社会福祉法人日本視覚障害者団体連合 令和2年度事業報告書 (自令和2年4月1日 至令和3年3月31日)  第1 組織・団体活動                    1.主要課題への対応 (1)読書バリアフリー法の推進に向けた取り組み   @各地域での基本計画の策定   「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(以下、読書バリアフリー法)」を推進するために設置された関係者協議会では、国の基本計画の取りまとめが行われ、令和2年7月に公表された。そして、同年12月22日付で文部科学省と厚生労働省から都道府県・指定都市・中核市に対し、基本計画策定のための通知文書が発せられている。   そこで、本連合は、同基本計画の理解と各地域における基本計画策定への働きかけを推進するため、オンライン会議システムを用いて、厚生労働省の担当者を講師とする指導者研修会を令和3年2月に開催した。本年度は都道府県による基本計画策定には至らなかったが、次年度には各地域での基本計画策定の推進に向け、各加盟団体とともに関係機関への働きかけを行う。  A国との協議   読書バリアフリー法を推進するために設置された関係者協議会では、国の基本計画公表後における同法のさらなる推進に向けた議論が行われた。本連合は、同協議会に委員を派遣し積極的に視覚障害者の要望を述べた。なお、同協議会の下に専門委員会が設けられ具体的な内容を協議することとなり、次年度以降に関係者協議会に報告され、引き続き議論することとなっている。   また、本年度は、文部科学省と厚生労働省が読書バリアフリー法の啓発を目的としたリーフレットを作成することに協力した。このリーフレットは、次年度早々に配布されることとなっている。  B点訳・音訳者養成の推進   視覚障害者の情報保障にとって、点訳者・音訳者の養成は欠かすことができない。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響によって、この養成事業にも支障をきたしている。例えば、本連合受託の「東京都委託点訳・音訳奉仕員指導者養成講習会」は、感染の懸念から受講希望者が集まらず中止せざるを得なかった。これは、本連合に限ったものではないことから、加盟団体等と協力して、各地域の実施主体へ養成事業に対する一層の支援強化を求める必要がある。さらに、多数の点訳者・音訳者の養成を実現させなければならない。 (2)情報アクセシビリティのさらなる向上  @意思疎通支援の促進   視覚障害者が社会活動を行う上で、代筆・代読等の意思疎通の支援が行われることは極めて重要である。   本年度も、障害者情報コミュニケーション法の実現に向け、昨年度に続き、各障害関係団体とともに障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟に働きかけた。また、公共機関からの通知、とりわけ新型コロナウイルス感染症に関する各種通知については、国に対して要望書を提出し、通知内容を視覚障害者が理解できるような記載方法にすること、申請にあたっての代筆・代読を含めた配慮等を求めた。   なお、例年実施されている金融庁主催の金融機関と障害関係団体との意見交換は、新型コロナウイルス感染症の影響により実施されなかった。しかし、金融機関において代筆・代読がなされない実情が確認されたため、金融庁に対して監督指針のさらなる徹底を求めた。  A完全な選挙公報の実現   選挙公報の点字・音声・拡大文字版の実施を制度化するため、障害者情報コミュニケーション法の実現を目指し、本年度も障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟に働きかけた。   一方で、本連合は視覚障害者選挙情報支援プロジェクトの事務局の一端を担っており、本年度は、衆議院選挙を想定した点字版・音声版の製作に関する職員研修会を、それぞれオンラインで開催した。令和3年秋までに実施される総選挙を踏まえ、プロジェクトにおける準備を加速する必要がある。  B情報保障のさらなる改善   視覚障害者にとって情報保障は、あらゆる場面において必要不可欠である。そのため従来から各場面ごとに情報保障の必要性を訴え、情報のアクセシビリティ向上のための取り組みを進めてきた。   本年度は、NHK・民間放送各社との意見交換会が新型コロナウイルス感染症の影響により開催されなかったため、緊急時における字幕放送の音声化や解説放送の一層の拡大については、要望を伝えるのみとなった。次年度からはオンライン会議システムを活用する等して検討の場を設けるよう強く働きかける必要がある。   また、インターネット環境については、依然として視覚障害者にとって利用しづらい状況にあるため、本年度も総務省等にアクセシビリティの向上を求めた。なお、本年度実施された国勢調査では、視覚障害者がオンラインで回答するためのシステムについて助言し、多くの視覚障害者が同システムを利用して回答することができた。 (3)就労支援の確立  @視覚障害者への通勤支援と職場介助者の利用   令和2年10月から障害者の通勤や職場等における介助を目的とする「重度障害者等就労支援特別事業」が開始された。この制度は、視覚障害あはき師等の自営における業務支援の一つとして期待されていることから、同制度を活用すべく、本年度は様々な取り組みや働きかけを行った。   まず、自治体担当者宛の事務連絡や説明資料を入手し、全国の加盟団体に広く情報提供した。さらに、加盟団体の団体長向けにオンライン研修会を開催し、同制度の理解を深めた。また、同制度が就労する視覚障害者、特に視覚障害あはき師に利用しやすい制度となるよう、厚生労働省の担当者との協議を行い、Q&Aの発出等を実施させた。しかし、本年度は年度途中の開始であったため、実際に事業を開始した自治体はごく僅かであり、しかも視覚障害者を対象とする事業を開始した自治体は皆無であった。今後、同制度を視覚障害者にとって利用しやすい制度にすること、全国の自治体でこの制度を開始させることを意識した取り組みや働きかけが必要である。  A雇用継続支援の充実   視覚障害者の雇用継続のための支援については、職域の拡大、就職後の定着支援を求めて、これまでも国の労働政策審議会等に参加し、積極的に要望や提言を行ってきた。   本年度は、令和2年11月に厚生労働省が「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」を設置し、その下に「障害者の就労支援体系の在り方に関するワーキンググループ」を設置したことを受けて、本連合はこれらにも代表者を派遣し、従来にも増して視覚障害者が就労しやすい環境を構築するための様々な要望や提言を行った。