社会福祉法人日本視覚障害者団体連合 令和3年度事業報告書 (自令和3年4月1日 至令和4年3月31日)  第1 組織・団体活動 1.はじめに  本連合の活動の基本は情報保障と外出時における安全対策であり、さらにはあはきを含む就労問題である。それとともに活動の基本理念とすべきは、基本的人権の保障と差別のない社会を目指した活動である。本年度もこれらの活動を重点的に行った。また、活動の継続性と組織強化のためには、青年層の参加と中途失明者ないし中高年者への支援が必要であり、それらを実現するために加盟団体への支援を進めることにした。  これらの活動の結果、まずは「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」(通称:障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)が通常国会に上程されるところまでこぎつけた。さらに、障害者差別解消法の改正によって民間事業者に対する合理的配慮の提供を義務化することができた。また、青年協議会を中心に、会員外の青年層をも対象としたセミナーを開催し、青年層への広がりのきっかけを作ることができた。しかし、中途視覚障害者ないし中高年齢層への支援や加盟団体の組織強化に向けた取り組みは、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で十分な取り組みができなかった。 2.主要課題に対する取り組み (1)視覚障害者もデジタル化による利便性を享受できる社会の実現に向けた取り組み  @様々なデジタル分野のアクセシビリティ向上に向けた働きかけ   本年度は、9月に創設されたデジタル庁に主眼を置いて働きかけを行った。毎年行っている関係府省庁への陳情活動にデジタル庁を加え、障害者に特化した専門部局設置とICTに精通した視覚障害者を登用することを求め、中央省庁において積極的に視覚障害者向けのアクセシビリティを向上させることを促した。結果的に専門部局設置はかなわなかったが、アドバイザーとして2名の視覚障害者が非常勤で雇用された。   また、同庁が11月に開催したデジタル社会構想会議の団体ヒアリングにも参加し、日常生活や就労、教育におけるデジタル化の進展に際し、視覚障害者が取り残されないよう、当事者も参画した取り組みを強く求めた。  AICTの更なる活用   視覚障害者がICTを活用するためには、ICT機器の訓練体制が充実し、どの地域においても訓練を受けられる体制が必要である。本年度は、生活協同組合の社会福祉活動等助成事業による「視覚障害者の情報機器の活用に関する実態調査」の検討委員会を設け、視覚障害者のICT機器利用の実態とその支援体制について調査した。当事者、支援機関、自治体等へのアンケート並びにヒアリングを行ったことにより、さまざまなニーズや課題、要望を集めることができた。本年度中の取りまとめはできなかったが、次年度中には提言を含めた報告書として取りまとめられる予定である。 (2)情報コミュニケーションの確立に向けた取り組み  視覚障害者にとって情報保障は永久の課題であり、最も重要な活動目標である。本年度は、すでに施行されている読書バリアフリー法に基づく取り組みを前進させることと、情報保障を総合的に位置づけた情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の実現を目指した。  @読書バリアフリー法   同法に関しては、地域における読書環境を改善するために、都道府県による基本計画の制定を働きかけるとともに、同法をより広く啓発するための資料づくりに着手した。しかしながら、鳥取県のように積極的ないし先駆的な基本計画を実現させた例も生まれたが、基本計画を制定した都道府県は未だ一部にとどまっている。すべての都道府県による基本計画の制定を含め、読書バリアフリー法による読書環境のさらなる改善を実現するためには、次年度中に同法の啓発のための資料の発行にこぎつけなければならない。  A障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法   障害者の特性に応じた情報媒体の選択権を保障し、国及び地方自治体だけでなく、民間事業者をも含めた障害者に対する情報保障の必要性を総合的に規定した法律「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」は、本連合や関係する視覚及び聴覚の当事者団体の働きかけにより議員立法として草案され、令和4年3月に国会に提案された。同法は年度をまたいだ上で、次年度の初頭に成立する運びとなり、今後は、この法律に基づき個別の制度改革に向けた取り組みを進めることになる。 (3)就労に関する取り組み  視覚障害者に対する職場介助者制度はすでに実現しているものの、通勤時における支援や自営業者に対する支援の充実は長年にわたる課題であった。そのため、本連合の粘り強い働きかけにより、令和2年10月に福祉施策と雇用施策の連携としての重度障害者等就労支援特別事業が開始され、本年度は約30の自治体で実施されることになった。しかし、この事業には大きなハードルがあり、各自治体が実施を決定することが必要であり、さらにはあはき業を営む視覚障害者にとって十分な支援が受けられるものとはいえないことから、現時点ではこの制度により支援を受けている視覚障害者はごく限られた人数でしかない。本年度は、同事業を実施する自治体を増やすため、総合相談室を中心に実施例を収集し、情報を求める加盟団体の役員や会員等へ情報を提供した。また、第3回全国団体長会議においては、同事業をテーマにした意見交換を行い、本連合の加盟団体が中心となって、各地の自治体で同事業の開始に向けた働きかけを行うことを確認した。  他方、一般就労を目指す視覚障害者や就労中に視力が低下した視覚障害者に対する支援に関しては、特筆すべき取り組みや成果を上げるところまでには至らなかった。当事者や関係者による懇談会の立ち上げに向けて準備を進めたが、本年度も継続的な懇談会を立ち上げるまでには至らなかった。 (4)同行援護に関する取り組み  同行援護が制度として開始して10年が経過した。今では視覚障害者の生活には欠かせない存在となり、利用者のニーズは多様化している。そのため、全国の視覚障害者が求める同行援護を利用した際の車の利用、宿泊を伴う利用、通学や通園における利用等の開始に向け、引き続き国に対する要求活動を行った。