社会福祉法人日本視覚障害者団体連合 令和4年度事業報告書 (自令和4年4月1日 至令和5年3月31日) 第1 組織・団体活動 1.横断的課題に対する取り組み (1)国連障害者権利条約、障害者差別解消法に関する取り組み  令和4年8月、国連障害者権利委員会による日本審査が行われたことから、本連合の代表者をスイス・ジュネーブに派遣した。その後、同委員会より日本政府に対して示された総括所見では、視覚障害者にとって重要な情報アクセシビリティの向上や移動の自由、教育機会の確保、複合差別の撤廃等が強く指摘されていた。総括所見に示された課題を解決することは、視覚障害者の生活の向上に繋がることから、本連合は、国等に対して積極的に課題の解決を求めなくてはならない。そこで、本連合は、まずは加盟団体全体で障害者権利条約や総括所見、障害者差別解消法の改正法のことを学ぶため、第3回全国団体長会議で研修会を開催した。  また、総括所見に示された課題を解決するためには、本連合は中長期的な運動方針を立ち上げ、それに沿った要求活動等を行う必要がある。そのため、平成31年3月に公開した「将来ビジョン」を改正し、総括所見の内容等を盛り込むことで、中長期的な運動方針を作ることにした。「将来ビジョン」の改正は、将来ビジョン推進委員会において作業を進めることになり、将来ビジョンの公開5年後にあたる令和6年3月の公開を目指していく。 (2)障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の制定  視覚障害者は、日常生活における移動、買い物、通院、娯楽等のいかなる場面においても情報保障が必要であり、教育、就労、文化・芸術やスポーツの活動等の社会参加においても情報保障は必須になっている。そのため、本連合は、他の障害者団体とともに、あらゆる場面における情報保障を制度的に確立するための立法の実現を求めてきた。その結果、令和4年の通常国会において「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」(通称 障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)が議員立法として提案され、全会一致で成立し、5月25日に公布、施行された。視覚障害者の情報取得及び情報発信を推進する上で、大きな力となる法律を実現することができた。そして、同法の目的や基本理念を具体化させるためには、視覚障害者が積極的に国や全国の自治体等に働きかけていく必要がある。そのため、本年度は以下の取り組みを行った。  まず、同法の第11条第3項に基づき内閣府に設置された「障害者による情報取得等に資する機器等の開発及び普及の促進並びに質の向上に関する協議の場」に本連合の代表者を派遣し、関係府省庁の取り組みに対して視覚障害者の情報取得及び情報発信の拡充を求めた。さらに、全国の自治体に働きかけていくために、第2回全国団体長会議において同法をテーマにした研修会を開催した。全国の加盟団体の役員等が同法の目的や基本理念を学び、今後、本連合及び加盟団体が取り組むべき事項を協議した。 (3)デジタル化への対応  デジタル化の進展は、あらゆる場面において生活がより便利になる等、全ての国民に様々な恩恵をもたらしている。そして、国は「誰一人取り残さないデジタル化」という目標を掲げており様々な施策が講じられている。そうであれば視覚障害者もその恩恵を享受されるべきであるが、残念ながら、視覚障害者はその恩恵が受けられない状況にある。そのような現状を打破すべく、本年度は以下の取り組みを行った。  まず、国が進めるマイナンバーカードと健康保険証の一体化については、総務省とデジタル庁が主催する「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会 専門家ワーキンググループ」に本連合の代表者を派遣し、視覚障害者が一体化された健康保険証を利用することを踏まえ、端末機器のアクセシビリティを確保すること等を求めた。このことは、あはき業に従事する視覚障害者にも関わるため、今後も強く求めていく。  また、民事裁判においてもIT化が検討されていることから、法務省から要請されたヒアリングに対応し、視覚障害者がオンラインで裁判に参加する上で必要な配慮等を求めた。  しかし、視覚障害者にとって使いやすいICT機器やシステムを開発し普及させることについては、国や関係機関に要望したものの具体化には至らなかった。そのため、今後もこれらの実現を求めて、国や関係機関に強く働きかけていく。なお、デジタル化の進展による課題は、弱視者(ロービジョン)についても課題が山積していることから、弱視部会の令和4年度委員総会の中で「デジタル庁の取り組みと弱視者(ロービジョン)におけるデジタル化」をテーマにした研修会を開催し、弱視者(ロービジョン)が抱える問題とその解決について意見交換を行った。今後、国や関係機関への働きかけにおいては、弱視者(ロービジョン)の要望も踏まえながら対応していく。 (4)加盟団体の組織強化に関する取り組み  近年、本連合の加盟団体の中では、会員の減少や役員の成り手不足、さらには収入の減少等により、組織力の低下が問題となっている。そのため、これらの問題の背景を探り、課題解決を図るために、加盟団体支援プロジェクト委員会を令和元年に立ち上げ、加盟団体に対するアンケートやヒアリングを実施した。その結果、令和4年12月に最終報告書「加盟団体の組織強化に向けて」を発行することができた。最終報告書では、各加盟団体が積極的に事業化を進めることが重要であり、今後、本連合がその支援を行うことを記した。そのため、次年度以降は、加盟団体全体で事業化を推進するため、事業化が困難な団体に対して直接的な支援を行っていく。  一方で、組織・団体活動を強化するため、会議開催や情報提供の分野におけるオンラインの活用を進めた。まず、本年度の団体提出議案に関する分科会はオンラインで開催した。また、これまでCD版の配布に留まっていた中央情勢報告をYouTubeで公開し、広く周知する等の新たな試みも行った。しかし、オンラインでの会議では活発な議論ができない、参加者間の交流が図れない等の問題もあることから、対面での会議の開催を求める声も増えている。そのため、次年度以降は、会議の内容に合わせて、対面またはオンラインの方法を上手く組み合わせて会議等を開催していく。 2.主要課題に対する取り組み (1)地域におけるリハビリテーション・システムの普及に向けた取り組み  中途視覚障害者や高齢視覚障害者の日常生活における支援は、重要な課題となっている。