なお、これらの審議会等に臨むためには、視覚障害者の就労に関する専門的な知識や最新の情報が必要となることから、本連合内に有識者の協力を得て「視覚障害者の雇用・就労問題対策バックアップ会議」(メーリングリスト)を立ち上げ、幅広い意見交換を行い、審議会等に対応した。  B公務員の視覚障害者への支援   公務部門における障害者支援は、民間企業とは異なり、雇用納付金制度や雇用保険に基づく支援制度の対象外とされている。そのため、地域障害者職業センターのジョブコーチをはじめ、在職者訓練制度が利用できない等、明らかに公務部門が民間より遅れている。特に、公務員が在職者訓練を受けられないことは深刻な問題である。そこで、審議会において、これらを根本的に解決するための制度改正を強く求めた。その結果、公務部門における支援策が次年度以降の課題の一項目に挙げられた。   なお、本年度は、公務員の障害者選考試験が実施されなかったため、応募者に対する特別な支援体制を取らなかった。また、外務省が検討していたヘルスキーパーの採用は実現せず、厚生労働省にもヘルスキーパーの採用を求めたが、実現には至らなかった。さらに、本年度は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、昨年度のような「公務員交流会」は開催できなかった。  C視覚障害者の就労推進のための取り組み   就労する視覚障害者においては、ICTスキルの獲得は必要不可欠となっており、このICTスキルを安定的に獲得する方法の確立が求められている。ICTスキルの獲得は、視覚障害者の就労促進に繋がるからである。   そこで、本連合は、厚生労働省令和2年度障害者総合福祉推進事業の「視覚障害者の就労のために効果的なICT訓練の実施に向けた調査研究」を受託し、視覚障害者向けのICT訓練やICT関連の支援の実態調査を行った。その結果、視覚障害者がICTスキルを獲得するためのICT訓練等が全国的に未整備であることが明らかになった。特に、一般就労の視覚障害者と同等に、視覚障害あはき師もICT訓練等が必要であることが分かったことから、同調査の報告書の中に、今後のICT訓練等を活用するために必要な方策を提言として取りまとめ、厚生労働省に報告書を提出した。   次年度以降は、本連合の運動の柱の一つにこのICT訓練の推進を盛り込み、全国の視覚障害者が「いつでも、だれでも、どこでも」安心してICT訓練等が受けられる環境を構築することが必要である。 (4)同行援護制度のさらなる充実  @地域間格差の解消   同行援護制度は、自立支援給付として位置付けられているにも関わらず、地域間格差が生じている。本制度に対する自治体の理解や財政力の違いから、支給量が極端に制限されたり、宿泊を伴う利用ができない地域がある。本連合は、国庫負担金の基準を一つの目安としてとらえ、1ヶ月に50時間の支給量を確保するために働きかけてきた。   また、同居家族による制限、宿泊を伴う利用や遠方の利用の禁止、あるいは利用目的(用途)の制限をなくすために、厚生労働省から自治体に対する指導を要請してきた。しかし、実施主体たる自治体の判断や事業所の経営方針の相違から、地域間格差を解消ないし縮小するには至っていない。なお、宿泊を伴う利用については、ヘルパーの労働条件や安全確保の見地から、複数派遣や独自の報酬体系が必要であるため、別個に制度化することを国に働きかけてきた。   今後、地域間格差をなくすためには、厚生労働省による実施要領の改正が必要なのか、それとも現に発生している不合理な制限や制約に対する審査請求等の行政手続きを検討するのかを、同行援護事業所等連絡会と協議することが必要である。  A自動車の利用の実現   公共交通機関が発達していない地域や路面バスが縮小している地域等における同行援護制度においては、ヘルパーの運転する自動車の利用は必要不可欠である。しかし、現行制度の下では、ヘルパーが運転中の時間を報酬の対象にすると、道路運送法に反するという理由で、ヘルパーが運転する時間は報酬の対象とはされていない。そのため、本年度もこの点の制度改善は受け入れられなかった。この問題を解決するためには、厚生労働省だけでなく国土交通省への働きかけが必要なのか、それとも法改正が必要であるかを明確にすることが必要である。 Bカリキュラムの見直し   同行援護従業者の養成は20時間を基本とし、応用編として12時間の追加研修が行われてきた。しかし、電車の利用やバス、タクシーの乗り降りにおける研修が基本研修に含まれていない等の問題があったため、研修制度の見直しが課題となっていた。   また、同行援護制度を盲ろう者に対しても適用し、通訳介助を含む支援を行うことが決定されたことから、研修制度の在り方やカリキュラムの見直しが焦眉の課題となってきた。その結果、厚生労働省において見直しのための研究会が持たれたものの、最終的な判断には至らなかったことから、研修の見直しは先送りされてきた。   そこで、本連合と全国盲ろう者協会との話し合い、さらには厚生労働省を含めた同協会との協議の結果、研修時間は28時間を目安とすることや通訳介助者資格を有する者に対する免除科目数等を合意することができた。次年度は、カリキュラムの見直しを含めた調査研究事業が行われることとなっている。  C新制度への対応   福祉と雇用の連携としての「重度障害者等就労支援特別事業」がスタートしたことを踏まえ、同行援護制度の拡充が必要となっている。すなわち、通勤介助や職場介助、あるいは自営業者に対する支援は、同行援護制度の中で行われることとなったのである。そのため、同行援護事業所、あるいはヘルパーに対する新たな研修が必要となっており、報酬体系についても見直すことが必要となっている。   ところが、新制度は地域生活支援事業に位置付けられているため、自治体の判断によって内容が大きく異なる恐れがある。そこで、本連合は、次年度に向けて全国の自治体が新制度を実施し、視覚障害者の通勤やあはき施術所にとって使いやすい制度になるよう、厚生労働省に働きかけた。さらに、全国の加盟団体を対象とするオンライン研修会を開催した。今後は、加盟団体と新制度を実施する自治体との協議を後押しするとともに、実施された新制度の問題点を検証し、好事例を全国に広報することが必要である。 (5)移動におけるバリアフリー化  @各地域でのバリアフリー化の推進   バリアフリー法では、「移動等円滑化促進方針制度の創設等バリアフリーの街づくりに向けた地域における取り組み強化」が内容の一つとして盛り込まれている。そして、視覚障害者の安全を守るための設備等の充実、つまり、バリアフリーの実現と安全対策の充実においては、視覚障害者の要望に根ざした要求活動が重要である。そこで、本年度は、国土交通省が令和3年3月に改訂・公表した「移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン」を各加盟団体に情報提供した。