これらの制度改善は、本年度中には解決の糸口を見つけることができなかったため、今後も粘り強く要求し、全国での実現を目指す。  また、新型コロナウイルス感染症の影響により、ガイドヘルパーの人材不足が深刻化している。一方で、近年は利用者のニーズの多様化、高齢化の影響もあり、ガイドヘルパーの資質向上も課題となっている。すなわち、ガイドヘルパーの人材確保と資質向上が同時に求められている。そこで、本年度は、次年度の報酬改定に関する厚生労働省のヒアリングにおいて、人材確保のための報酬の増額を求めた。また、資質向上については、厚生労働省が実施する同行援護従業者養成研修のカリキュラム改定に向けた研究事業に、本連合の活動に協力する学識経験者が参加し、視覚障害者が求めるガイドヘルパー養成の在り方を提示した。その結果、報酬の増額は実現しなかったが、カリキュラムは次年度に改正される見込みになった。  なお、本年度も同行援護事業所等連絡会と連携し、厚生労働省に対し要望するとともに、視覚障害者移動支援従事者(同行援護従業者)資質向上研修を開催した。ただし、同研修事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により一部を開催中止にしたため、次年度は本年度受講予定だった者を優先的に受講させることにした。 (5)安全に安心して移動できるための取り組み  @鉄道の更なるバリアフリー化   本年度も、駅ホームにおける安全対策、駅の無人化に関する検討等、国の検討会に本連合の代表者を派遣し、さらなる鉄道のバリアフリー化に向けた議論に参加した。駅ホームの安全対策では、事故分析のための調査体制に関する検討にも加わり、次年度その体制が確立する予定となっている。そして、ソフト面の対策では、関東の鉄道各社が共同で取り組んでいる「声かけ・サポート運動」強化期間ポスター製作とその周知に本年度も協力した。さらにコロナ禍での対応を含めた公共交通事業者向け接遇研修プログラム改訂にも協力した。  A道路交通の更なるバリアフリー化   本年度は、「旅客特定車両停留施設における必要な構造」や「歩行者利便増進道路に必要な道路構造」等を盛り込んだ、道路の移動円等滑化に関するガイドライン改正のための検討が行われ、道路における視覚障害者誘導用ブロックの連続した敷設とその機能維持の必要性を提案し、ガイドラインに反映することができた。   また、視覚障害者が24時間安心して安全に道路を横断できるよう、交差点におけるエスコートゾーンの敷設並びに音響式信号機の拡充を要望した。音響式信号機については、全国的に統一したシステムの必要性を訴えるとともに、稼働時間の延長についても加盟団体とともに働きかけを行った。なお、高度化PICSについては、国等に地域の視覚障害当事者の意見を踏まえながら設置すること、前述の音響式信号機も併用することを求めた。   さらに、道路交通法の改正に向けた自動配送ロボットや電動キックボードの歩道走行に関するヒアリングに参加し、視覚障害者がこれらの車両走行により安全を脅かされることのないよう罰則を盛り込むことや走行者への十分な研修を義務付けるよう求めたが、反映された内容とはならなかった。そのため、次年度以降も、引続き安全対策を要望していく必要がある。  B各地域での地域協議会の更なる活用   移動に関するバリアフリーを加速させるためには、国に対する各種施策の改善を求めるとともに、各地域において地域単位でのバリアフリー化に向けた交渉が必要である。そのため、10月に開催した第2回全国団体長会議において、国土交通省の担当者を招聘し、バリアフリー法の最近の動向について講演していただき、各地域での取り組みの参考にした。 (6)地域でのリハビリテーション・システムの普及に向けた取り組み  本連合は、都道府県及び政令指定都市を単位とする60の加盟団体によって構成されているが、その全ての加盟団体において会員数が減少し、組織運営を担う役員の成り手不足が課題となっている。その大きな要因は、盲学校や視覚特別支援学校に就学し、卒業した視覚障害者の数が激減していることと、中途視覚障害者の高齢化が進んでいることである。そうした状況を前提とした新規会員の獲得と地域活動の在り方を目指して、地域団体への支援を考えた1年となった。  @スマートサイトの推進   本年度も日本眼科医会との懇談会を実施し、全国の眼科医を訪れる視覚障害者に本連合の活動を伝えるための取り組み、実効性のあるスマートサイトの実現ないし関係者によるネットワーク化による推進を働きかけた。その結果、本連合が発行する弱視者(ロービジョン)に関する啓発資料を全国の眼科医に周知することができた。  A地域レベルの組織・団体活動の強化   地域において中途視覚障害者が社会復帰し、あるいは良質な日常生活を取り戻す過程で、当事者団体としての各地の組織がどのように関与できるかは、今後の組織作りにとって極めて重要な課題である。各加盟団体が、会員と非会員を問わず地域の視覚障害者を対象とする障害福祉サービス事業を実施することによって、その地域における存在感を示すことになるし、組織強化にも結び付く。そのためにも、未だ法人化できていない団体や福祉事業を実施していない団体に対する支援を実現することが必要である。   そのため、本連合は、加盟団体支援プロジェクト委員会を立ち上げて、これらの団体への支援を目指して取り組みを進めている。昨年度は全国の団体に対するアンケート調査を実施し、本年度はこの調査結果を5月に公開した。そして、調査結果を踏まえていくつかの加盟団体を訪問し、ヒアリングを実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響のためヒアリングは一部の団体にとどまった。次年度中には、ヒアリングを完了し、具体的支援策を提示した上で、その実現に向けて加盟団体との協議を開始することになる。 (7)新しい生活様式に関する取り組み  新型コロナウイルス感染症は、引き続き視覚障害者の生活の安定を脅かしている。そのため、本連合には新型コロナウイルス感染症に関する様々な相談や困りごとが寄せられている。特に、本年度はワクチン接種会場における移動、情報取得に関する困りごと、在宅療養の際の困りごと等に関する意見や要望が多く寄せられた。そして、各場面における支援の実現が課題となったので、本連合として、国に対しこれらの課題の解決を求めた。  ワクチン接種については、8月末に河野太郎ワクチン接種推進担当大臣(当時)及び厚生労働省に対して、関係団体とともに要望書を提出し、オンラインでの面談を行った。