICT訓練等と就労に関する課題整理、調査に向けた検討 第2回 期日:令和2年9月18日 場所:日本視覚障害者センター、オンライン 議事:書面調査の検討 第3回 期日:令和3年1月15日 場所:日本視覚障害者センター、オンライン 議事:書面調査の結果の検討、追加調査の検討 第4回 期日:令和3年3月5日 場所:日本視覚障害者センター、オンライン 議事:調査結果のとりまとめの検討、報告書の検討 6ページ 2 本報告書で使用する用語について 1.ICT訓練  本報告書では、視覚障害者がパソコン等のICTを利用して、文書作成や情報収集のための操作方法を指導することを「ICT訓練」とした。主に、画面読み上げソフト(スクリーンリーダー)を使用した操作方法、文字を拡大して見やすい画面環境での操作方法、各種ソフト等の使用方法の指導が中心となり、視覚障害者のニーズに合わせた幅広い指導が実施されている。  なお、本報告書では、訓練機関とは別に視覚特別支援学校等の教育機関及び視覚障害者のパソコン利用を総合的に支援する機関等も多いことから、これらの機関を総称して「ICT訓練機関等」と記載した。また、ICTに関する訓練や指導は「ICT訓練等」とまとめる形で記載した。 2.あはき  国家資格である「あん摩マッサージ指圧」「はり」「きゅう」の3つを総称する呼び名が「あはき」になる。本報告書では、この総称に統一して記載した。なお、これらは「三療」や「理療」と総称することもある。  あはきは視覚障害者にとって日本古来の重要な職種であり、現在も視覚障害者の多くが従事する職種である。多くの視覚障害者は、あはきの知識及び技術を専門機関(あはき師養成機関)で習得し、国家資格を取得後、様々な形であはき業に従事している。例えば、自宅等に施術所を開業する、施術所に勤務するといった方法に加え、近年では老人介護施設に機能訓練指導員として勤務する、企業等の職員向け施術所にヘルスキーパーとして勤務する等の形態がある。 3.療養費  あはきの施術に対する料金の支払いには、全身マッサージ1時間で5000円のような実費によるものと、健康保険によるものがある。この健康保険による支払いは、医療費同様、1割から3割の自己負担分と自己負担分以外の療養費に分かれている。療養費は、国民が納めている健康保険料等から支払われている。また、療養費の請求には、患者ごとに「療養費支給申請書」や「一部負担金明細書」等の書類作成が必要となる。なお、「療養費支給申請書」の見本は162ページに掲載する。