次年度以降も各地域で基本方針やバリアフリー基本構想の策定が促進されるよう情報提供を行うとともに、同ガイドラインの理解を促進するための取り組みが必要である。  A鉄道に関するバリアフリー化の推進   視覚障害者が鉄道を安心して利用できるよう、本年度も国や鉄道事業者に対し積極的な働きかけを行った。しかし、視覚障害者の駅ホームからの転落死亡事故は本年度も頻発しており、鉄道における安全確保は焦眉の課題となっている。   まず、令和2年9月に、国土交通省に対して「鉄道駅の安全対策に関する要望書」を提出し、大臣に面談し直接要望内容を伝えた。これを受けて、同年10月に同省は「新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会」を設置し、本連合からも委員を派遣した。検討会ではハード・ソフト両面からの安全対策とともに、転落に至った原因の究明や視覚障害者自身の安全な歩行についても検討され、次年度にその中間取りまとめが公表されることとなっている。   また、「ホームドア整備に関するWG」にも本連合から委員を派遣し、次期整備目標にホームドア設置の推進をより明確に位置付けることができた。さらに、「駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会」にも本連合から代表者を派遣し、無人駅、時間帯による無人改札に対する改善策を要望した。   ソフト面については、鉄道事業者を中心に作成されている啓発ポスターやキャンペーンに協力し、コロナ禍においても声かけやサポートが受けられるよう働きかけた。  B道路交通に関するバリアフリー化の推進   本年度は、警察庁が進めている高度化PICS(歩行者等支援情報通信システム)に対して、スマートフォンにより信号の状態を音声や振動で知らせる際の操作性の向上や、安全面からの問題点を指摘した。併せて、音響式信号機の設置も要望した。また、警察庁が実施した道路移動におけるアンケートについても本連合として協力した。   他方、視覚障害者誘導用ブロックの適切な敷設、連続性を持った敷設については、関係機関に意見を伝えるとともに、各地域から寄せられた不適切あるいは危険な事案を加盟団体に情報提供し、その解決に当たった。   なお、本年度は、国土交通省において、建物やトイレに関する検討が行われ、本連合からも代表者を派遣し、全盲・弱視(ロービジョン)を問わず、安心して建物やトイレを利用できるよう、様々な要望を伝えた。その結果、国土交通省から、建物については「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」の改正ガイドラインが公表された。 (6)ユニバーサルデザインの普及   本連合は、これまで、様々な機器やシステム等が「視覚障害者にとって利用しやすいものであること」、「自分が希望する操作方法や利用方法を選択できること」を目指し、国や関係機関に働きかけてきた。これこそが、視覚障害者の求める真のユニバーサルデザインと考えている。   本年度は新型コロナウイルス感染症の影響によって、社会全体のデジタル化が加速し、様々な機器やシステムのデジタル化が普及してきたものの、視覚障害者が求める真のユニバーサルデザインとはかけ離れた進み方となっている。例えば、タッチパネル式の操作盤は、様々な機器やシステムに導入されているが、多くの視覚障害者は利用できない。そのため、全国の視覚障害者は、日常生活、就労、教育等の様々な分野でデジタル化の恩恵を受けられない状況となっており、その改善は喫緊の課題となっている。   そこで、本連合は、令和3年9月にデジタル庁が創設されることを踏まえ、国に対して、様々な分野のデジタル化における視覚障害者のアクセシビリティを確保するための総合的な施策を要望した。また、視覚障害者が求めるデジタル化、さらには真のユニバーサルデザインを普及させるために、機器やシステム等は開発時点で視覚障害者の声を取り上げることを求め、関係機関に働きかけた。 (7)スポーツ・文化芸術活動の推進   本年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、スポーツ・文化芸術活動に関する取り組みは実施しづらい状況が続いた。これらの活動を行う視覚障害者自身が集まることができず、多くの者が活動を自粛していた。そこで、オンラインを活用し、視覚障害者のスポーツ・文化芸術活動を推進した。まず、本連合が毎年開催する全国視覚障害者将棋大会は、視覚障害者リモート将棋大会として開催し、新たな文化活動の形を示すことができた。また、日本盲人福祉委員会等との共催による日中韓の伝統音楽協演「On-tact Blind Music Festival」では、オンラインのメリットを生かした国際交流を行うことができた。   さらに、本年度は生協助成事業「視覚障害者のスポーツ・文化芸術活動の推進検討事業」により、視覚障害者のスポーツ・文化芸術活動の推進に必要な支援者の確保や養成等を目指し、調査やイベントを実施した。今後、本事業で判明した課題を整理しながら、視覚障害者のスポーツ・文化芸術活動をさらに推進していく。 (8)災害対策   令和3年3月で東日本大震災より10年を迎えることを踏まえ、本連合は、改めて視覚障害者の災害対策を考える場として、令和2年6月に第73回全国視覚障害者福祉大会(宮城大会)を宮城県仙台市で開催する計画を進めていた。しかし、同大会は新型コロナウイルス感染症の影響により中止を余儀なくされた。その後も、令和2年7月豪雨等の災害が全国各地で発生し、多くの視覚障害者が避難等で困難な状況に直面した。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響は、災害と同じように多くの視覚障害者の日常生活を困難にしている。   視覚障害者の災害対策は、いかにして避難のための支援や適切な情報保障を得られるかが重要となる。引き続き、国や関係機関に対しこれらの課題解決を求めつつ、視覚障害者自身も減災のための対策を検討することが必要である。 (9)あん摩師等法19条訴訟に対する取り組み   平成28年7月に平成医療学園グループが提起したあん摩師等法19条に基づく施設認定不認可処分は憲法に反しているとする行政訴訟は、東京・大阪及び仙台の各地裁で、原告(平成医療学園グループ)の請求が棄却された後、それぞれ高等裁判所での戦いに移った。そして、令和2年12月8日に東京高裁、同月14日に仙台高裁でも控訴人(平成医療学園グループ)の請求は棄却された。大阪高裁での判決は令和3年7月9日に言い渡される予定である。   なお、本連合は仙台・東京・大阪の各地域に対策協議会を設置し、視覚障害者の職業と生活を守るために国の処分を支持して以下の活動を行った。  @裁判では毎回法廷に入りきれないほどの傍聴者を集め、視覚障害者の19条を死守する姿勢を示した。  A各地域対策協議会では、19条裁判に関する学習会やシンポジウムを開催して関係者の意識を高めた。また、国民の理解を深めるためにチラシとリーフレットを作成し、街頭でのアピール行動等に活用した。  B加盟団体が一丸となり、組織を挙げて裁判所に対するはがきによる訴えと署名活動に取り組み、運動を支えるための募金活動を行った。控訴審では短期間で結審することが予想されるため、署名活動は団体署名とし、3地域合計で400団体を超える署名を集め、各裁判所に届けた。  C関係団体で構成する「あん摩師等法19条連絡会」は、本年度は2回の幹事会を開き、裁判の状況を確認し、運動を継続することで意思統一を図った。そして、議事要旨等を配布する等して広報と啓発に努めた。 (10)視覚障害児者教育の改革  @理療科教育の推進   全国の盲学校(視覚特別支援学校)における理療科に進学する生徒数は毎年のように減少し、1学年に1名〜2名というクラスが増加している。筑波技術大学の鍼灸学専攻課程も慢性的に定員割れが続き、存続自体が懸念される状態である。しかし、視覚障害者の職業的自立にとって、あはき業は最も重要な職種であり、理療科教育は世界に誇ることのできる伝統である。本連合は、筑波技術大学における鍼灸学専攻課程に、教員養成を含む改革を提案し、視覚障害者が将来にわたりあはき業に期待が持てる教育環境を実現するために働きかけてきた。筑波技術大学においては、そうした声を受けて改革の論議が継続されており、今後何らかの改革案が示される予定である。   他方、盲学校における理療科については、教育レベルを維持し、各地の視覚障害者があはき業を選択できる環境を整えるための議論は緒に就いたばかりである。早期に盲学校関係者との懇談の場を設けることが必要である。  A普通教育課程における学習支援   統合教育を受けている視覚障害児童や生徒にとって、学習環境は未だ十分には整っていない。本連合は、すでに実現している教科書の点訳や音訳に加えて、副教材等の点訳・音訳も実現するよう関係者に働きかけてきた。また、統合教育を受けている保護者からの問い合わせに対し情報提供を行ってきた。今後は、小中学校にプログラミング教育が導入されることを踏まえ、保護者や児童に対する学習支援の可能性を検討しなければならない。 (11)日本点字制定記念に向けた取り組み   令和2年11月1日には日本の点字制定130周年を迎えた。本連合は、同日、日本盲人福祉委員会、日本点字普及協会、日本点字委員会との主催で「日本の点字制定130周年記念講演会」を開催した。新型コロナウイルス感染症対策として、来場者を制限し、YouTubeでのライブ配信を行った。その後、アーカイブ動画を本連合の公式YouTubeチャンネルで公開し、年度内に4,000回を超えるアクセスがあった。   また、日本盲人福祉委員会を仲介として、韓国国語院による「日本点字表記法2018年版」(日本点字委員会発行)の韓国語訳版の発行が実現した。韓国では、点字を文字と位置付ける法律「点字法」が制定されており、今後、日韓交流の促進を通じて、本連合が目指す点字情報の拡大に繋げて行きたい。 (12)各種施策の見直しに向けた取り組み  @国連障害者権利委員会における審査   政府は、障害者権利条約の締約国として、平成28年にわが国の障害者福祉の現状を国連障害者権利委員会に報告した。それに対し、本連合も参加している日本障害フォーラム(JDF)は、市民団体として当事者の立場から政府レポートに対する批判を含むパラレルレポートを国連障害者権利委員会に提出した。そして、令和2年3月に同委員会において、わが国のレポートが審査される予定であったが、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大したため、審査は延期されたが、いずれは審査が行われることになる。わが国の障害者福祉の問題点が十分に審査され、国連障害者権利委員会から政府に対する的確な勧告を引き出し、わが国の障害者福祉の改善に結びつけることが必要である。 A障害者差別解消法   障害者差別解消法の3年後見直しの規定に基づく論議は、令和元年10月から障害者政策委員会において開始された。そして、令和2年6月に改正のための意見書がまとめられ、内閣に答申されたことを受けて、政府は同法の改正案を令和3年2月に国会に提出した。主な改正点は、民間事業者の合理的配慮の提供を義務化すること、紛争解決のための人材を養成すること、国と自治体の役割を明確にしその連携によって紛争解決を図ることを盛り込んだことである。改正法は、令和3年の通常国会において全会一致で成立する予定である。  B障害者総合支援法   本年度は、報酬改定に向けた検討が開始され、本連合としては同行援護や歩行訓練における報酬の改善を求めた。その結果、同行援護における報酬が改善され、相談業務におけるピアサポートが算定されることとなり、令和3年4月から改定される。   また、障害者総合支援法の3年後見直しに向けた議論が開始され、本連合を含む関係者からのヒアリングが進められている。本連合は、代筆・代読サービスを含む意思疎通支援事業を自立支援給付に位置付けることや、同行援護制度のさらなる充実を実現するための法改正を要求している。  C視覚障害の認定基準   長年にわたり矛盾が指摘されていた両眼の視力の和を基準とする視覚障害認定基準が平成30年に見直され、よい方の眼を基準として等級が認定されることとなった。しかし、それに伴う国民年金等の基準が改定されていなかったので、本年度は視覚障害認定基準の改定に合わせた年金の基準の見直しを強く求めた。その結果、厚生労働省は年金基準の見直しを開始し、次年度中には視覚障害認定基準に合わせた改定が行われる予定である。 (13)新型コロナウイルス感染症に関する取り組み   令和2年1月以降、新型コロナウイルス感染症の影響により、全国の視覚障害者の生活は大きく変化し、様々な困難に直面した。同行援護が利用できない、自治体からの情報が得られない、あはきの仕事ができない等、即座に解決しなければならない課題が全国の視覚障害者から本連合に寄せられた。そのため、事業計画を超えた緊急の対応が必要となったことから、本年度は新型コロナウイルス感染症に関する様々な取り組みや働きかけを開始した。   まず、令和2年3月に新型コロナウイルス緊急ホットラインを開設し、全国の視覚障害者の声を集め、課題解決に向けた状況分析を行った。そして、これらの声をまとめ、課題ごとに厚生労働省、総務省、経済産業省、文部科学省等に対し緊急要望書を提出した。その結果、同行援護による買い物代行の実現、特別定額給付金・持続化給付金・家賃支援給付金等の申込支援や円滑な情報提供を実現させた。