中途視覚障害者については、眼科医との連携を中心とするネットワーク化ないしスマートサイトの充実に向けて、日本眼科医会との意見交換、さらには同会より本連合の活動を全国の眼科医等に情報提供する等の取り組みを行った。また、RNIB(英国王立盲人協会)が眼科医に相談員を派遣し患者の相談に応ずる制度、いわゆるECLOをわが国に導入するため、本年度は、全国生活協同組合連合会等の助成金を得て「失明の可能性の告知を受けた人の早期相談支援体制の構築に向けた調査研究事業」を実施した。この取り組みは次年度も継続し、具体化に向けたさらなる検討、国等に対する提言をまとめていく。  しかし、高齢視覚障害者の地域生活における生活の質を高めるための取り組みは実施できなかった。今後は、中途視覚障害者の相談から社会復帰までの流れを制度的に安定させること、高齢視覚障害者の日常生活を支えるためのリハビリテーションが実施できる体制づくりを目指すことが課題となっている。 (2)情報保障 @意思疎通支援事業としての「代筆・代読支援」の普及に向けた取り組み  ここ数年、各加盟団体の働きかけによって、全国各地で意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の実施が進んでいる。しかし、多くの自治体は実施に至っておらず、さらなる普及活動が求められている。そのため、本年度は以下の取り組みを行った。  まず、視覚障害者に対する代筆・代読支援の拡充を図るために、本連合は内閣府・障害者政策委員会及び厚生労働省・社会保障審議会障害者部会において積極的に意見を述べた。その結果、第5次障害者基本計画、障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しの報告書に代筆・代読支援の拡充を明記させることができた。  また、全国で代筆・代読支援を広げるために必要なことを整理するため、本年度は、厚生労働省令和4年度障害者総合福祉推進事業「視覚障害者の代筆・代読の効果的な支援方法に関する調査研究事業」を受託し、自治体や同行援護事業所等の関係団体に対する調査を実施した。研究の成果として、代筆・代読支援を広めるために必要なことを整理した報告書、同報告書の要点を簡潔に取りまとめた啓発用のリーフレット、当該支援を具体化するためのガイドラインを作成し、全国の自治体等に配布した。また、代筆・代読支援の重要性等をアピールするための動画を作成し、YouTubeで公開した。 A読書バリアフリー法のさらなる推進  全国の多くの視覚障害者は、点字や音声、拡大文字、あるいは昨今普及してきている電子書籍によって本を読むことで、情報を入手し、知識を高め、生活の向上または社会参加を実現させている。しかし、視覚障害者の読書環境は十分に整備されているとは言えないため、国や全国の自治体、各関係団体等に対してその改善を求めなければならない。そのため、本年度は以下の取り組みを行った。  まず、本年度も厚生労働省と文部科学省が主催する「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会」に代表者を派遣し、関係府省庁の取り組みに対して意見を述べた。また、関係する府省庁が主催する読書環境の整備に関する検討会においてもヒアリング等に協力し、公共図書館、出版分野での環境整備を求めた。なお、国会図書館については、視覚障害者向け蔵書の利用についてのヒアリングがあり、次年度より公開予定の利用サイトに視覚障害者の利便性を向上させるための意見を反映させることができた。  さらに、電子書籍販売サイトのアクセシビリティを向上させるため、電子書籍販売や流通の関係団体が集まる検討会に参加した。検討会では、視覚障害者が同サイトを利用する上でのアクセシビリティを確保することを求め、取りまとめを行ったガイドブックにその要望を反映させることができた。  一方で、読書バリアフリー法に基づいて都道府県ごとの基本計画の策定が進められているが、現時点では、策定までに至った自治体は一部に留まっている。本連合の加盟団体の働きかけ等によって、検討の場が設けられた自治体が増えつつあるが、一刻も早く全ての都道府県で基本計画が策定されるように働きかけなければならない。 B放送分野における解説放送等の普及  本連合は、長年に渡り総務省や各放送事業者に対して、テレビ放送における解説放送の充実、ニュース速報等の字幕テロップの音声化を求めてきた。解説放送が付与された番組は徐々に増えつつあるが、決して十分な割合に達しているとは言えない。字幕テロップ等の音声化は生放送のごく一部で行われているに過ぎず、視覚障害者が他の視聴者と等しく情報を得られているとは言えない。本年度もこれらの課題解決に向け、以下の取り組みを行った。  まず、本年度は、総務省において各放送事業者に対する解説放送付与の目標値等を定めた「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」の中間見直しの検討を行う「視聴覚障害者等向け放送の充実に関する研究会」が開催され、本連合の代表者を派遣し、解説放送付与番組の放送時間における目標値の引き上げを求めた。なお、前述の指針は、引き続き検討されることとなり、次年度に公表されることになっている。  さらに、日本障害フォーラムの障害者放送協議会にも参加し、他の障害者団体、関係団体とともに意見を集約し、総務省と各放送事業者に対して働きかけを行った。本連合からは、長年に渡り解決されない課題については、新技術の活用による課題解決を推進することを求めた。 C視覚障害者向け選挙公報の制度的保障を求める取り組み  令和4年4月に公職選挙法の施行令が改正された。改正内容は、アルファベットを追加したこと、特殊音点字を6から現行点字表記法に規定されている43に増やしたこと等である。この改正は、平成18年に日本盲人福祉委員会と日本点字委員会が総務大臣宛に提出した要望であり、ようやく実現することができた。  また、令和4年7月に執行された第26回参議院議員通常選挙では、日本盲人福祉委員会を通じて、全国の自治体に点字版・録音版・拡大文字版の選挙公報の発行を呼びかけた。その結果、一定の成果を得たが、全都道府県において3媒体全ての選挙公報を発行することまではできなかった。  なお、長年に渡り国へ求めている全ての議会選挙・首長選挙において点字版、音声版、拡大文字版等の選挙公報を発行することは、本年度も関係府省庁への働きかけのみに留まった。しかし、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」が成立したことにより、この要望が実現する可能性が高まっている。そのため、本年度は、関係する国会議員への説明を行い、実現に向けた働きかけを開始した。 