また、在宅療養については、関係する国会議員に働きかけ、支援の拡充を求めた。 (8)防災に関する取り組み  視覚障害者の防災に関する取り組みは、日本盲人福祉委員会を中心に、防災対策として災害支援員の登録や研修を行っている。本年度も同委員会の取り組みに協力した。  他方、地方自治体は、障害者の災害時における避難所への移動や避難所における生活を事前に検討するための要支援者避難個別計画を進めることになっているが、視覚障害者を対象とした個別計画はほとんど進んでいない。また、災害時における要支援者名簿の作成も自治体によって大きな差が出ている。そのため、個別支援計画の策定等を働きかけるための取り組みが必要となっている。その取り組みとして、それらの実情を把握したり、先進的な好事例を収集して全国に情報提供することを検討していたが、本年度は具体的な取り組みには至らなかった。 (9)19条訴訟に関する取り組み  あん摩師等法19条に基づく施設認定不認可処分は憲法に反しているとして平成医療学園グループが平成28年7月に提起した行政訴訟は、令和3年7月9日に大阪高裁で判決が言い渡され、東京高裁、仙台高裁と同様に控訴人(平成医療学園グループ)の請求が棄却されたが、原告(同グループ)は最高裁判所に上告したため、戦いの舞台は最高裁判所に移った。そして、令和4年2月7日に最高裁判所で判決が言い渡され、本件上告が棄却された。判決理由において、視覚障害者にとってあはき業は従前から重要な職域であり、今もなお続いていること、社会的弱者を保護するための施策は合理的かつ必要なものであること、19条は合憲であることが示された。これは本連合の長年の運動の結果とも言える。  しかし、この裁判は、視覚障害者にとっての「あはき」を見直す必要性も問いかける結果となった。視覚障害あはき師の業界における占有率は低下し、あはき師を目指す視覚障害者も減少している。一方では、依然として無資格者による施術が横行している等、あはき業を取り巻く課題は山積している。  なお、本連合は仙台・東京・大阪の各地域に対策協議会を設置し、視覚障害者の職業と生活を守るために国の処分を支持する活動を行った。最高裁判所への署名活動として、個人署名に加え団体署名を実施し、3訴訟合計で個人署名が27,000筆を超え、団体署名は約400団体から集め、最高裁判所に届けた。また、関係団体で構成する「あん摩師等法19条連絡会」は、本年度は5回の幹事会を開き、裁判の状況を確認し、運動を継続することで意思統一を図った。そして、「19条連絡会ニュース」の配布を通して広報と啓発に努めた。 (10)点字文化の普及に向けた取り組み  主に次の2つの取り組みを通して、点字文化の普及に努めた。  @点字考案200年記念事業  1825年にルイ・ブライユが点字を考案してから、2025年で200年を迎えようとしている。点字の意義をさらに大きなものとするために、本年度から点字の普及と現代社会に即した実用性の拡大を目指して、関係団体とともに「点字考案200年記念事業推進委員会」を設立し、事務局を本連合内に設置した。そして、本年度は、令和4年3月19日に第1回記念事業として韓国点字法をテーマとした「記念講演会&シンポジウム」を開催した。このイベントを通じて、韓国では点字がハングルと同じく文字として位置付けられていることを学ぶことができ、本連合が目指すべき運動課題が明らかとなった。  A公職選挙法施行令別表で定めている点字投票で用いる点字一覧表の改正   平成18年に日本盲人福祉委員会と日本点字委員会が連名で要望していた点字投票で用いる点字一覧表の改正については、両委員会を中心に総務省と調整し、公職選挙法施行令の別表を改正することになった。なお、この改正はパブリックコメントを踏まえて、令和4年4月6日に改正され、官報に新たな点字一覧表が掲載された。改正内容は、外国名の表記に用いるアルファベットや特殊音点字の追加及び記号類の名称変更や修正等である。 3.分野別の取り組み (1)日視連としての取り組み  新型コロナウイルス感染症により、我が国では様々な面でのオンライン化が進んだ。特に、会議のオンライン開催は一般的になり、その利便性から今や標準的なものとなった。本連合でも、会場への移動の手間が省ける等の利便性を踏まえ、理事会や各種委員会等のオンライン開催を標準化した結果、他の会議や全国大会のオンライン化が実現し、全国の加盟団体と緊密に連携することができた。  まず、昨年度の定款改正により、本年度より、全国の加盟団体及び協議会の代表者が集う会議「全国団体長会議」を設け、加盟団体との協議の場、情報交換の場となっている。特に、本年度は、全国各地で地域の自治体等に対する要求活動を行う際に他地域の成功例が活用できることから、重度障害者等就労支援特別事業の実施例のレポート及び意見交換を行い、成功事例の情報を共有した。さらに、長年に渡り協議事項となっていた顕彰規程の改正と全国大会の輪番制の導入については、12月にブロック長会議を開催し、各ブロックの意見を集約した。なお、オンライン会議の開催が難しい団体もあるため、今後はオンライン会議を開催するための研修等が必要である。  また、本連合が掲げる将来ビジョンの進捗管理と推進を行う「将来ビジョン推進委員会」は、平成30年度に作成した将来ビジョンの見直しに向けて議論を開始した。 (2)あはきに関する取り組み  本年度は前述した「19条訴訟に関する取り組み」の他に、次のような取り組みをした。なお、今後の視覚障害あはき師の将来を見据え、盲学校や筑波技大等との懇談会をもった。  @あはき協議会   視覚障害あはき師の職域の確保と職業的・経済的自立を図ることを目指し、本協議会が中心となり、以下の課題に取り組んだ。   ・あん摩師等法19条を死守するための取り組み   ・無免許者との差別化(厚生労働大臣免許保有証の申請手続き、施術所の届け済み証の掲示の促進)   ・就労の場の拡大と合理的配慮の具現化   ・学術研修の充実と教育制度の改善   ・あはき療養費取り扱いの拡大と損害賠償責任保険の加入促進   ・あはき関係団体との連携   ・加盟団体の組織強化及び情報交換  Aあはき問題戦略会議   本年度は令和4年3月5日にオンラインにて開催し、視覚障害あはき師に関わる以下の課題を検討した。   ・あん摩師等法19条裁判後の課題   ・重度障害者等就労支援特別事業の実施地域の拡大   ・理療科教育の現状認識と今後の課題   ・あはきにおける療養費取り扱いの諸課題に対する取り組み (3)視覚障害女性に関する取り組み  視覚障害女性の生活文化と地位向上を図ることを目指し、女性協議会とともに諸課題の検討、改善に向けた要求活動を行った。