また、国から発出された自治体向けの事務連絡等は、即座に入手し、テキスト化を行った上で、全国の加盟団体に情報提供した。さらに、コロナ禍における視覚障害者の現状を訴えるため、マスコミからの取材要請に積極的に対応し、視覚障害者への配慮を求めた。しかし、これらの取り組みや働きかけの中では、視覚障害あはき師に対する休業補償の実施等は実現できなかった。   なお、次年度より全国各地で本格的に実施されるワクチン接種については、視覚障害者への情報提供や移動の支援を求める働きかけを行った。次年度以降も、新たに発生した課題に対して、即座に行動ができるよう体制を整えていく。 2.組織・団体活動の強化 (1)団体活動の総合的な見直し  @全国視覚障害者福祉大会の開催方法の見直し   本年度開催予定であった「第73回全国視覚障害者福祉大会(宮城大会)」では、全国視覚障害者代表者会議・分科会の細分化や時間拡大、会員外の参加者が集うイベントを開催する等、新たな開催方法を取り入れながら開催に向けた準備を行った。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、同大会は開催中止となったことから、これらの取り組みは令和3年5月に開催する「第74回全国視覚障害者福祉大会(岡山大会)」に引き継がれることになった。なお、次年度の全国大会についても、コロナ禍において、どのようにして参加する会員等の安全を守るかが課題となっている。そこで、大会期間の縮小、オンライン参加の推進、各会議の議論方法の変更等を行い、次年度の全国大会を確実に開催できるよう、様々な準備を進めた。  A顕彰規程の見直し   従来から時代の変化に応じた改善が必要であることが指摘されていたことを踏まえ、顕彰規程の見直しを進めた。本年度は見直し内容の議論を行い、令和4年度の全国大会より適用することを目指して、作業を進めた。  B評議員会と理事会の在り方の見直し   会議の開催方法や定数等について改善を求める声が強いことから、前年度までの意見等を踏まえ、本年度は具体的な変更に向けた議論を行った。その結果、令和3年1月に開催した臨時評議員会の決議を経て定款の一部変更を行った。変更内容は、評議員の定数の見直し、評議員の報酬等の見直し、評議員会の権限事項の見直し、役員の定数等の見直し、さらには全国団体長会議を新設した。これにより、次年度以降、新たな体制で本連合の組織・団体活動を進めることになった。   なお、本連合理事会の決議内容を加盟団体全体で情報共有するため、理事会の議事要旨を加盟団体に情報提供する取り組みも開始した。  C新型コロナウイルス感染症への対応   新型コロナウイルス感染症の影響は、本連合の組織・団体活動にも大きな影響を及ぼした。特に、全国の意見を集約するための評議員会や理事会、各種委員会等の開催は、従来の人が集まる形式での開催ができなくなり、本年度前半の活動は停滞せざるを得ない状況となった。そこで、本連合はオンライン会議システムによる会議開催を推進し、本年度後半は各種会議をオンラインで開催した。また、このオンライン会議システムを活用し、指導者研修会や各種意見交換会等も開催し、これまで以上に全国の団体の関係者が集い、議論や研修を行う場を増やすことができた。次年度以降もオンライン会議システムの活用を進める。   なお、新型コロナウイルス感染症の影響は、加盟団体の収益減少にも繋がったことから、本年度の団体分担金は減額し、負担の軽減を図った。一方で、団体分担金の総額が減ったことから、ブロック助成金及び協議会育成費は減額した上で支給した。 (2)情報発信による組織力の強化   視覚障害者の様々な課題を解決するため、本年度も情報発信を強化した。特にあはき、就労、移動の安全、建物や交通のバリアフリー、災害等に関わる情報については、加盟団体や全国の視覚障害者に対して即時に情報を提供した。   なお、本年度は新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、関連する情報は、即座に加盟団体への情報提供、本連合ホームページからの情報発信を行った。また、マスコミからの取材要請にも積極的に対応した。しかし、本年度は、全国視覚障害者福祉大会をはじめ、各地域での大会やイベントを中止せざるを得ない状況であった。そこで、ブロック大会等で実施している中央情勢報告を音声CD等の媒体で情報発信したり、動画配信システムでイベントの様子を配信する等、新たな情報発信を行い、組織力の強化に努めた。 (3)財政基盤の強化   日本視覚障害者センター全体で収入確保・支出削減に取り組むため、各種補助金の申請や光熱費等の見直しを行った。本年度は、国や東京都の他、関係団体からも補助金や受託金収入を得ることができた。その結果、一定の収入増を図りながら支出減に取り組むことができた。また、毎月の運営会議等にて、財務状況の報告や各部門の売上げ実績等を共有することにより、職員のコスト意識の向上を図り、経費節減に向けた取り組みに繋げた。 (4)情報収集活動・調査活動の充実   視覚障害者の様々な課題を解決するためには、視覚障害に関わる最新の動向を把握することが必要であり、そのための情報収集や調査活動の強化が必須である。本年度は「視覚障害者の就労のために効果的なICT訓練の実施に向けた調査」、「視覚障害者のスポーツ・文化芸術活動の推進検討事業」の実施に加え、外部からの各種調査の協力要請等に積極的に対応した。   まず、国土交通省で検討されている視覚障害者の駅ホームにおける安全対策に関して、鉄道駅での転落に関するアンケート調査に協力した。また、国土交通省より要請があった視覚障害者のエスカレーター利用に関するアンケート調査についても協力した。そして、厚生労働省より要請があった「全国の障害者による文化芸術活動の実態把握に資する基礎調査」や、共用品推進機構より要請があった「コロナ禍であっても思いついて工夫したこと、感じたよかったこと調査」におけるアンケート調査にも協力した。 (5)相談事業の充実と運動への反映   総合相談室において、無料法律相談、総合相談、聞こえにくさ相談、集中電話相談等を実施し、全国からの相談を受け付けた。雇用、中途視覚障害者、弱視者(ロービジョン)、教育、障害年金、同行援護等についての切実な相談が数多く寄せられた。これらの相談は、委嘱相談員が担当し、関連機関に繋ぎ、解決に結びつけた。また、これらの幅広い相談は、要求運動の原点であることから、関係者で情報を共有し、本連合の運動に生かすよう努めた。   なお、昨年度に開設した新型コロナウイルス緊急ホットラインを継続し、様々な相談を受け付け、その相談内容を元に国に対する要望書等を作成した。 3.各種委員会等の充実 (1)あはき問題戦略会議   本年度は、新型コロナウイルス感染症の影響から、本会議は開催できなかった。