D点字の市民権確立に向けた取り組み  視覚障害者にとって、点字は唯一「自由に読み書きできる文字」として、大きな意義を持っている。この点字を公的な文字として位置付けるために、本年度は国に対して「点字を文字として、国が公的に位置付けること」を陳情した。今後も、コミュニケーション保障を強く求める他の障害者団体とともに、このことを働きかけていく。  また、本年度は、関係団体と共同で「第2回点字考案200年記念事業『記念講演会&シンポジウム』」を12月10日に開催した。記念講演会では、WBU(世界盲人連合)の前会長であるフレドリック・K・シュローダー博士をアメリカより招聘し、米国における点字出版事業等について学んだ。シンポジウムでは、日本で発行される点字雑誌の関係者が参加し、点字雑誌の今後の発展の可能性について議論した。 E経済活動に関する取り組み  経済活動においても視覚障害者に関する課題が解決されないものが山積している。そのため、本年度は以下の取り組みを行った。  まず、令和6年度に流通が開始される新紙幣について、財務省に対して、触察の観点、視覚的な観点から、弱視者(ロービジョン)を含む視覚障害者が利用しやすい紙幣にすることを求めた。なお、要望に際しては、新紙幣の流通において、各地域において事前にその改善点を確認できるような配慮を行うことも求めた。  また、金融機関の利用について、金融庁が主催する金融機関との意見交換において、行員等による代筆・代読のさらなる徹底、ATMやネットバンキングの利用に関しての課題解決等を求めた。なお、弱視部会では、金融機関における困り事と解決策をオンライン意見交換会を通じて収集したことから、集約したものを資料集として公表した。  さらに、青年層の視覚障害者を中心に改善を求める声が強かった民間賃貸住宅の契約に関するバリアフリー化にも取り組んだ。本年度は、国土交通省住宅局が実施する「民間賃貸住宅におけるバリアフリーの課題分析、解決方策の検討」のヒアリングに本連合の代表者が参加し、実際に発生した差別事例を紹介しながら、これらの課題解決に向けた提案を行った。 (3)就労問題 @一般就労 ア 労働政策審議会障害者雇用分科会への参加  本年度の労働政策審議会障害者雇用分科会では、今後の障害者雇用率の設定、除外率の引き下げ、障害者雇用対策基本方針と障害者活躍推進計画作成指針の改正、さらに、令和6年度の新設助成金の設定及び既存助成金の拡充等の重要施策の議論を行った。本連合は、同分科会に委員を派遣することで、これらの議論に積極的に参加し、国の施策に対して視覚障害者のニーズを反映させることができた。なお、これまで、毎年6月1日現在における障害者雇用状況において、民間企業における身体障害の部位別の集計を求めていたが、本年度より身体障害者の部位別集計を公表することが実現した。 イ 重度障害者等就労支援特別事業のさらなる拡充  国が推進する「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」は、令和5年1月現在、実施予定を含め全国で56市区町村で実施している。同事業を実施する自治体は着実に増えているが、全国の自治体数から見れば極めて少ない状況にある。そこで、全国の自治体で実施させるため、すでに同事業を実施している自治体の情報を収集し、これから同事業の開始を目指す加盟団体の会員等にその情報を提供した。その結果、いくつかの地域では同事業を実施させることができた。 ウ 視覚障害者向け雇用支援の拡大  就労する視覚障害者が力を最大限発揮できる環境を作るためには、視覚障害者にも対応できるジョブコーチを増やすことが求められている。そこで、厚生労働省が主催する「職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会」のヒアリングに本連合の代表者を派遣し、視覚障害者にも対応できるジョブコーチを全国で広めるための提案を行った。 エ 就労懇談会の立ち上げ  本連合が就労に関する要求活動等を具体化するため、視覚障害者の就労に詳しい専門家が集う場として「就労懇談会」を令和4年12月に立ち上げた。その後、同懇談会において障害者雇用対策基本方針の改正に向けて意見を取りまとめ、国に対して意見書を提出している。 オ 視覚障害者の就労拡大に関する取り組み  ネクストビジョンとの連携により「第4回神戸発、視覚障害者雇用の未来を考えるフォーラム」を11月23日に開催した。なお、令和4年度事業計画に盛り込んだ視覚障害の公務員や関係者による懇談会の開催、視覚障害の公務員に対する実態調査の実施は、準備を進めたものの実施できなかった。 Aあはき  令和4年4月より労災保険特別加入があはきを業とする個人事業主にも適用されたことから、関係業団体とともに「日本あはき師厚生会」を設立し、令和4年12月から運用を開始した。  また、あはき及び柔整の広告の諸課題について検討する「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」が令和5年2月に開催し、あはきの施術所の名称に関しては「業態名+治療院」を可とする厚生労働省の方針が承認された。なお、無資格者対策にも結び付く広告ガイドラインの策定は、次年度に検討されることとなった。  療養費においては、令和6年の料金改定に向けた検討が始まり、厚生労働省と業団体による療養費に関する実態調査が令和5年2月に実施された。また、マイナ保険証による資格確認については、関係府省庁によるヒアリングや厚生労働省との意見交換を通じて視覚障害あはき師も確認できる仕組みづくりを求めた。  一方で、視覚障害あはき師を養成する視覚特別支援学校の理療科では生徒数の著しい減少が進んでおり、危機的な状況が続いている。そのため、本連合は「あはきと理療科教育の未来を考える懇談会」を令和4年12月に立ち上げ、関係者との協議を開始した。同懇談会は次年度以降に本格的な協議を行い、理療科教育の改革を含めた提言を取りまとめる予定となっている。 (4)教育問題  国のGIGAスクール構想が進展する中で、デジタル機器を視覚障害児が円滑に利活用するためには、視覚障害児のみならずその保護者等に対する支援が必要である。そのため、文部科学省に対してこれらの支援の拡充を求める要望書を提出した。さらに、有識者と意見交換しながら、本連合自身で課題解決に向けた取り組みを行うべく、本連合内に「GIGA教育支援プロジェクト」を立ち上げる準備を進めた。  また、学校教育においてプログラミング教育が広まりつつある中で、視覚特別支援学校(盲学校)での実践例が少ないことから、東北学院大学と連携し、宮城県立視覚支援学校の生徒4名に対してプログラミング講座を計8回実施した。次年度以降は、この講座で得られた知識・ノウハウを整理し、今後のプログラミング教育の拡充に向けた支援方法について検討する。 (5)同行援護  同行援護が制度として開始してから10年が経過し、利用者のニーズは拡大している。しかし、ガイドヘルパーが運転する車の利用、宿泊を伴う利用、通学や通園における利用等は、未だ実現しておらず、特に、車の利用については、全国各地で電車やバス等の運行が減少していることから、その実現を求める声が高まっている。また、ガイドヘルパーの確保と事業所の存続も課題となっており、報酬単価の見直しが求められている。そのため、本年度は、これらの実現を目指し、国に対して強く働きかけた。しかし、本年度中にこれらの課題を解決することができなかったため、次年度以降も国に対して強く働きかけていく。  また、同行援護に従事するガイドヘルパーの資質向上を求める声が高まっていることから、本連合は、国に対して同行援護従事者養成研修のカリキュラムの改正を求め続けている。その結果、令和5年3月に公開された厚生労働省の「障害保健福祉部関係主管課長会議資料」において、カリキュラムを改正する見通しが全国の自治体に示された。次年度以降も、カリキュラムの改正が円滑に進むよう厚生労働省や関係機関に協力していく。 (6)外出保障 @鉄道のさらなるバリアフリー化  全国で視覚障害者の転落死亡事故がなくなり、安全安心に鉄道が利用できるようにすることは、本連合が長年に渡り要望していることであり、早期の課題解決が求められている。そのため、本年度もその目的の達成を図るため、国や鉄道事業者に対して様々な働きかけを行った。  まず、駅の無人化が急速に進む中で、視覚障害者が駅を安全安心に利用することが困難になりつつある。そのため、これらの駅では、安全対策を早期に確立する必要がある。これまで本連合は、国土交通省が主催する「駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会」に代表者を派遣し、無人化が進む中でも視覚障害者が円滑に鉄道を利用できることを求めてきた。そして令和4年7月に公表された報告書では、好事例を含めた視覚障害者の要望を報告書に掲載させることができた。しかし、報告書の公開で満足してはならない。実際に全国各地で進んでいる駅の無人化、省人化に伴う窓口の廃止、遠隔地のオペレータの対応による券売機の設置等について、視覚障害者の利便性を確保するため、今後も国や鉄道事業者等に強く働きかけていく必要がある。  なお、令和5年3月に開始した東名阪におけるバリアフリー整備拡充のための乗車料金引き上げについては、国に対して、各鉄道事業者が公表する情報を集約し、視覚障害者が確認できる形式で情報提供を行うことを求めた。また、国土交通省が主催する「新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会」においては、視覚障害者がホームから転落に至った理由等が詳細に分析できるよう、調査体制の早期設置を求めた。 A道路交通のさらなるバリアフリー化  令和3年8月には静岡県で、令和4年4月には奈良県で、踏切内で視覚障害者が列車と接触し死亡する痛ましい事故が相次いで発生している。今後このような痛ましい事故が起きないためにも、踏切を確実に横断するための安全対策、さらには道路横断における安全対策の確立が早急に求められている。そのため、本年度は以下の取り組みを行った。  まず、踏切の安全対策では、奈良県での事故後、国土交通省が公表している「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」の踏切部分の改正に向けた検討が行われ、検討の場に本連合の代表者を派遣した。その結果、令和4年6月に改正されたガイドラインが公表され、踏切と道路との境界を示す点字ブロックの設置を標準的な整備内容とすること等が盛り込まれた。しかし、踏切を横断するための整備については引き続き検討することとなっているため、今後も日本歩行訓練士会とともに国や関係機関に強く働きかけていく。  また、道路の安全対策では、加盟団体と協力しながら、警察庁や全国の都道府県警に対して、音響式信号機とエスコートゾーンの設置、高度化PICSの設置を働きかけた。なお、道路の安全対策については、これまで弱視者(ロービジョン)の歩行に関するニーズを掴み切れていなかったことから、弱視部会のオンライン意見交換において意見を集めた。  そして、視覚障害者に向けた踏切と道路横断の安全対策を全国で普及させるため、次年度の全国大会である第76回全国視覚障害者福祉大会(奈良大会)において、「踏切と横断歩道の安全を考えるシンポジウム」を開催することとし、本年度はその準備を進めた。  なお、令和5年3月には、本連合がこれまで要望していた高速道路の利用における障害者割引の緩和が実現した。このことは、即座に全国の加盟団体に情報提供を行い、全国の視覚障害者に周知した。 B様々な分野でのバリアフリー化  公共交通機関や道路に留まらず、建物や公園等、視覚障害者が移動するあらゆる場面において、バリアフリー化が図られることは、今や必須のことと言える。そのため、本年度はこれらの場面ごとの検討や調査においても、視覚障害者の意見を反映すべく、様々な働きかけを行った。  まず、国土交通省が主催する「移動等円滑化評価会議」に本連合の代表者を派遣し、重点整備の進捗状況を確認した上で、さらなるバリアフリー化を全国で実現するための提案を行った。特に、全国各地で開催することになっている地域協議会が、未だに実施されていない地域があるため、必ず実施することを強く求めた。  そして、横断歩道手前や駅構内における点字ブロックの敷設について、国土交通省が車椅子使用者との意見交換会を開催したことから、本連合の代表者を派遣した。その中では、視覚障害者の安全な移動を脅かすことのないことを前提に、車椅子使用者への配慮を行う場合は、地域の視覚障害者を参加させた上で検討を行うことを求めた。なお、視聴覚障害者が参加する駅構内での情報提供に関する在り方を検討する意見交換会では、視覚障害者にとって必要な情報が確実に届くよう、様々な配慮を行うことを求めた。  さらに、本年度は、国土交通省と環境省が公園に関するバリアフリーの検討を進めたことから、本連合の代表者を検討の場に派遣した。都市公園に関する検討では、ガイドライン改正に伴う事例収集について協力し、視覚障害者が都市公園を利用する際の配慮について盛り込むことができた。国立公園におけるバリアフリー整備に関する検討では、フィールド調査に協力し、環境整備に必要なハード面、ソフト面での必要な配慮を求めた。  一方で、内閣府の新庁舎、新秩父宮ラグビー場等、新設される大規模施設のバリアフリー化の検討の場にも本連合の代表者を派遣し、視覚障害者が利用する上で必要な配慮事項を示した。