また、全国の女性の困りごとを情報収集するため、次年度より本連合の総合相談室で女性相談員による女性専用の相談窓口の開設を目指し、関係者と協議した。  なお、目標に掲げた女性リーダーの育成については、具体的な取り組みには至らなかった。次年度においては、具体的な行動に移すため、関係者と協議をする。 (4)視覚障害青年に関する取り組み  現在、本連合では会員や役員の高齢化が進み、次世代リーダーの育成が喫緊の課題となっている。そのため、青年協議会が中心となり、新たな青年層会員の獲得に繋げるための事業、団体内のリーダー育成に繋げる事業等を実施した。特に、オンラインを活用した事業を強め、本連合役員との懇談会の開催、同行援護事業所等連絡会とのコラボ企画等を開催した。  なお、かねてより青年層の会員からは、本連合の活動に参加するために土日や祝日等の休日の会議開催を求める声があった。青年協議会からも同意見が寄せられ、今後は、社会情勢の変化、本連合会員のニーズに応じた本連合の会議運営の在り方を継続的に検討していくことにした。 (5)文化・芸術、スポーツに関する取り組み  新型コロナウイルス感染症により、様々な活動が制限されている。視覚障害者の文化・芸術、スポーツの活動についても同様で、参加者が集まること・移動することができない、支援者を集めること等が困難であった。その中で、オンラインの活用は重要なツールとなっている。本年度の取り組みでは、スポーツ協議会が自宅にいながら簡単に体を動かせる体操を紹介する動画をYouTubeで公開した。また、音楽家協議会は、令和4年2月20日に開催した「日本博を契機とした障害者の文化芸術フェスティバルin 近畿ブロック&グランドフィナーレ」に参加し、同協議会の代表者の演奏、本連合代表者も参加した鼎談がライブ配信された。  なお、文化庁と厚生労働省が主催する障害者文化芸術活動推進基本計画(第2期)の策定に向けたヒアリングに本連合の代表者が参加し、視覚障害者の文化・芸術活動の推進のため、支援者や活動する場所の確保、移動や情報取得に関する支援の充実を求めた。 (6)弱視(ロービジョン)に関する取り組み  本年度も弱視問題対策部会を中心に活動を行った。なお、同部会名称は本年度から「弱視部会(通称ロービジョン部会)」となった。  まず、本年度はオンライン意見交換会を2回開催し、障害者手帳を取得するまでの葛藤、オンライン会議における困りごとや工夫について意見を交換した。なお、障害者手帳の取得に関するテーマで集まった意見は「弱視者の困り事 資料集第4号」にとりまとめ、広く周知した。その結果、弱視(ロービジョン)であることを打ち明けられない視覚障害者が「困っているのは自分だけではないことを気付かせる資料」として活用され始めている。  また、7月の第1回委員総会では、文部科学省、文化庁より担当者を招聘し、読書バリアフリー法における基本計画と改正著作権法のポイントについて研修し、講演後、弱視者(ロービジョン)の読書について意見を交換した。また、第2回委員総会では、イギリスで行われているECLOについて慶應義塾大学中野教授よりご講演いただき、講演後、早期相談体制についての意見交換を行い、その重要性を確認することができた。  なお、国の検討会に参加した際も、同部会での意見等を基に、弱視者(ロービジョン)の見やすさ・移動のしやすさ等を求めた。 4.国内及び海外の関係団体との相互交流、協力に関する事業 (1)府省庁や関係機関との協力  内閣府、厚生労働省、国土交通省、文部科学省をはじめとする関係府省庁の審議会等に代表者を派遣し、視覚障害者の立場から意見を述べ、要望の実現に努めた。  また、鉄道事業者、金融機関、通信事業者等からの相談に対応し、啓発ポスターの監修、各種事業に対し助言した。 (2)国際交流  日本盲人福祉委員会を通してWBU(世界盲人連合)及びWBUAP(世界盲人連合アジア太平洋地域協議会)に代表者を派遣し、世界の視覚障害者と交流し福祉に関する情報を収集した。  なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、昨年度の開催を中止した第10回WBU総会は、本年6月にオンラインで開催され、本連合の代表者が参加した。また、同じく昨年度の開催を中止した第15回WBUAPマッサージセミナーは、東京都盲人福祉センターを会場に本年9月にオンラインで開催し、本連合の役員及び関係者が参加した。 (3)各障害者団体との協力  視覚障害者の福祉向上のため、他の障害者団体や福祉関係団体と連携して活動した。全国社会福祉協議会、日本障害フォーラム(JDF)、あはき等法推進協議会、鍼灸マッサージ保険推進協議会等の団体の一員として、視覚障害者の権利擁護や業権擁護に努めた。  また、全日本ろうあ連盟、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、全国盲ろう者協会との間で「情報コミュニケーション4団体連絡会」を開催し、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の実現に向けて活動した。  さらに、ロービジョンケアネットワークの全国普及を目指して、ネクストビジョン、日本眼科医会、専門の学識経験者等と連携した。 5.全国視覚障害者福祉大会の開催  本年度の全国大会は、社会福祉法人岡山県視覚障害者協会の協力の下、令和3年5月24日に岡山県倉敷市において「第74回全国視覚障害者福祉大会(岡山大会)」として、本連合初のオンライン開催をした。  同大会は、当初、従来通りの3日間の開催を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、開催に向けた調整は難航した。また、開催直前に開催地において緊急事態宣言が発令され、開催方法の見直しも迫られた。しかし、昨年度の「第73回全国視覚障害者福祉大会(宮城大会)」を断腸の思いで中止したことから、本年度の全国大会は是が非でも開催するという熱意の下、参加者の安全を守るために会期を1日に圧縮し、オンラインを活用する方法で全国大会の開催を実現した。  なお、全国大会の大会式典及び大会議事はYouTubeによりライブ配信した。その結果、これまで全国大会の会場に参加できなかった会員がオンライン上で全国大会に参加することができた等、様々な効果があることが分かった。次年度以降の全国大会の開催においても、オンラインの活用を推進する。 