次年度以降は、本連合のあはきに関する運動を後押しするため、オンライン会議システム等を活用しながら、あはきに関する様々な課題を検討する。 (2)将来ビジョン推進委員会   本委員会は前年度末に承認を受け、本年度初頭より委員会を始動する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年10月に設立となる第1回委員会を開催し、本連合の委員会として正式に始動した。本年度は、本委員会の中心事業の一つである、前年度の運動と事業の点検方法等を確立させるため、令和元年度の運動と事業の一部について点検した。次年度以降は、本連合が掲げた将来ビジョンと照らし合わせながら、前年度の運動と事業の点検を行い、その結果を理事会に報告することで、次年度以降の事業計画や運動方針等の策定に寄与することを目指す。また、同時進行で将来ビジョンの修正作業も進めていく。 (3)加盟団体支援プロジェクト委員会   本連合の加盟団体が抱える様々な問題の解決を図るため、本年度は本委員会を令和2年8月と令和3年2月に2回開催した。本年度は、加盟団体の現状を把握する目的から、令和2年11月にアンケート調査を実施し、本委員会で調査結果の分析を行った。その結果、多くの加盟団体が事業の実施状況が難しくなっていること、会員が減少していること、役員のなり手が不在であること等が分かった。次年度はこの調査結果を踏まえて、具体的な支援の実施、加盟団体のさらなる事業化を進めるための課題整理を行っていく。なお、アンケート調査の集計結果は次年度初頭に公開し、次年度中に報告書を公開する予定となっている。 (4)弱視問題対策部会   本年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年6月に開催を予定していた令和2年度委員総会は延期したが、その後、オンライン会議システムを活用することで本部会の活動を進めることができた。令和2年度委員総会は同年10月に開催し、常任委員会は年度内中に2回開催した。そして、このオンラインでの会議開催は、全国の委員との交流に活用できることから、次年度初頭に全国の委員が参加するオンライン意見交換会を開催する準備も行った。   そして、具体的な活動については、まず、新型コロナウイルス感染症に関する困り事、身体障害者手帳を持つまでの困り事等の情報を集め、本連合の組織・団体活動に反映させた。特に、国土交通省におけるバリアフリー関連の検討や、令和3年9月に創設されるデジタル庁の動きに対しては、本部会の意見を踏まえ、多くの弱視者(ロービジョン)の要望を盛り込むことができた。そして、加盟団体の弱視者(ロービジョン)対策の強化に向けた取り組みとして、加盟団体への講師派遣を11月に行った。さらに、地域でのロービジョンケアネットワーク(スマートサイト)の推進に向けた取り組みについては、日本眼科医会との連携による推進を目指し、日本眼科医会との意見交換に向けた準備を行った。 (5)視覚障害者のスポーツ・文化芸術活動の推進検討事業   視覚障害者のスポーツ・文化芸術活動を推進するためには、支援者の確保と養成が必要であり、現状の課題整理、改善策の確立が必要となっている。そのため、本年度は、これらの課題整理等を行うため、生協助成事業として「視覚障害者のスポーツ・文化芸術活動の推進検討事業」を実施した。実施においては、スポーツ協議会、音楽協議会と連携し、各種イベントの開催、アンケート調査、ヒアリング調査等を実施した。今後、本事業で判明した課題を整理しながら、視覚障害者のスポーツ・文化芸術活動をさらに推進していく。 (6)視覚障害者の就労促進に関する検討委員会の立ち上げ   かねてからの課題であった、近年の視覚障害者の厳しい就労状況を打開するために、支援体制の確立と併せて関係者の連携が求められている。そこで、本連合内に視覚障害者の就労を専門的に検討する「視覚障害者の就労促進に関する検討委員会(仮称)」の立ち上げを進めていたが、本年度中には立ち上げることができなかった。しかし、前述のように、就労対策については、必要に応じて、専門家や関係者の協力を得て、「視覚障害者の雇用・就労問題対策バックアップ会議」(メーリングリスト)を組織して対応したことから、このバックアップ会議を専門委員会への足がかりとしていきたい。 4.国内及び海外の関係団体との相互交流、協力に関する事業 (1)府省庁や関係機関との協力   内閣府、厚生労働省、国土交通省、文部科学省をはじめとする関係府省庁の審議会等に代表者を派遣し、視覚障害者の立場から意見を述べ、要望の実現に努めた。 (2)国際交流   WBU(世界盲人連合)及びWBUAP(世界盲人連合アジア太平洋地域協議会)に代表者を派遣し、世界の視覚障害者福祉に関する情報を収集するとともに交流をした。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年6月にスペインで開催予定だった第10回WBU総会、同年11月に日本で開催予定だった第15回WBUAPマッサージセミナー2020は次年度に延期となり、延期後の開催に向けた調整等を行った。   なお、令和2年12月には日本盲人福祉委員会等との共催による日中韓の伝統音楽協演「On-tact Blind Music Festival」を開催し、新たな国際交流の形を示すこともできた。 (3)各障害者団体との協力   視覚障害者の福祉向上のため、他の障害者団体や福祉関係団体との連携・協力体制の強化に努めた。主に全国社会福祉協議会、日本障害フォーラム(JDF)、あはき等法推進協議会、鍼灸マッサージ保険推進協議会等の団体の一員として、視覚障害者の権利擁護や業権擁護に努めた。また、全日本ろうあ連盟、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、全国盲ろう者協会との間で「情報コミュニケーション4団体連絡会」を開催し、障害者情報コミュニケーション法の実現に向けて活動した。さらに、ロービジョンケアネットワークの全国普及を目指して、ネクストビジョン、日本眼科医会、日本眼科学会、日本ロービジョン学会、視覚障害リハビリテーション協会等と連携した。 5.各種会議の開催  (1)評議員会   定時 7月13日 書面決議   臨時 1月26日 オンライン、TKP市ヶ谷カンファレンスセンター (2)理事会   第1回 6月 8日 書面決議   第2回 7月28日 オンライン、日本視覚障害者センター   第3回11月17日 オンライン、日本視覚障害者センター   第4回 3月 2日 オンライン、日本視覚障害者センター (3)監事監査   監事監査 5月19日 オンライン、日本視覚障害者センター   中間監査11月17日 オンライン、日本視覚障害者センター (4)正副会長会議   第1回 6月 9日 オンライン、日本視覚障害者センター   第2回 7月28日 オンライン、日本視覚障害者センター   第3回11月10日 オンライン、日本視覚障害者センター   第4回 2月22日 オンライン、日本視覚障害者センター (5)指導者研修会   第1回 2月15日 オンライン、ワイム貸会議室高田馬場 6.