本連合は、このような施設は設計段階から視覚障害当事者が参画し、当事者のニーズに沿ったバリアフリー設備等が設置されるべきであることを求めている。そのため、次年度以降も引き続きこれらの検討に協力していく。 (7)災害対策  本連合は、様々な災害から視覚障害者の安全を守るために、国や自治体の防災対策に視覚障害者のニーズを反映させるための活動を続けている。本年度は、令和4年度事業計画に示した「視覚障害者向けハザードマップの充実」に向けた取り組みに力を入れた。具体的には、国土交通省が進める水害に関するハザードマップのバリアフリー化の取り組みに協力した。次年度以降は、国土交通省が取りまとめたハザードマップに関する報告書を活用し、全国の自治体に対して、視覚障害者が利用できるハザードマップの普及を求めていく。 (8)文化・芸術、スポーツ  本年度は、様々な障害当事者団体等が参加する「障害者の文化芸術活動を推進する全国ネットワーク」への参加を通して、国に対して、文化・芸術活動の支援者の拡充等を求めた。また、同ネットワークが協力する「令和4年度鳥取県障がい者舞台芸術祭 あいサポート・アートとっとり祭」に音楽家協議会の代表者を派遣し、視覚障害者の音楽の素晴らしさをアピールした。  しかし、令和4年度事業計画に示した文化・芸術、スポーツを活用したイベントの開催等の新たな試みは実施できなかった。外出が難しい視覚障害者が文化・芸術、スポーツの活動に参加することは、視覚障害者の社会参加を促す効果があると言われている。本連合は、このような外出の機会を創出するために、視覚障害者の文化・芸術、スポーツの活動を周知するイベントが必要と考えている。次年度以降、音楽家協議会、スポーツ協議会等と協議し、文化・芸術、スポーツを活用したイベントを開催する。 3.ライフステージごとの取り組み (1)視覚障害青年  本連合では会員や役員の高齢化が進み、次世代リーダーの育成が喫緊の課題となっている。さらに、加盟団体の会員離れの背景には、若年の視覚障害者が本連合の組織・団体活動に関心を示さないこと等が影響している。これらのことは、第75回全国視覚障害者福祉大会(名古屋大会)の中で開催したシンポジウムや、加盟団体支援プロジェクト委員会の最終報告書においても指摘されており、加盟団体全体で課題解決を図る必要がある。そのため、本年度は以下の取り組みを行った。  まず、青年協議会では、新たな青年層会員の獲得に繋げるための事業として、オンラインを活用したイベントを開催した。また、同協議会の運営体制の円滑化、加盟団体との連携強化を図るため、同協議会の規約の改正を行った。  また、弱視部会では、かねてより青年層の会員から要望があった平日夜の会議開催を試験的に実施した。今後も、社会情勢の変化、本連合会員のニーズに応じた会議の開催方法を検討していく。 (2)視覚障害女性  本年度は、視覚障害女性が性被害に遭う等の事件が発生し、女性に関する問題の解決が重要なテーマとなった。そのため、第75回全国視覚障害者福祉大会(名古屋大会)の中で、視覚障害女性と青年に関するシンポジウムを開催し、諸問題の解決を求める宣言を行った。また、視覚障害女性の地位向上に関する活動を行っているメンバーと懇談会を開催し、今後、本連合が視覚障害女性の問題を解決するための方向性を検討した。  そして、令和4年度事業計画において目標に掲げた、本連合内に女性相談員による女性専用の相談窓口の開設については、開設に向けた準備を進めた。その一つとして、3月8日の国際女性デーに合わせて第1回視覚障害女性の相談会を開催し、多くの視覚障害女性から相談が寄せられた。次年度はこの相談会を定期開催し、常設窓口の設置を目指していく。 (3)高齢者  若年の視覚障害者が減少し、高齢の視覚障害者が増えている。この傾向は今後さらに顕著になると予測されている。このような流れの中で、高齢視覚障害者を孤立させずに健康を維持し、社会参加を促すため、本連合は高齢者の特性に配慮した施策の実施を国等に求めた。大きな成果は得られなかったものの、新型コロナウイルス関連の各種支援においては一定の配慮を受けることができた。  なお、デジタル化社会の到来に対応した高齢者向けICT訓練の普及と利用促進に関する取り組み、高齢視覚障害者のQOLを向上させ、地域で安心して暮らせるよう高齢視覚障害者向けリハビリテーションの普及を求める取り組み等を実施したが、大きな成果は得らなかった。これらの取り組みは次年度以降も継続して実施していく。 (4)弱視者(ロービジョン)  本年度も弱視部会を中心に活動を行った。まず、同部会ではオンライン意見交換会を計3回開催し、集まった意見は資料集「弱視者の困り事」に取りまとめた。本年度は令和4年8月に第5号、令和5年2月に第6号を発行している。特に、第5号に掲載した「金融機関における困り事や活用事例」は、金融庁に対する陳情の際に資料として提出し、銀行における様々な困り事の改善を強く求めた。  また、本年度のオンライン意見交換会では、加盟団体での弱視(ロービジョン)に関する活動をテーマにした意見交換を行い、有効事例の共有を図った。加盟団体の組織力を高めるためには、弱視(ロービジョン)の会員を増やすことが重要になっている。そのためには、加盟団体の活動に弱視者(ロービジョン)が参加したいと思わせる事業や取り組みが必要になる。今後も、弱視者(ロービジョン)が参加する事業等の有効事例を共有し、加盟団体の弱視対策を強化していく。 (5)育児及び子育て  本連合はこれまで育児及び子育てを女性問題の一部として取り上げてきた。しかし、そうした捉え方は現在の社会の流れからは逸脱していることから、このことを反省し、視覚障害当事者全体の課題として取り上げることにした。  本年度は十分な活動はできなかったものの、教科書のデジタル化やGIGAスクール構想が進められる中で、放課後における視覚障害児への支援や保護者の研修等の実現を文部科学省に求めた。また、文部科学省と厚生労働省には、視覚障害児の早期発見と早期療育等の実現を求めるため、意見交換を行った。なお、日本眼科医会も視覚障害児の早期発見のための検査体制を全国に普及すべく取り組んでいることから、本連合は同会の取り組みに協力することにした。 4.国内及び海外の関係団体との相互交流、協力に関する事業 (1)府省庁や関係機関との協力  内閣府、厚生労働省、国土交通省、文部科学省等の関係府省庁の審議会等に代表者を派遣し、視覚障害者の立場から意見を述べ、要望の実現に努めた。  また、環境省、トヨタ・モビリティ基金等が実施した調査事業への協力、全国の交通事業者83社局が実施する「声かけ・サポート」運動の啓発ポスターの監修等を行った。 (2)国際交流  日本盲人福祉委員会を通してWBU(世界盲人連合)及びWBUAP(世界盲人連合アジア太平洋地域協議会)に代表者を派遣し、世界の視覚障害者と交流し、福祉に関する情報収集、各種活動を行った。本年度は、戦争により困難な状況にあるウクライナの視覚障害者を支援するため、日本盲人福祉委員会が中心となって実施した日本国内での募金活動に協力した。その結果、全国の加盟団体から寄せられた募金、第75回全国視覚障害者福祉大会(名古屋大会)で集まった募金、総額227万円を日本盲人福祉委員会を介して、WBUウクライナ共同基金に送金した。  また、令和4年8月にスイス・ジュネーブにおいて国連障害者権利委員会による日本審査が行われたことから、日本障害フォーラムにおいて組織された代表団に、本連合は2名の代表者を派遣した。 (3)各障害者団体との協力  視覚障害者の福祉向上のため、他の障害者団体や福祉関係団体と連携して活動した。全国社会福祉協議会、日本障害フォーラム、あはき等法推進協議会、鍼灸マッサージ保険推進協議会等の団体の一員として、視覚障害者の権利擁護や業権擁護に努めた。  また、全日本ろうあ連盟、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、全国盲ろう者協会との間で「情報コミュニケーション4団体連絡会」を開催し、国の審議会での対応等について協議した。その結果、令和4年11月には、内閣府・障害者政策委員会に対して、同委員会における視聴覚障害者のアクセシビリティの確保を求める要望書を提出した。  さらに、ロービジョンケアネットワークの全国普及を目指して、日本眼科医会、ネクストビジョン、専門の学識経験者等と連携した。特に日本眼科医会との連携は強化し、役員との定期面談会の開催、本連合が持つ視覚障害に関する情報を提供した。 5.全国視覚障害者福祉大会の開催  本年度の全国大会「第75回全国視覚障害者福祉大会(名古屋大会)」は、名古屋市視覚障害者協会の協力のもと、5月31日、6月1日に名古屋市で開催した。  前年度の「第74回全国視覚障害者福祉大会(岡山大会)」は、新型コロナウイルス感染症の蔓延における緊急事態宣言の最中であったことから、オンラインのみの1日開催となったが、本年度の全国大会は、これまでの全国大会の開催内容に近づけるため、様々な工夫を行った。まず、全国大会で実施していた団体提出議案に関する分科会を、オンラインで事前に開催した。さらに、新型コロナウイルスの感染対策を徹底した上で、会場参加も可能とし、多くの会場参加者を集めることができた。一方で、全国大会に参加できない者もいることから、大会初日に開催したシンポジウム「未来に向けてのメッセージ 〜多様性ある社会を目指して〜」、大会2日目の全国大会をYouTubeによるライブ配信を行い、全国の会員等に届けた。これらの工夫により、全国大会を盛大に開催することができた。 6.各種会議の開催  (1)評議員会  定時 6月29日 日本視覚障害者センター、オンライン (2)全国団体長会議  第1回 5月31日 ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋、オンライン  第2回10月 7日 日本視覚障害者センター、オンライン  第3回 2月15日 日本視覚障害者センター、オンライン (3)令和4年度団体提出議案に関する分科会  バリアフリー 4月12日 日本視覚障害者センター、オンライン  職業 4月14日 日本視覚障害者センター、オンライン  生活 4月15日 日本視覚障害者センター、オンライン (4)理事会  第1回 4月27日 日本視覚障害者センター、オンライン  第2回 6月 9日 日本視覚障害者センター、オンライン  第3回 7月28日 日本視覚障害者センター、オンライン  第4回12月12日 日本視覚障害者センター、オンライン  第5回 3月22日 日本視覚障害者センター、オンライン (5)監事監査  監事監査 6月 9日 日本視覚障害者センター、オンライン  中間監査12月 7日 日本視覚障害者センター、オンライン (6)正副会長会議  第1回 6月29日 日本視覚障害者センター、オンライン  第2回 8月24日 日本視覚障害者センター、オンライン  第3回 9月28日 日本視覚障害者センター、オンライン  第4回11月15日 日本視覚障害者センター、オンライン  第5回 1月19日 日本視覚障害者センター、オンライン  第6回 3月17日 日本視覚障害者センター、オンライン 7.各協議会の活動 (1)あはき協議会  @代議員会    第1回 7月 2日 日本視覚障害者センター、オンライン  A常任委員会   第1回 3月16日 日本視覚障害者センター、オンライン  B全国委員会   第1回 3月29日 日本視覚障害者センター、オンライン    (2)青年協議会  @常任委員会   第1回 4月17日 オンライン   第2回 5月 8日 オンライン   第3回 7月10日 オンライン   第4回 9月18日 久留米市社会福祉協議会   第5回 9月27日 オンライン   第6回 3月24日 オンライン  A全国委員会   第1回 4月17日 オンライン   第2回 7月12日 オンライン   第3回 1月15日 オンライン  B社会対策研修会   第1回 7月10日 オンライン   第2回11月23日 オンライン  C第68回全国視覚障害青年研修大会(福岡県大会)   期日 9月18日〜19日   会場 久留米市社会福祉協議会、ホテルニュープラザ久留米、オンライン (3)女性協議会  @常任委員会   第1回 4月 9日 電話会議   第2回 6月16日 日本視覚障害者センター   第3回 8月 3日 電話会議   第4回10月 1日 電話会議   第5回11月18日 日本視覚障害者センター   第6回 2月 4日 電話会議   第7回 3月 9日 日本視覚障害者センター   第8回 3月10日 日本視覚障害者センター  A全国委員会   第1回 3月 9日 日本視覚障害者センター  B全国代表者会議   第1回 8月31日 コラッセふくしま、オンライン   第2回 3月10日 ワイム貸会議室高田馬場  C第68回全国視覚障害女性研修大会 北海道・東北ブロック(福島大会)   期日 8月31日   場所 コラッセふくしま、オンライン (4)音楽家協議会  @正副会長会議   第1回 4月30日 大阪新阪急ホテル   第2回 9月22日 名古屋法蔵寺  A常任委員会   第1回 4月30日 大阪新阪急ホテル   第2回 9月22日 名古屋法蔵寺  B第59回全国邦楽演奏会   期日 4月29日   場所 兵庫県立芸術文化センター  C第60回音楽家協議会福祉大会   期日 4月30日   場所 大阪新阪急ホテル (5)スポーツ協議会  @常任委員会   第1回 4月24日 神奈川ライトハウス、オンライン   第2回 7月30日 神奈川ライトハウス、オンライン   第3回11月 6日 神奈川ライトハウス、オンライン   第4回 2月24日 オンライン   第5回 3月11日 神奈川ライトハウス  A幹事会   第1回 5月 7日 神奈川ライトハウス、オンライン  B代表者会議   第1回 7月30日 神奈川ライトハウス、オンライン  Cブラインドスポーツ座談会   第1回 3月11日 神奈川ライトハウス、オンライン  第2 日本視覚障害者センターとしての事業の実施       日本視覚障害者センター(以下、「センター」という)では、例年通りに厚生労働省や東京都からの委託事業や補助事業の他、民間団体や企業等の補助を活用し、以下の事業を実施した。