6.各種会議の開催  (1)評議員会  定時 6月22日 オンライン、日本視覚障害者センター (2)評議員選任・解任委員会  第1回 6月18日 オンライン、日本視覚障害者センター (3)全国団体長会議  第1回 5月24日 オンライン、倉敷アイビースクエア  第2回10月29日 オンライン、日本視覚障害者センター  第3回 2月17日 オンライン、日本視覚障害者センター (4)ブロック長会議  第1回12月 8日 オンライン、日本視覚障害者センター (5)理事会  第1回 5月 7日 オンライン、日本視覚障害者センター  第2回 5月31日 オンライン、日本視覚障害者センター  第3回 6月16日 オンライン、日本視覚障害者センター  第4回 6月22日 オンライン、日本視覚障害者センター  第5回 8月 6日 オンライン、日本視覚障害者センター  第6回11月26日 オンライン、日本視覚障害者センター  第7回 3月25日 オンライン、日本視覚障害者センター (6)監事監査  監事監査 5月31日 オンライン、日本視覚障害者センター  中間監査11月11日 オンライン、日本視覚障害者センター (7)正副会長会議  第1回 4月13日 オンライン、日本視覚障害者センター  第2回 7月26日 オンライン、日本視覚障害者センター  第3回10月 6日 オンライン、日本視覚障害者センター  第4回 1月19日 オンライン、日本視覚障害者センター  第5回 3月 8日 オンライン、日本視覚障害者センター 7.各協議会の活動 (1)あはき協議会  @代議員会    第1回 6月22日 オンライン  A常任委員会   第1回11月 2日 オンライン   第2回12月18日 オンライン   第3回 2月19日 オンライン  Bあはき委員会   第1回 3月22日 オンライン、日本視覚障害者センター    (2)青年協議会  @常任委員会   第1回 4月17日 オンライン   第2回 5月10日 オンライン   第3回 7月 1日 オンライン   第4回 9月29日 オンライン   第5回11月11日 オンライン   第6回12月19日 福島県点字図書館   第7回 2月23日 オンライン   第8回 3月27日 オンライン  A全国委員会   第1回 4月18日 オンライン  B社会対策研修会(教育状況調査アンケート報告、全国青年部活動状況調査報告等)   第1回 7月18日 オンライン   第2回11月23日 オンライン  C第67回全国視覚障害青年研修大会(神奈川県大会)を令和3年9月19日〜20日に会場(レンブラントホテル厚木)とハイブリッドで開催した。 (3)女性協議会  @常任委員会   第1回 4月 3日 電話会議   第2回 4月17日 電話会議   第3回 6月 5日 電話会議   第4回 6月19日 電話会議   第5回 7月17日 電話会議   第6回 8月28日 電話会議   第7回 9月11日 電話会議   第8回11月13日 電話会議   第9回 1月22日 電話会議   第10回3月 5日 電話会議   第11回3月19日 電話会議  A全国委員会   第1回11月21日 電話会議   第2回 3月15日 電話会議  B全国代表者会議   第1回 9月 1日 オンライン(ハートピア鹿児島)  C第67回全国視覚障害女性研修大会 九州ブロック(鹿児島県大会)第53回九州盲女性研修大会   期日 9月1日(水)   場所 オンライン(ホスト会場:ハートピア鹿児島) (4)音楽家協議会  @正副会長会議   令和3年12月13日(日) 名古屋法蔵寺   その他、新型コロナウイルス感染症対策のため、随時電話にて開催。  A常任委員会   第1回12月13日 名古屋法蔵寺   第2回 2月19日 大津市民会館  B第59回全国邦楽演奏会   新型コロナウイルス感染症の影響により開催延期にした。  C第60回音楽家協議会福祉大会   新型コロナウイルス感染症の影響により開催延期にした。 (5)スポーツ協議会  @常任委員会   第1回 4月14日 オンライン   第2回11月28日 神奈川県ライトセンター   第3回 3月 5日 オンライン  A代表者会議   第1回 7月17日 オンライン  Bブラインドスポーツ座談会   3月6日にオンラインにて開催。  第2 日本視覚障害者センターとしての事業の実施  本年度も新型コロナウイルス感染症の流行が続き、センター運営も感染対策を講じながら各種事業を実施した。昨年度とは異なり事業の停止等は避けられたが、コロナ禍の非対面を基本とした事業転換により、オンラインの活用が主流となった。特に本センターが主催したオンライン会議や研修会等は、昨年度の107回から本年度は272回と2倍以上に大きく増加し、またオンラインで参加した会議等も242件から419件に同じく増加したことが特徴的である。  このような状況の変化に対応するために、センター内でオンライン作業の研修や通信設備等の整備、改善を図った。総じて、今後のセンター運営や事業展開の在り方が求められた1年となった。 1.業務重点事項 (1)健全経営に向けた取組み  オンライン作業を効率的に対応するために段階的に以下の整備を行った。  @ポケットWi‐Fi、法人専用スマートフォンを導入し、出張先や外出先でもスムーズにオンライン会議に参加できるようにした。  A関係部署と資料等をDropboxで共有し、各部門が所有するデータを一元的に管理共有できる仕組みを整えた。  B研修室のオーディオ機器の入替工事を行った。  Cセンター内のウェブ(LAN)環境を安定させることを目的に、研修室のLAN配線の独立工事をした。  D月1回の運営会議にてZoomを活用し、当日在宅ワークの者も参加できるようにした。 (2)地域福祉への取り組み  新宿区内社会福祉法人連絡会に加盟し、幹事団体として地域福祉の活動に参加した。本年度は、新宿区内在住で食の支援が必要な子育て世帯を対象とした「食品配布会」にセンターを食品受取場所として提供したり、当日の配布作業にも積極的に参加した。 (3)労働環境の改善  職員給与体系の見直し、労働環境の改善を図った。  また、育児・介護休業法の改正に併せて、就業規則を改正し、育児休業や介護休業等が取得しやすい環境を整えるとともに産後パパ育休制度を導入し、男女とも仕事と育児が両立できる体制整備に努めた。 2.厚生労働省及び東京都の委託事業及び補助事業の実施  本年度も例年通り、厚生労働省及び東京都の委託費及び補助金の交付を受け、以下の事業を実施した。 (1)視覚障害者用図書事業等委託費(厚生労働省委託)  @盲人用具あっ旋事業 7,807,000円   低廉な価格で用具を入手できるように、その斡旋を行うとともに一定の減額にて販売を実施した。  A全国盲人生活相談事業 2,539,000円   2回に分けて実施し、眼科8件、法律8件、生活9件の各種相談を委嘱した専門相談員が対応した。  B視覚障害者用行政情報等提供事業 31,695,000円   障害保健福祉関連情報等を点字版7回、音声版8回発行した。 (2)高度情報通信等事業(厚生労働省の補助)  @点字ニュース即時提供事業 30,893,000円   日刊点字新聞「点字JBニュース」を本年度は第7145号から第7384号まで計240回発行した。掲載記事は2,509本で、そのうち本連合が提供する情報を含む福祉関係記事を746本提供した。また、点字JBニュースの実施機関への実施状況及び課題に関する調査を実施した。 (3)視覚障害者コミュニケーション事業(東京都委託)  @視覚障害者ガイドセンター運営事業 2,230,000円   昨年度に続き新型コロナウイルス感染症の感染拡大により利用者は減少傾向である。登録ガイドヘルパーは、依頼者のニーズに対応するため、引き続き増加に努めた。  A点訳・朗読奉仕員指導者養成事業 2,203,000円   東京都委託点訳奉仕員及び朗読奉仕員指導者養成講習会、専門点訳奉仕員養成講習会(英語2名、理数4名、楽譜2名)を開催した。 (4)点字図書館等の運営(東京都補助)  @点字図書館の運営 59,654,730円 3.各部門別の取り組み (1)情報提供事業  @調査研究事業の実施   生活協同組合の助成を受け「視覚障害者の情報機器の活用に関する調査事業」を実施した。アンケート及びヒアリングを通じ、視覚障害者のパソコン、スマートフォン等の情報機器の活用に関する課題とニーズを調査した。また、広島大学が実施する「視覚リハビリテーションに対する視覚障害当事者の意識調査」のアンケートに協力した。さらに、共用品推進機構、日本障害フォーラム等から依頼を受けたアンケートを情報メールで配信し、協力した。  A情報媒体の活用   点字JBニュース、情報メール、電話ナビゲーション、愛盲時報、点字日本、日視連アワー、日視連・声のひろば等を活用して日視連の活動、全国の加盟団体の活動、国の施策等を紹介した。また、これらの媒体を通じ時々の情勢に応じた本連合の考えも表明し、視覚障害への理解と啓発に努めた。なお、点字日本は12月に600号を迎えたことを受け、別冊で記念号を発行した。  B官公庁・民間企業からの情報提供に関する協力   行政が発行する各種白書、他団体が手がける刊行物、視覚障害当事者が執筆した書籍等を保管し、福祉関係情報のアーカイブの構築を図った。  CWEBサイトの充実   本連合の活動紹介や福祉情報の提供等を充実させ、会員・関係者のみならず、広く一般社会にも視覚障害者福祉についての理解が深まるよう努めた。また、調査事業、各種催し等の結果をホームページに公開した。  Dメーリングリストの活用   福祉・職業関係の新聞記事や福祉制度等に関する最新情報を配信した。また、視覚障害に関することを幅広く情報収集し、提供した。本年度は視覚障害者関連の福祉情報1,090本、あん摩マッサージ指圧関連を含む職業関係情報266本、計1,356本の情報を提供した。さらに、毎週、点字図書館「おすすめ図書情報」、用具購買所「用具インフォメーション」も配信し、本センター各部署からの情報提供に努めた。  E情報の集積・整理   収集・整理している資料をリスト化し、本センター各部署への共有、問い合わせ対応への参考資料に利用できるよう努めた。また、フロッピーディスクに保存してあった過去のJBニュース配信記事を再整理・編纂した。  F編集会議の実施   毎月1回、情報部で発行している各種情報媒体について、部内共有と内容の充実のため会議を行った。  G拡大文字版選挙公報の製作   日本盲人福祉委員会「視覚障害者選挙情報支援プロジェクト拡大文字版部会」として「選挙のお知らせ(拡大文字版)」を発行した。本年度は秋田県知事選挙、福岡県知事選挙、北海道衆議院議員補欠選挙、広島県参議院議員補欠選挙、第49回衆議院議員総選挙の「選挙のお知らせ(拡大文字版)」と最高裁判所裁判官国民審査公報を制作・発行した。 (2)相談事業  本年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響から、対面での相談を受けることが難しいため、日々の生活相談を始め、法律、眼科、聞こえにくさ相談の対応をリモートに切り替えて、すべて事業計画通り対応することができた。なお、令和3年6月から、新たにICT相談を開始した。ICT相談は必要に応じて遠隔操作で問題解決する等の対応が好評で、回数を増やしてほしいという声も寄せられた。  そして、相談内容については、昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症に関連した心理的な不安、失業による生活不安、治療院の患者の減少、各種支援金の申請等の相談が多かった。その他、障害年金(目の障害)の改訂に関する相談、同行援護、介護保険、入居施設探し等の相談も多かった。それらの相談に対し、相談員が対応して解決できない部分は、次の専門家につなげる等、丁寧な対応を心掛けた。その他、ネクストビジョンとの連携等を行った。 (3)点字出版事業  @委託事業の実施   厚生労働省委託事業である「点字厚生」(奇数月、年6回発行)、「ワールド・ナウ」(年2回発行)を点訳・発行した。  A自治体・議会広報等の製作   各自治体発行の広報・議会だよりを点訳・発行した。  B点字版選挙公報製作事業   日本盲人福祉委員会「視覚障害者選挙情報支援プロジェクト点字版部会」の加盟施設として、衆議院選挙の「選挙のお知らせ」の製作に関わった。  C点字普及及び相談事業   講習会・研修会の講師、行政・企業からのヒアリング・モニター依頼・撮影依頼等について対応した。  D研修の実施と参加   日本盲人福祉委員会「視覚障害者選挙情報支援プロジェクト点字版部会」の研修会に職員全員が参加し、職員の技術向上に努めた。  E触知図・触知案内板の製作等   本連合や関連団体等の点字資料、及び点字ラベル等の作成や触知案内板の監修を行った。  F機材及び作業環境の整備   2種4台の点字プリンターのメンテナンスを随時行った。