全国視覚障害者福祉大会の開催   本年度の全国大会は、本連合の改名に伴い大会名称を「全国視覚障害者福祉大会」に改名した初めての大会となる予定だった。しかし、令和2年6月14日から3日間にわたり、宮城県仙台市において開催予定だった第73回全国視覚障害者福祉大会(宮城大会)は、新型コロナウイルス感染症の影響により、参加者の安全を優先し、開催を中止した。 7.文化厚生事業の開催 (1)第46回全国視覚障害者文芸大会   令和2年7月に募集を開始し、全国から俳句54人(159句)、短歌50人(146首)、川柳73人(213句)、随想・随筆19人(19編)の応募があり、同年12月に授賞者を発表した。   なお、今後の本大会の進め方を検討するため、「視覚障害者のスポーツ・文化芸術活動の推進検討事業」の一環として、本大会参加者へのアンケート調査、選者との意見交換を実施した。 (2)第44回全国視覚障害者将棋大会   令和2年10月に東京都で開催予定としていた同大会は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ開催中止とした。ただし、参加者の意見を元に同年12月に視覚障害者リモート将棋大会として完全オンラインでの将棋大会を開催した。また、今後の本大会の進め方を検討するため、「視覚障害者のスポーツ・文化芸術活動の推進検討事業」の一環として、全国の視覚障害棋士とのオンライン意見交換を実施した。 8.研修事業等の実施 (1)同行援護の資質向上に関する事業   本連合が例年開催している「視覚障害者移動支援従事者(同行援護従業者)資質向上研修」は、令和2年12月から令和3年3月にかけて3回の開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ開催を中止した。 (2)補装具・日常生活用具に関する研修会   厚生労働省の協力を得て、補装具・日常生活用具費支給制度の適切な運用のため、市町村職員・視覚障害当事者・関係者を対象に研修会を開催するため、加盟団体から募集し、開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により開催しなかった。 9.各協議会の活動 (1)あはき協議会  @代議員会    第1回 2月 1日 書面決議  Aあはき委員会   第1回12月 3日 書面決議   第2回 3月30日 オンライン、日本視覚障害者センター (2)青年協議会  @常任委員会   第1回 4月 8日 オンライン   第2回 4月18日 オンライン   第3回 7月 4日 オンライン   第4回 7月27日 オンライン   第5回 9月10日 オンライン   第6回10月22日 オンライン   第7回 1月14日 オンライン   第8回 2月23日 オンライン   第9回 3月 5日 オンライン   第10回3月27日 オンライン  A全国委員会   第1回 4月19日 オンライン  B社会対策研修会(教育状況調査アンケート報告、全国青年部活動状況調査報告等)   第1回 7月12日 オンライン   第2回 2月23日 オンライン  C第66回全国視覚障害青年研修大会広島市大会(広島市大会)   令和2年9月26日〜27日に広島市総合福祉センター他で開催予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により開催中止にした。 (3)女性協議会  @常任委員会   第1回 9月12日 電話会議   第2回11月14日 電話会議   第3回 1月30日 電話会議   第4回 3月21日 電話会議  A全国委員会   第1回 9月18日 書面報告   第2回 3月 1日 書面報告  B全国代表者会議   第1回 9月18日 書面決議   第2回 3月 1日 書面決議  C第66回全国視覚障害女性研修大会・近畿ブロック(神戸市大会)   令和2年9月17日〜9月19日に神戸市勤労会館他で開催予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により開催中止にした。 (4)音楽家協議会  @正副会長会議   新型コロナウイルス感染症対策のため、随時電話にて開催。  A第59回音楽家協議会福祉大会   令和2年11月24日にホテルヒューイット甲子園で開催予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により開催中止にした。  B第58回全国邦楽演奏会   令和2年11月23日に兵庫県立芸術文化センターで開催予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により開催中止にした。  C日中韓伝統音楽協演「On-tact Blind Music Festival」   期日 12月3日   場所 YouTubeにて配信 (5)スポーツ協議会  @常任委員会   第1回 7月15日 オンライン   第2回 9月20日 オンライン   第3回 3月14日 オンライン  A代表者会議   第1回 8月    書面決議  B2020視覚障害者スポーツフェスティバル   令和2年5月5日に東京都障害者総合スポーツセンター他で開催予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により開催中止にした。  第2 日本視覚障害者センターとしての事業の実施        本年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大による政府からの緊急事態宣言発令に伴い、令和2年4月13日から5月7日までの間、やむなくセンターを一時閉館した。その結果、当然ながら事業収入の減少や予定されていた事業を中止せざるを得ない等のマイナスの影響が生じたが、センターが全国の視覚障害者に対する情報提供機関としての役割や使命を果たすために、時々の情況に応じて、感染防止対策を講じながら事業に取り組んできた。  特にデジタルツールを活用し、オンラインによる会議等を積極的に実践するとともに、職員対応では、一部在宅勤務や時差出勤を取り入れ、日々の健康チェック、または、ハード面での環境整備等を行い、センターの感染防止対応方針に基づく感染対策を徹底した。 1.業務重点事項 (1)健全経営に向けた取り組み   法人運営において、理事会等も決議の省略やオンライン会議の実施等、法令に従い取り組んだ。