引き続き、コロナ禍の中ではあったが、感染対策を取りながら順調に事業を実施することができた。 1.情報提供・広報活動  厚生労働省の補助事業として、日刊点字新聞「点字JBニュース」を本年度は第7385号から第7625号まで計241回発行した。掲載記事は2,483本で、そのうち本連合が提供する情報を含む福祉関係記事を641本提供した。なお、点字JBニュースの実施機関への実施状況及び課題に関する調査を実施した。  点字JBニュース、情報メール、電話ナビゲーション、愛盲時報、点字日本、日視連アワー、声のひろば等を活用して本連合の活動、全国の加盟団体の活動、国の施策等を紹介した。また、これらの媒体を通じ時々の情勢に応じた本連合の考えも表明し、視覚障害への理解と啓発に努めた。その他、提供した情報を蓄積・管理し、問い合わせに応じて必要な情報を提供した。  視覚障害者選挙情報支援プロジェクトと連携し、参議院議員通常選挙挙及び都道府県知事選挙(香川県・和歌山県)の拡大文字版の選挙公報(選挙のお知らせ版)を提供した。 2.更生相談事業  本年度は、昨年同様、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、対面での相談を受けることが難しく、日々の生活相談を始め、法律、眼科、聞こえにくさ相談他、リモート相談により、全て事業計画通り対応することができた。相談内容は多岐にわたり、相談員が対応して解決できない部分は、次の専門家に繋げる等、丁寧な対応を心掛けた。また、ネクストビジョンとの連携を含め、当初の計画通り、概ね目的を達成した。なお、第75回全国視覚障害者福祉大会(名古屋大会)において、視覚障害女性の相談について提言されたことを受け、試行的に視覚障害女性の相談会(集中相談会)を実施した。 3.養成講習会  東京都視覚障害者コミュニケーション事業の一環として、以下の通り実施した。  @点訳奉仕員指導者養成講習会 全20回 6名  A音訳奉仕員指導者養成講習会 全25回 8名  B専門点訳奉仕員養成講習会 各10回(計30回) 英語1名、触図4名、コンピューター1名 4.ボランティアの育成  以下の通り実施した。  @テキストデイジー基礎講座 全6回 各7名  Aボランティア研修会 全1回 計18名  B音訳勉強会(解剖学) 全5回 計35名  C音訳勉強会兼交流会 全1回 計19名  D音訳ボランティア校正講座 全3回 計24名  Eサピエ図書館登録音声デイジー製作基準説明会 全2回 計25名 5.調査研究事業  生活共同組合の社会福祉活動助成事業による「失明の可能性の告知を受けた人の早期相談支援体制の構築に向けた調査研究事業」を実施した。眼科医や視覚障害者の当事者団体へのアンケートを行うとともに、日本で取り組まれている早期相談支援を行っている病院への見学や意見交換、相談支援に携わっている関係者へのヒアリングを参考に、日本における早期相談支援体制を検討した。  また、厚生労働省令和4年度障害者総合福祉推進事業「視覚障害者の代筆・代読の効果的な支援方法に関する調査研究事業」を実施した。自治体、同行援護事業所・居宅介護支援事業所へのアンケート及びヒアリングを通して、視覚障害者の代筆・代読支援が効果的に行われる体制等を検討した。 6.地域との連携  本年度も新宿区内社会福祉法人連絡会の幹事施設として、企画運営等に携わり、講演会の開催、食品配布会、オンラインサロン等の取り組みを積極的に行った。   7.施設等の整備  9月26日にセンターに設置されたAEDパッドの定期交換を行い、備品のメンテナンスに努めた。また、10月22日に防犯カメラ増設工事を行い、新宿区及びセンターの安全対策に努めた。 8.文化・芸術活動 (1)第44回全国視覚障害者将棋大会の開催  12月3日、4日に戸山サンライズ(全国障害者総合福祉センター)にて3年ぶりに開催した。昨年、一昨年とオンラインで開催したリモート将棋大会の経験を活かし、A級決勝戦の大盤解説を行う等、イベント内容の充実にも努めた。 (2)第48回全国視覚障害者文芸大会の開催  本年度は、全国から短歌48名(143首)、俳句53名(158句)、川柳59名(173句)、随想随筆6名(6作品)の応募があり、部門ごとに第3位までの入賞者を選考した。 9.防災対策  総合避難訓練を8月10日に実施し、実際の避難の際に支障がないように取り組んだ。 10.職員研修  5月20日に行われた「音声版選挙公報製作研修会」に録音製作所の職員が全員参加し、技能向上に努めた。また、第75回全国視覚障害者福祉大会(名古屋大会)への参加に伴い、6月1日に職員3名が名古屋ライトハウス情報文化センターを見学し見識を深めた。さらに、新宿区内社会福祉法人連絡会において2月24日に開催された区内の社会福祉法人で働く職員たちの交流会に職員を派遣した。  また、センターでは、2年ぶりにAEDの定期講習会を11月4日に開催した。なお、新入職員に対しては、点字教室の他、視覚障害者のガイド方法(講義、実技)、本連合の概要、視覚障害、社会福祉法人に関して研修を実施した。 11.健康管理・レクリエーション  年に1回の定期健康診断及びインフルエンザ予防接種の補助、職員の健康チェックを行った。また、職員の親睦を図るため、忘年会を開催した。 12.新型コロナウイルス感染対策  国や都の新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を参考に、これまで通りの基本的な感染対策を継続して行うことができた。働き方についても、時差出勤、在宅勤務、通勤時の自動車等の利用を継続して行った。 13.各種会議、委員会 (1)運営会議 毎月第2火曜日(8月を除く)  4月12日、5月10日、6月14日、7月12日、9月12日、10月11日、11月8日、12月13日、1月10日、2月14日、3月14日 (2)部長会議の開催(随時)  2月17日 14.