表紙 日本視覚障害者団体連合 弱視問題対策部会 弱視者の困り事 資料集 第1号 (令和元年12月発行)  【目次】  1 移動に関する困り事・・・・・・・1  2 弱視の父母の子育てでの困り事・・4  3 関連意見・・・・・・・・・・・・9  4 参考資料・・・・・・・・・・・10 【資料集について】 弱視者が日常生活を送る上で抱えている困り事、または困り事を解決できた成功例などについて、同部会の委員より寄せられた意見や事例、常任委員会の意見交換で寄せられた意見や事例を整理し、資料化を行う。 1ページ 1 移動に関する困り事            1.道路を歩くこと  ・点字ブロック上に自転車やバイクが停められていたり、歩行者が立ち止まってスマホを使用していたりすると、その点字ブロックに沿って歩けないので困る。  ・路側帯や歩道を通行している際、そこに自動車・バイクが駐車されていると衝突してしまう。また、自転車などは白杖で転倒させてしまうことがある。  ・側溝の蓋のグレーチングの隙間に白杖が引っかかることがあり、大変歩きづらい。  ・公共空間の広場や道路に流れるBGMや宣伝が、必要以上に大きな音だと困ることがある。特に屋根があるところでは反響音で方向が惑わされてしまう。 2.信号機  ・信号の種類がいくつもあるので、確認しづらいことがある。例えば、直進車のための信号が赤になったと思ったら、左折車や右折車のための信号が青になっている内容などは分かりづらい。こういった信号は、特に初めての場所で設置されていると困ってしまう。  ・信号機の色がどうなっているのかをスマホや特別な機器で分かるようにしてほしい。 3.自転車  ・夜間は、自転車が無灯火走行で走ってくると、その自転車が見えなくて困る。これは危ないのでやめてほしい。  ・歩道を走行する自転車と接触しそうになることがある。自転車に乗っている人は、歩行者がよけてくれると思っているようだ。  ・バス停を降りて歩道を歩こうとすると、自転車が点字ブロックの脇を通り抜けてくることがあり、恐怖を覚える。そのため、バス停一角を安全地帯とし白線で囲むなど、安全対策が必要ではないか。 4.電車、鉄道駅 (1)駅構内の安全対策  ・駅のホームにある柱の角は鋭利なので、ぶつかると大きな怪我を負う恐れがある。危険な柱にはカバーをするなど、安全対策を鉄道会社に実施してもらいたい。 (2)電車の押しボタン式開閉ドア  ・電車の押しボタン式開閉ドアは、そのボタンの位置が分かりづらい。無人駅やホームで待っている人がいない時、ボタンを探すことができず、電車に乗れなかったこともあった。  ・降りるときは支障がないが、乗るときはボタンを探すのが大変なので、非常に困っている。  ・いつ発車するかが分からない電車の壁を触って、ボタンを探すのは非常に怖い。そのボタン位置から音声が出てくれると助かる。  ・関西圏の電車は、冷房や暖房の温度を維持するために押しボタン式開閉ドアが増えてきている。 (3)電車の車両数  ・電車によって車両数が違うことがあり、大変困ることがある。止まるだろうと思ってホームで待っていたら、自分の目の前には止まらず、乗りたい電車に乗り遅れたことがある。電車の先頭は必ず進行方向の突端で止まるなど、全国で統一したルールがあると良い。 (4)駅員等からの支援  ・バスに比べて電車は他の乗客からの声掛けの機会が少ないように思える。乗客への啓発を鉄道会社に要請した方がよいのではないか。  ・海外の駅ホームでは、ホームは危険という認識があるためか、必ず駅員等がホームに立っていて、困っている人への支援などを行っている。そのため、支援が必要な人から駅ホームの整備等の改善を求める声は実は少ない。  ・一方で、日本では、こういった安全対策は、人ではなくモノに頼ってしまう傾向があり、この傾向があるからこそ無人駅でも良いとの考えが生まれているかもしれない。  ・視覚障害者への支援は、様々な面で柔軟に対応できる「人」が重要かもしれない。ただ、地方の無人駅など、駅員が支援をすることに限界があるところでは、地域のボランティアを活用するなど、人の支援の工夫も必要かもしれない。上手く工夫が出来れば、地域の雇用創出にもつながるのかもしれない。 5.エレベーター  ・上行きと下行きでチャイム音の高さを変えることができないのか。設置例があると聞いているが、自分の近くにはなく、不便をしている。 6.