また、カップリングカッター1台の更新を行った。 (4)点字図書館事業  @新刊図書製作への取り組み   本年度も医学関連図書を主体に、点字図書・録音図書の製作に取り組んだ。  A選書体制の整備   選書委員会は本年度2回開催。医学専門書等、新規製作図書について、専門家を交え検討を行った。  B図書の貸出とデータの提供   点字図書、録音図書ともに郵送による全国貸出を行った。点字図書、音声デイジー図書については、サピエ図書館の休止期間がありつつも、昨年度と同等の貸出を行うことができた。またサピエ図書館へ自館製作コンテンツの提供を行い、利用者の幅広いニーズへの対応を行った。  C古書のデジタルデータ製作と保存   点字及びテープ図書のデジタルデータ化を行い、古書の保存に努めた。  Dボランティア養成事業と交流会の開催   新型コロナウイルス感染症の対策として、オンラインを活用した以下の行事を実施した。ボランティア交流会は、オンラインのみでボランティア研修会に変更し開催した。   ・点訳ボランティア初級講座/新規ボランティア10名を養成   ・音訳ボランティア基礎講座/新規ボランティア9名を養成  E点字図書館ニュースによる広報活動の推進   新刊案内「点字図書館ニュース」及び点字図書、録音図書の追加目録を製作した。また情報メールによる既存図書の広報に努めた。また、録音雑誌「日視連アワー」、「声の広報・厚生」、「日視連・声のひろば」の貸出を行い、日視連の活動の普及啓発に努めた。  F職員研修   全国視覚障害者情報提供施設大会、全国盲人福祉施設大会、サピエ研修会にオンラインにて参加し、最新の情報収集に努めた。 (5)録音製作  @厚生労働省からの委託事業   「声の広報・厚生」を隔月で年6回。「厚生労働白書」及び「障害者白書」を各1回発行した。  A各自治体及び関係団体・施設等からの委託事業   各自治体発行の広報・議会だより等の音声版を発行した。  B日視連発の広報媒体の製作   「日視連アワー」を月1回発行。加えて12月には「日視連アワー号外 点字日本600号記念別冊版」を発行した。また、各地でオンライン開催された大会音源の音声デイジー化や本連合会長による中央情勢報告(講演)を収録したCDを制作。  C機材及び作業環境の整備   ファイル転送システムのさらなる活用により、業務の効率化を図った。  D研修の実施   日本盲人福祉委員会「視覚障害者選挙情報支援プロジェクト音声版部会」主催の研修会に参加し、音声版選挙のお知らせ(音声版選挙公報)制作に関して理解を深めた。  E録音版選挙公報の製作   日本盲人福祉委員会「視覚障害者選挙情報支援プロジェクト音声版部会」の一員として衆院比例代表東京ブロックのマスター音源を制作した。 (6)用具購買所  @盲人用具販売あっ旋事業   事業の目的を踏まえ、用具の販売斡旋を行うとともに、開発・製造業者に対し助言や情報提供等を行った。  A販売の活性化に向けた取り組み   新型コロナウイルス感染症における本センターの感染防止対策に基づき、店頭販売にあたり、お客様の検温、用具の消毒を行った。  B用具関連情報の提供   日視連アワー、点字日本、声の広報・厚生、用具インフォメーション等で行政、加盟団体、個人等に情報発信した。ホームページを使い新しい情報は随時更新した。  C出張販売の実施   新型コロナウイルス感染症の影響により出張販売を行うことが難しかったが、本年度は奈良県で出張販売を行い、埼玉県には商品の見本を送り現地の職員に説明をしてもらった。  D用具の適切な使用に向けた取り組み   新型コロナウイルス感染症の影響により、用具等の講習会は行えなかった。  E商品の発掘や新商品の開発   メーカーの依頼により、音声タイマーを作るにあたり協力した。また、囲碁盤の取り扱いを開始した。新型コロナウイルス感染予防として、手袋の取り扱いを行った。  FICTを活用した商品の販売   インターネットによる注文は効率的な業務運営の観点で重要な目標であるが、ネット環境の整備等の課題があり、本年度は実現できなかった。 4.行事、会議等 (1)行事  @第47回全国視覚障害者文芸大会   「短歌」「俳句」「川柳」「随想・随筆」の4部門にて作品を募り、審査員による審査を経て優秀作品には、厚生労働大臣賞、文部科学大臣賞、東京都知事賞、NHK会長賞、日視連会長賞の表彰を行った。また、全応募作の作品集を制作した。  A総合避難訓練   昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染症の対応として、職員が一斉に避難所に集結することを避け、各階ごとに分ける方法で、8月に避難訓練を実施した。  B日視連フェスティバル   新型コロナウイルス感染症蔓延防止から本年度は開催を見合わせた。  C全国視覚障害者将棋大会   昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中で、同大会の開催は見送ることとなったが、公益社団法人日本将棋連盟等の協力のもと、有段者16名、級位者16名の参加で令和3年12月11、12日に「第2回視覚障害者リモート将棋大会」を実施した。 (2)会議等  @運営会議  8月を除く毎月第2火曜日に開催した。  A部長会議  2月1日、3月15日の2回開催した。 5.職員研修の実施  当法人職員を講師として下記の研修を行った。 (1)職員向け点字教室 全8回/5名 (2)新人職員研修 全2回/3名  テーマは「社会福祉法人について」「日視連について」「視覚障害者の歩行と誘導方法」を実施。 6.その他 (1)点字考案200年記念事業の実施  「点字考案200年記念事業推進委員会」を本連合及び関係5団体で立ち上げた。本年度は、第1回目の記念事業として、本センターならびにエル・おおさかを会場に、令和4年3月19日に記念講演「韓国点字法に学ぶ−立法経過とその後の状況−」及びシンポジウム「これからの点字への期待−新たな輝きを求めて−」を実施した。 (2)国政選挙への対応  本年度は、第49回衆議院議員総選挙、最高裁国民審査のため、日本盲人福祉委員会の「視覚障害者選挙プロジェクト」の拡大文字版部会、点字版部会、音声版部会が結集して「選挙のおしらせ」の制作を行った。これらの作業に当たっては、本センター内の部門間を超えた職員の協力体制をとりながら実施することができた。 7.