その他 (1)点字考案200年記念事業の実施  設立2年目を迎える本年度は、「第2回点字考案200年記念事業『記念講演会&シンポジウム』」を12月10日に開催した他、記念誌出版の企画・目次案の作成及び執筆者への依頼、そして、令和5年11月29日〜12月2日にアメリカにおいて開催される「Getting In Touch With Literacy」への研究発表・レポート提出を呼び掛ける活動等を行った。 (2)ウクライナ視覚障害者支援チャリティーコンサートの開催  12月6日に地域住民を対象として、ウクライナ出身のバンドゥーラ奏者・カテリーナさんを招き、「日視連フェスティバル2022特別企画『ウクライナ視覚障害者支援チャリティーコンサート』」を開催した。来場者からの募金や入場料は、日本盲人福祉委員会を通じてWBUウクライナ協同基金に寄付をすることができた。 15.資料編 (1)全国盲人総合相談(厚生労働省委託)第79回、第80回 @眼科相談 ・件数 3件(電話再掲 0件) 担当:工藤大介(順天堂大学眼科医) ・件数 4件(電話再掲 0件) 担当:平塚義宗(順天堂大学眼科医) A法律相談 ・8件(電話再掲 0件) 担当:大胡田誠(弁護士) B生活相談 ・11件(電話再掲 0件) 担当:工藤正一 ・4件(電話再掲 0件) 担当:吉泉豊晴 C合計 30件(電話再掲 0件) 【相談内容】 @眼科相談  白内障と硝子体出血の症状がある、残像が多くて困っている、緑内障、ドライアイ、大学病院の手術待ちの短縮 等 A法律相談  相続問題、白杖に引っ掛かって転倒した方への治療費や慰謝料、リフォーム会社への訴訟問題、会社経理の不正 等 B生活相談  ワン切り電話、同行援護、障害年金、日常生活用具、視覚障害者から見たウェブアクセシビリティ 等 (2)全国盲人生活相談状況 @病気・健康等、家庭心配事相談(施設含む)、その他 電話 1,097件 文書  199件 来訪   13件 合計 1,309件 ※主な相談内容 ・眼病進行の不安 ・ロービジョン関係 ・視覚障害者情報支援機器 ・ICT相談 A就学・就職相談 電話  116件 文書   39件 来訪   2件 合計  157件 ※主な相談内容 ・あはき開業 ・求職・雇用問題 ・就学 ・その他 B年金・社会保険相談 電話  375件 文書   29件 来訪   4件 合計  408件 ※主な相談内容 ・障害者手帳について ・介護保険・65歳問題 ・同行援護 ・その他 C移動・旅行相談 電話  263件 文書   37件 来訪   3件 合計  303件 ※主な相談内容 ・交通機関の相談 ・点字ブロック・音響式信号機 ・その他 D法律相談 電話   48件 文書   6件 来訪   0件 合計   54件 ※主な相談内容 ・遺産関係のトラブル ・交通事故等のトラブル ・その他 E合計 2,231件 【担当者別】 @富岡相談員(ICT相談)  電話230件、文書11件、計241件 A宮城相談員(同行援護他相談)  電話89件、文書4件、Zoom面談1件、計94件 B大谷相談員(同行援護相談)  電話26件、文書1件、計27件 (3)点字出版所 @製版枚数(枚) 令和4年度:11,577 令和3年度:12,074 A印刷枚数(枚) 令和4年度:1,816,020 令和3年度:1,796,983 B製本(冊) ・自治体、議会広報 令和4年度:5,688 令和3年度:6,161 ・点字厚生 令和4年度:150,000 令和3年度:150,000 ・点字日本 令和4年度:2,100 令和3年度:2,100 ・その他 令和4年度:28,697 令和3年度:29,682 (4)録音製作所 @マスター製作数 令和4年度:1,284 令和3年度:1,122 内訳 ・自治体広報・議会報 令和4年度:659 令和3年度:674 ・声の広報・厚生、厚生労働白書・障害者白書 令和4年度:8 令和3年度:8 ・日視連アワー 令和4年度:24 令和3年度:26 ・その他 令和4年度:593 令和3年度:414 Aコピー数 令和4年度:24,297 令和3年度:24,569 内訳 ・自治体広報・議会報 令和4年度:8,183 令和3年度:8,573 ・声の広報・厚生、厚生労働白書・障害者白書 令和4年度:12,600 令和3年度:12,600 ・日視連アワー 令和4年度:1,716 令和3年度:1,859 ・その他 令和4年度:1,798 令和3年度:1,537 (5)点字図書館 @新規図書制作数 A タイトル数 点字 令和4年度:30 令和3年度:14  音声デイジー 令和4年度:24 令和3年度:21  テキストデイジー 令和4年度:5 令和3年度:3  B 巻数または時間 点字 令和4年度:77巻 令和3年度:71巻 音声デイジー 令和4年度:155時間21分 令和3年度:118時間45分 A貸出数 A タイトル数 点字 令和4年度:1,565 令和3年度:2,116  音声デイジー 令和4年度:19,900 令和3年度:24,188 カセット 令和4年度:3,131 令和3年度:3,900 B 巻数 点字 令和4年度:3,651 令和3年度:4,166  音声デイジー 令和4年度:19,903 令和3年度:24,189 カセット 令和4年度:4,598 令和3年度:5,713 C 人数 点字 令和4年度:1,206 令和3年度:1,433  音声デイジー 令和4年度:14,797 令和3年度:16,975 カセット 令和4年度:3,006 令和3年度:3,813 (6)職員の状況 令和5年3月31日現在 @本部 正職員0名 嘱託・非常勤2名 パートタイマー0名 前年度比0 A総務部 正職員4名 嘱託・非常勤0名 パートタイマー0名 前年度比-2 B事業部 正職員4名 嘱託・非常勤1名 パートタイマー1名 前年度比-1 C組織部 正職員4名 嘱託・非常勤0名 パートタイマー0名 前年度比0 D情報部(相談室含) 正職員5名 嘱託・非常勤1名 パートタイマー1名 前年度比0 E情報ステーション 正職員16名 嘱託・非常勤1名 パートタイマー4名 前年度比0 ・点字図書館 (正職員3名) (嘱託・非常勤1名) (パートタイマー2名) (前年度比0) ・点字出版所 (正職員9名) (嘱託・非常勤0名) (パートタイマー1名) (前年度比0) ・録音製作所 (正職員4名) (嘱託・非常勤0名) (パートタイマー1名) (前年度比0) F出向 正職員2名(備考:日盲委2名) 嘱託・非常勤0名 パートタイマー0名 前年度比-1 G合計 正職員35名 嘱託・非常勤5名 パートタイマー6名 前年度比-4