買い物  ・複数のレジがあるお店の待機列に並ぶ際、自分の順番が来たらどのレジに行けば良いのか分からず、困ってしまった。 7.車社会〜地方ならではの悩み  ・車社会の地域は、基本的に公共交通機関が貧弱で、視覚障害者の移動自体が困難になっている。そのため、福祉有償運送のない地域では、歩いて行けない距離の移動は大変困難です。  ・地方では、子どもの塾や習い事の送迎は母親の運転する車が基本になっている。そのため、車が運転できない視覚障害者は、子どもの送迎や病院への通院に困っている。  ・移動手段としてバスを利用するにも、視覚障害者は、まずバス停までの歩行訓練が必要なる。ただ、近くで歩行訓練を頼める人が存在しないので、近場まで歩くことも難しい。  ・弱視者の困り事は全盲者と被る部分もあると感じたが、地方ならではの困り事や高齢者の困り事は、弱視者特有の困り事になっている可能性がある。 4ページ 2 弱視の父母の子育てでの困り事       1.家事全般  ・料理(子供のお弁当、揚げ物、魚をおろすなど)、洗濯、アイロンかけなどの家事全般は、しっかりやってきた。家事は少し時間をかければ何とかしてできる。  ・調理のガスをIHヒーターに交換したら、安心して調理ができるようになった。 2.子どもの世話、育児、教育 (1)箸の持ち方を教える  ・隣に住む自分の親に頼んで教えてもらった。  ・子供の手許が見えないので、箸の使い方は見える家族の目が頼りでした。離乳食から、だんだん箸を持つようになった時には、自分が見本を見せて子供に真似してもらい、仕上げは他の家族にお願いした。 (2)読み書きを教える  ・入学前の文字の読みは自分の親に教えてもらった。  ・弱視の親が本を近づけて読み聞かせをしていてので、子供が真似して、目を近づけて読もうとしたことがあった。  ・文字の読み書きは、目を近づけて確認するしかない。ただ、目が使えなくなると、他の人に頼らざるを得なく、晴眼者の夫が宿題のチェックなどをしていました。  ・文字が見える先生や祖父母などに、書いた文字をチェックしてもらったり、良く書けたら褒めてもらう方法が効果的だった。実際に学校の教頭先生に手伝ってもらった。 (3)乳幼児検診  ・乳幼児健診の会場が頻繁に変わっていたり、引っ越すと自治体によって方法が違うことがあるので、検診会場までの移動が大変だった。  ・初めて会う保健センターの保健婦さんが弱視に無理解で怖い思いをした。 (4)その他  ・乳児の爪切りは大変苦労をした。  ・子どもの動きを知るために靴に鈴をつけた。  ・親が弱視だったので、自分が年長になったら妹の世話をさせられるようになった。 3.子供が親の障害を理解すること  ・子供は自然に理解してくれ、自然に手助けをしてくれていた。  ・子供が成長するにつれ、子供にも助けられていた。  ・全盲になり、訓練センターに入所した際、子供は小学生〜幼稚園年少だったが、特に説明しなくても理解してくれた。  ・全盲同士の夫婦の子供は、どんなに小さくても道案内が非常にうまい。全盲夫婦の友達のところに遊びに行ったら、子供が道案内をしてくれて、驚いた。  【実例】  ・運動会などでは、親が子供を探さないといけないが、子供から寄ってきてくれた。子供ながらに気が利いている。  ・親が正しくスプーンを口に運べないので、0歳児が自分の口へスプーンを誘導して食べようとした。  ・背中におぶっている1歳児が、歩いている前方にある障害物を言葉にならない声で一生懸命注意してきた。  ・学齢期になった娘が率先して買い物に同行し、手伝ってくれた。  ・兄弟の中で、上の子が下の子に文字の読みを教えていた。 4.周辺の人々からの理解(先生、保護者など) (1)障害の理解を促す  ・子供の学校で担任の先生が代わる際は、必ず親が弱視であることを伝え、理解してもらっていた。  ・子どもの担任の先生には自分の見え方を伝え、出来ないことはサポートしてもらった。  ・保護者には、自分の方から話しかけて、見え方を伝えた。行事には参加して保護者と交流をし、理解やサポートをしてもらった。  ・子供の数が少ないと保護者同士の人間関係も大変だと思うが、兄弟同士が同じ学年で、知っている保護者がいたので安心した。 (2)PTA、行事などへの参加  ・PTAは、自分が参加できるものは担当していた。中学校に入ると、役員ができそうな環境委員会を担当し、「あいさつ運動」などは出勤前に道端に立って声をかけていた。  ・子どもと一緒に演劇を楽しむサークルに入り、そこで一人の保護者が声をかけてくれ、徐々に交流が広がっていった。積極的に社会参加することは大切です。 (3)その他  ・転勤族は、なかなか周りの人と信頼関係を結ぶことができないので、人の力に頼りたくても頼れないことがある。  ・学級によっては親の派閥があり、その派閥に入れないと孤立してしまい、なかなか弱視である自分のことを理解してくれないことがある。  ・白杖を持ってる・持ってないとでは、周りからの理解度は変わり、実際に受けられる支援も変わってくる。白杖を持っている方が支援は受けやすい。 5.周りからのサポート (1)学校からのサポート  ・先生から近づいてきて話しかけてくれることがあり、これは助かった。  ・運動会の徒競走で子供が走っている時、放送で「〇〇君が走ってます」などと教えてもらったり、周りの人が説明してくれた。また、親子競技の時は、先生が一緒についてサポートしてくれた。  ・長女の5年生の母の日参観(初めての家庭科)。他の親たちは子供に協力することができるが、自分ではそれができない。ただ、担任の先生が「お母さんは絶対に手を出さないでください」と前置きしてくれた。自分の子供は、自分の力で作業を行い、その時に作ってくれたのは白杖のケースだった。今でも大切に使用している。 (2)周りからのサポート  ・近くに多くの友人知人に恵まれたので、いろいろと助けられてきた。  ・学校へ提出する体操着や給食費袋は作ることはできないので、知人に助けてもらった。  ・公園に行きたがる3歳児を公園に連れて行ったが、上手く見守りができなかった。ただ、同じ公園を利用している保護者と親しくなり、見守ってくれるようになった。  ・自宅だと動きやすいので、自分の家にママ友と子どもを呼んで、ホームパーティを開催した。そうすることで、自分の子どもがいろんなことを覚えることができた。  ・いろいろな保護者とお付き合いしていると、この人は自分のことを理解してくれる、誘導が上手いなど、弱視の自分にとって頼りになる人が現れたりする。そういう人を、ヘッドハンティングではないが、上手く捕まえることが大切だと思う。 6.困り事、心配 (1)学校との連絡  ・連絡ノートやお知らせ文書、プリントの内容が分からず、返事を急ぐ内容であってもすぐには対応できないことがある。晴眼者の夫の帰宅を待つこともあった。  ・書面での連絡や、その返事には苦労した。以前はカナタイプで書いたり、代筆してもらうこともあった。仕方がなく、電話で連絡することもあった。  ・文字を書くことができなくなっていたので、幼稚園の連絡帳は見える家族に読んでもらい、伝えたいことはワープロで打ち、その紙を連絡帳に貼り付けていた。  ・最近はLINEのグループ等で連絡が来るが、テキストではなく画像で来ることがあり、困ることがある。例えば、部活の大会の組み合わせ表を写真でまわってきて、そこに会場や開始時間の情報が書いてあったが、上手く確認することができなかった。  ・新学期が始まった直後の4月は、家庭の事情調査などの調査票がまとめてくるので、困ることがある。 (2)情報の獲得、行動することでの困り事  ・子供の進学に関する情報(希望する学校の情報、入試の情報など)は、量も多く、読み切るのに苦労をする。ただ、子供の将来にとって重要なことなので、時間をかけて頑張って読んだ。  ・地方では、片親が車を運転できるかどうかで子育ての大変さが相当変わってくる。  ・弱視者の親として、学校の授業参観に行くと、そもそも学校自体の照明が暗めなので、移動することが大変だった。  ・地域のイベントでヤキソバに海苔をのせる役割を担ったが、過大に盛りつけてしまい、後でクレームがあった。  ・自筆署名を求められる場合は苦労する。サインガイドの枠内に書き込む、人に手を添えてもらって自署をするなどで対応してきた。 (3)その他  ・弱視の親がいることで子どもへのイジメを心配したこともあったが、大丈夫だった。  ・弱視だから「これはできない」と決められてしまい、差別を受けたと感じてしまうことがある。  ・親子で参加する保育園のイベントで動きのあるダンスに参加できず、歌担当にまわされてしまい、子供が不満をもってしまった。  ・周りに視覚障害であることを打ち明けてない状態だと、子供には伝えられても、周りには伝えることができず、先生や保護者にはバレないように関係をもっていた。  ・全ての男親がそうではないが、子育てとなると母親に任せっぱなしの部分があるので、今回、寄せられた弱視者の親の苦労を経験していないことに気付いた。言葉を変えれば、男親だから逃げていたのかもしれない。 9ページ 3 関連意見                  1.子育て、教育に関する今後の課題について  ・子育てや教育では、良い事例も大切だが、悪い事例も集めることで、今後の改善に繋がることがある。インクルーシブ教育を受けている子供たちは、まだまだ数が少なく、成功例が少ないので、悪い事例の収集から改善策を見出していくことが大切だと思う。  ・「見える人とのコミュニケーション」を会得することに苦労をしている視覚障害者はかなり多い。それこそ友達の作り方や、授業のノートの取り方など、人と人が目を合わすこと、空気を読むことなどは難しいとされている。ただ、このコミュニケーションの方法が会得できれば、学校生活にも、仕事をするのにもプラスになる。 【※備考 10ページより参考資料を掲載】 2.弱視の子供について  ・視覚障害がある子供を持つ親同士は、意外と理解が進んでなく、親同士の交流がなかったりする。  ・弱視だった子供時代は、周りの晴眼の子供たちと遊んでいても、自然と自分が困らないようなルールが作られていて、みんなと一緒に遊んでいた。自然と手引きもしてくれたし、今思うと、弱視であることを意識しないで遊べたような気がする。 3.一般の子供たちへの障害者理解について  ・小学校等に生涯学習の一環で学校に行った際は、普通に掃除をする姿などを見させている。こういった「目が不自由でもできることはできる」姿を見せることが、子供たちへの教育となる。 10ページ 4 参考資料                  ●中野委員提供 「弱視者が感じる対面コミュニケーション上の課題」 1.対面コミュニケーションで遭遇している困難さ (1)誰が誰に話しているかわからない  ・先輩と後輩を間違えて話しかけて困った。  ・数人のグループで話していて、誰に質問しているのかがわからず困った経験がある。  ・複数人で会話する際に、顔の向きや視線で意見を求められてもそれが誰に対してだか分からない。 (2)相手の状況がわからず対応に苦慮する  ・顔色が分からずに具合が悪い事に気がつかなかった。  ・「沈黙」されると、どういう表情をしているかがわからないので、どうしたらよいか困る。  ・喧嘩している時、自分の言葉の後に黙られて、怒っているのか泣いているのか見てわからなかった。  ・質問して、答えがない時間、聞こえてないのか、考えているのかわからないときがある。 (3)会話がぎこちなくなってしまう  ・遠方から顔を判断することが難しいため、すれ違った時に声や姿をみて判断できればこちらから声をかけられますが、会話の入りはぎこちなく、他人行儀になりやすい。  ・間違えて話しかけるのを防ごうと周りに尋ねてから話しかけたり、無難な丁寧語から入って声で判断したりなど、人物認知が遅れることで、やや会話の入りがぎこちなくなる。 (4)相手の気持ちを読み取ることが困難  ・表情や仕草が見えていないからか、会話中のちょっとした沈黙(間)はとても気になってしまう。  ・相手の表情が分からないため、相手の感情を細部までつかむことが出来ない。アイコンタクトを受け止めることが出来ない。  ・会話がとぎれたとき、何を相手が考えているかが掴みにくい。 (5)誤解されて困る例  ・眼球振盪があるため、目を合わせると「きょろきょろしている、落ち着かない」などと思われてしまう。  ・遠い距離から声をかけられ、誰だかわからないで困っていたら、「無視をする」「冷たい」「怖い」などと誤解された。  ・顔を見ただけなのに、「睨まないで!」と言われたことが何度もある。 (6)顔を同定したり、覚えたりすることが困難  ・顔が覚えられず、こちらからコミュニケーションをとることが出来ず困った。  ・会計役として集金している際に、顔が見えないため、誰からいくらもらったのかわからず、困った。  ・顔が覚えられず以前名刺を渡した人に再度名刺を渡してしまった。 (7)疲れてしまう例  ・顔や表情を捉えようとすると注意を集中させなければならないため、それだけで疲れる。  ・初対面や目上の人等に接するときには、一生懸命見ているので、とても目が疲れる。  ・疲れることがわかっているため、コミュニケーションに消極的になった。 (8)その他  ・先天性なので表情を見た経験がないが、小説を読んだ際に、表情でやり取りすることを知った。  ・声のする方向に顔を向けているので、マイクを使っている講演者が歩き回ると、どこで話しているのかわからなくなる。  ・映画館等で、ガラス越しにチケットを購入する時に、相手の表情がわからなくて困った。 2.ロービジョン者がコミュニケーションを効果的に行うために行っている工夫・対処 (1)視線のズレを解消するための工夫・対処  ・中心暗点があるので、暗点に相手の顔を入れて、視線が合っていると思わせるようにしている。  ・笑ったり目を見開いて驚いたり、自身の表情を豊かにすることで、視線のズレの違和感を与えないようにしている。 (2)声、身振り、服装等から感情を推測する工夫・対処  ・声色で相手の感情を判断している。  ・声を便りに、相手が自分の方を向いて話してくれているのかを確認している。 (3)相手に直接聞く工夫・対処  ・自分が本音でしゃべり、相手にも本音でしゃべってもらいやすくしている。  ・複数人で話す場合に相手の表情が分かりにくい時は、近くの親しい人にこっそり確認する。 (4)相手の反応を引き出す工夫・対処  ・相手が話したことを敢えて繰り返して(「◯◯なんですね」等)、確認しながら話している。  ・敢えて「見えていないひと」のようなふるまいをして、相手に配慮を促す。  ・「声が元気ないように聞こえるけれど・・・どうしたの?」というように、自分が感じたことを言語的に確かめるようにしている。  ・極力聞き役になって、突っ込んだ話題をしないようにしている。 (5)エイドを活用する工夫・対処  ・相手を見つけるために、電話を活用している。  ・弱視用眼鏡をかけて話すようにしている。 (6)障害を開示する工夫・対処  ・表情がわかりにくかったり、アイコンタクトがわからないことがあったりすることを相手に伝える。  ・最初の自己紹介等で自分の障害のことを伝え、わかりやすい声のかけ方等を説明している。 (7)援助依頼をする工夫・対処  ・挨拶されても誰が誰にしてくれているのかわからないことを伝え、「○○くん、△△です」と話してくれるようお願いしている。  ・自分を呼ぶときには、名前を言ったり、肩をたたいて欲しいと伝えている。 (8)自分の考え方を変える工夫・対処  ・視線を合わせる努力をするのも疲れるので特に何も気にしない。気にしたところで違うところを見ているらしいので諦めた。  ・相手が遠くのものを指差して「あれ」と言った時、見えなくても話を合わせている。 (9)その他  ・相手とのパーソナルスペースの取り方に気をつけている。  ・相手の顔の方を向き、話すときは身振り手振りを使い、それでも見えないときは見えないと相手に伝えている。 3.眼科医や視能訓練士等の医療従事者に対する対面コミュニケーション上の要望等  ・病気や薬等の説明をしている最中に、突然、黙り込まないで欲しい。どう対応してよいかわからなくなってしまいます。  ・診察室に入ったときに自分の立場と名前を明確に名乗って欲しい。特に、診察室に何人か人がいるときには、誰が眼科医で、誰が視能訓練士で、誰が看護士なのかがわからず、誰の方に向けば良いのかわからない。  ・声が小さかったり、抑揚のない話し方はやめて欲しい。  ・もし可能であれば、視力検査室に入った時に所定の位置まで案内してほしい。大学病院などの広い検査室では、ほかの患者さんの間を通り抜けなくてはならず、困難を感じることがある。そのため、視覚障碍者に対する声掛けをより積極的に行い、私たちが困難を抱えないように工夫してほしい。  ・病状や手術等での処置の手順を、担当医が図に書いて説明されることがあるが、図そのものが見えないため、まったく話が分からないことがある。言葉だけで図が頭に浮かぶように説明してもらえると助かる。  ・初めてやる検査をするときにはその検査のやり方や内容をしっかり説明してほしい。視力検査など、子どものころから当たり前のように受けているが、実際にはどういう意味のある検査なのか説明してほしい。  ・記入する書類の文字が小さいのはなんとかしてほしい。  ・自分がしてほしい事を伝えるので、それに適切な対応で答えていただけたらと思います。  ・台や席など、目的の場所まで誘導するか的確に指示してほしい。  ・あまり行動をせかさないでほしい。忙しいのは十分わかっていますが…。  ・「あれ」「これ」の指示語が多い。  ・他の患者さんには知られないよう配慮してほしい。