資料編 (1)全国盲人総合相談(厚生労働省委託)第76回10月8日実施分 (相談区分、件数、担当、主な相談内容の順に記載) 相談区分:眼科相談 件数:4件 担当:順天堂大学眼科医師 主な相談内容:・網膜色素変性症、白内障の手術 ・コロナ禍で長期間眼科の受診ができない 相談区分:法律相談 件数:4件 担当:日視連顧問弁護士 主な相談内容:・相続問題、寄付について ・マンションの賃貸値上げ ・著作権 等 相談区分:生活相談 件数:6件 担当:日視連相談員 主な相談内容:・弱視者が買い物で困ること ・同行援護、障害年金等 ・字幕放送、ウェブアクセシビリティ (2)全国盲人総合相談(厚生労働省委託)第77回2月18日実施分 (相談区分、件数、担当、主な相談内容の順に記載) 相談区分:眼科相談 件数:4件 担当:順天堂大学眼科医師 主な相談内容:・未熟児網膜症、斜視について ・網膜色素変性症、白内障の手術 相談区分:法律相談 件数:4件 担当:日視連顧問弁護士 主な相談内容:・相続問題 相談区分:生活相談 件数:3件 担当:日視連相談員 主な相談内容:・同行援護、障害年金等 ・進行性の病気で一人暮らし、将来の不安、施設探し ・コロナワクチン接種後の後遺症 (3)全国盲人生活相談状況 (相談区分、件数、主な相談内容の順に記載) 相談区分:病気・健康等、家庭心配事相談(施設含む)、その他 件数:電話 1,056件、文書 231件、来訪 5件、合計 1,292件 主な相談内容:・眼病進行の不安 ・ロービジョン関係 ・視覚障害者情報支援機器 ・ICT相談 相談区分:就学・就職相談 件数:電話 99件、文書 34件、来訪 2件、合計 135件 主な相談内容:・あはき開業 ・求職・雇用問題 ・就学 ・その他 相談区分:年金・社会保険相談 件数:電話 338件、文書 39件、来訪 0件、合計 377件 主な相談内容:・障害者手帳について ・介護保険・65歳問題 ・同行援護 ・その他 相談区分:移動・旅行相談 件数:電話 283件、文書 24件、来訪 3件、合計 310件 主な相談内容:・交通機関の相談 ・点字ブロック・音響式信号機 ・その他 相談区分:法律相談 件数:電話 67件、文書 6件、来訪 0件、合計 73件 主な相談内容:・遺産関係のトラブル ・交通事故等のトラブル ・その他 合計 2,187件 (4)令和3年度点字出版所 製版枚数(枚)  令和3年度 12,074  令和2年度 11,173 印刷枚数(枚)  令和3年度 1,796,983  令和2年度 1,803,110 製本(冊)  自治体議会広報  令和3年度 6,161  令和2年度 6,115  点字厚生  令和3年度 150,000  令和2年度 150,000  点字日本  令和3年度 2,100  令和2年度 2,100  その他  令和3年度 29,682  令和2年度 186,341 (5)令和3年度録音製作所 マスター製作数  令和3年度 1,122  令和2年度 1,229 内訳 自治体広報・議会報  令和3年度 674  令和2年度 621 声の広報・厚生、厚生労働白書・障害者白書  令和3年度 8  令和2年度 16 日視連アワー  令和3年度 26  令和2年度 24 その他  令和3年度 414  令和2年度 568 コピー数  令和3年度 24,569  令和2年度 28,091 内訳 自治体広報・議会報  令和3年度 8,573  令和2年度 9,692 声の広報・厚生、厚生労働白書・障害者白書  令和3年度 12,600  令和2年度 15,200 日視連アワー  令和3年度 1,859  令和2年度 1,719 その他  令和3年度 1,537  令和2年度 1,480 (6)点字図書館 @新規図書制作数 内訳 点字  タイトル数:令和3年度 14  令和2年度 31  巻数または時間:令和3年度 71巻  令和2年度 97巻 音声デイジー  タイトル数:令和3年度 21  令和2年度 23  巻数または時間:令和3年度 118時間45分  令和2年度 203時間26分 テキストデイジー  タイトル数:令和3年度 3  令和2年度 1 A貸出数 内訳 点字  タイトル数:令和3年度 2,116  令和2年度 2,209  巻数:令和3年度 4,166  令和2年度 4,240  人数:令和3年度 1,433  令和2年度 1,466 音声デイジー  タイトル数:令和3年度 24,188  令和2年度 24,139  巻数:令和3年度 24,189  令和2年度 24,140  人数:令和3年度 16,975  令和2年度 17,362 カセット  タイトル数:令和3年度 3,900  令和2年度 4,933  巻数:令和3年度 5,713  令和2年度 6,647  人数:令和3年度 3,813  令和2年度 4,818 Bデータ利用数 内訳 点字  タイトル数:令和3年度 392  令和2年度 380  貸出人数:令和3年度 790  令和2年度 1,072 音声デイジー  タイトル数:令和3年度 1,763  令和2年度 1,749  貸出人数:令和3年度 8,510  令和2年度 8,736 テキストデイジー  タイトル数:令和3年度 46  令和2年度 48  貸出人数:令和3年度 140  令和2年度 162 (7)職員の状況 令和4年3月31日現在 (正職員、嘱託・非常勤、パートタイマー、備考、前年度比の順に記載) 本部:正職員 0名  嘱託・非常勤 2名  パートタイマー 0名  前年度比 ±0 総務部:正職員 5名  嘱託・非常勤 0名  パートタイマー 1名  前年度比 ±0 事業部:正職員 5名  嘱託・非常勤 1名  パートタイマー 1名  前年度比 +1 組織部:正職員 4名  嘱託・非常勤 0名  パートタイマー 0名  前年度比 −1 情報部(相談室含):正職員 5名  嘱託・非常勤 1名  パートタイマー 1名  前年度比 +1 情報ステーション:正職員 17名  嘱託・非常勤 1名  パートタイマー 3名  前年度比 −1  点字図書館:正職員 (5名)  嘱託・非常勤 (0名)  パートタイマー (1名)  前年度比 (±0)  点字出版所:正職員 (8名)  嘱託・非常勤 (1名)  パートタイマー (1名)  前年度比 (−1)  録音製作所:正職員 (4名)  嘱託・非常勤 (0名)  パートタイマー (1名)  前年度比 (±0) 出向:正職員 3名  嘱託・非常勤 0名  パートタイマー 0名  備考:日盲委1名、日マ会2名  前年度比 ±0 合計:正職員 39名  嘱託・非常勤 5名  パートタイマー 6名  前年度比 ±0