また、本年度、定款の一部変更にあたっては、所轄庁とも十分な調整を図りながら予定通り手続きを完了することができた。   さらに、経営面では、電気料金とインターネット回線契約の見直しを図り、支出削減に取り組むことができた。 (2)職員研修の構築   予定した研修を実施することは困難であったが、内部研修として職員に対し、以下の講習を実施することができた。  @日視連点字教室  AAEDの使い方講習  Bオンライン会議講習   (3)地域福祉への取り組み   本年度の日視連フェスティバルの開催は中止とし、地域小学校の当センターの見学も一部縮小して開催する等、通年通りの取り組みが困難だった。   このような中で、新宿区社会福祉協議会へ助成金を申請し、地域の方々も含めた緊急災害時等の人命救助に役立てることができるように、センターにAEDの設置を行った。なお、多くの地域の方々に利用してもらえるようにするため、建物外にAED設置のシール等を貼り、ホームページでも周知した。 (4)労働環境の改善   本年度の労働環境改善対策は、コロナ禍における働き方への対応を推し進めることが中心となった。職員には時差出勤や在宅勤務、自家用車等での出勤ができるように内規を整え、会議や研修会ではオンライン対応ができるように機器を整備し、コロナ禍における労働環境の改善に務めた。    2.厚生労働省及び東京都の委託事業及び補助事業の実施   本年度も以下の事業に関する委託費及び補助金の交付を受け、以下の通り執行した。 (1)視覚障害者用図書事業等委託費(厚生労働省委託)   @盲人用具あっ旋事業 7,806,000円  A全国盲人生活相談事業 2,539,000円  B視覚障害者行政情報等提供事業 31,693,000円 (2)高度情報通信等事業(厚生労働省の補助)   @点字ニュース即時提供事業 30,893,000円   厚生労働省の補助事業として、日刊点字新聞「点字JBニュース」を本年度は第6,904号から第7,144号まで計241回発行した。掲載記事は2,687本で、そのうち本連合が提供する情報を含む福祉関係記事を560本提供した。また、「点字JBニュース」の実施機関への実施状況の調査を実施した。 (3)視覚障害者コミュニケーション事業(東京都委託)  @視覚障害者ガイドセンター運営事業 2,230,000円   本年度は、コロナ禍の影響で利用者が3名と著しく減少した。さらに、同行援護制度の利用を希望する視覚障害者への事業所への紹介も1件に留まった。登録ガイドヘルパーの増加に継続して努めた。  A点訳・朗読奉仕員指導者等養成事業 2,203,000円   指導者養成講習会(点訳・朗読)は、東京都と協議した結果、中止とした。なお、専門点訳講習会(英語、コンピュータ、触図)は、一部オンラインを取り入れながらも予定通り実施することができた。 (4)点字図書館等の運営(東京都の補助)   @点字図書館の運営 59,641,410円 3.各部門別の取り組み (1)情報提供に関すること  @全国視覚障害者団体に対する連絡及び助成事業の実施   「点字日本」、「日視連アワー(カセットテープ版及びデイジー版)」、「点字JBニュース」、「電話ナビゲーションシステム」、「愛盲時報」及びオンデマンド情報誌「日視連 声のひろば」の内容を充実させ、即時的で有意義な情報を提供した。また、会員以外へも有意義な情報を提供することができた。なお、令和2年4月から5月の緊急事態宣言発令に伴う本センターの休館により、取材・編集の一部ができなかったため、「声のひろば」5月号を休刊した。  A情報媒体の活用   「点字JBニュース」、「愛盲時報」等を活用して全国の加盟団体の活動や大会等を紹介し、会員の購読者を増やす取り組みを進めた。さらに、これらの媒体を通じ時々の情勢に応じた本連合の考えも表明し、各加盟団体会員の意識向上を図ることができた。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、各地の大会やイベントが中止となり、地域の取り組みを十分紹介することができなかった。  B官公庁・民間企業からの情報提供に関する協力   国・行政・公共施設・民間企業等が視覚障害の特性に応じた媒体(点字・音声・拡大文字・テキストデータ)で情報提供を検討する際は、当事者の声が正しく反映され、適切な情報提供がなされるよう、発行者に対して各媒体での製作上の配慮について助言する等の協力を行った。特に新型コロナウイルス感染症に関わる国からの各種情報を整理し、必要なものはテキスト化をした上で、周知を行った。  CWEBサイトの充実   本連合の活動紹介や福祉情報の提供等を充実させ、会員・関係者のみならず、広く一般社会にも視覚障害者福祉の理解が深まるよう努めた。また、調査事業、委員会、各種催し等の結果をホームページで公開した。なお、本年度は以下の点を踏まえた情報公開を行った。  ・報告書:ページ数が多いものは、章分けにしたファイルを公開し、必要な情報が即座に見つかるように工夫した。  ・催し:従来のテキストと写真以外に動画の掲載を行った。  Dメーリングリストの活用   福祉・職業関係の新聞記事や福祉制度等に関する最新情報を配信した他、各種調査や意見交換を行い、幅広く情報の収集と提供を行った。本年度は視覚障害者関連の福祉情報1,074本、あん摩マッサージ指圧関連を含む職業関係情報213本、計1,287本の情報を提供した。また、毎週、点字図書館「おすすめ図書情報」、用具購買所「用具インフォメーション」も配信し、本センター各部署からの情報提供に努めた。  E情報の集積・整理   他団体が手がける刊行物や記念誌、視覚障害当事者が執筆した書籍等を保管し、福祉関係情報のアーカイブの構築を図った。収集・整理している資料をリスト化し、本センター各部署への共有、問い合わせ対応への参考資料に利用できるよう努めた。  F編集会議の実施   本連合が発行する情報誌の拡充のため、編集会議を継続的に実施した。  G拡大文字版選挙公報の製作   国政選挙・都道府県の首長選挙において、拡大文字を使用する視覚障害有権者の選挙権を行使するため、各自治体等に働きかけを行い、適切な選挙情報の提供を行う日本盲人福祉委員会の視覚障害者選挙情報支援プロジェクト拡大文字版部会として「拡大文字版選挙のお知らせ」を発行した。本年度は、岡山県知事選挙、山形県知事選挙、秋田県知事選挙について「選挙のお知らせ」を制作・発行した。 (2)相談事業に関すること   本年度は新型コロナウイルス感染症の影響から、対面での相談を受けることが難しくなった。そのため、日々の生活相談を始め、法律、眼科、聞こえにくさ相談の対応をリモートに切り替えて、すべて計画通り対応することができた。   主な相談内容は、例年の相談内容に加えて、新型コロナウイルス感染症に関連した心理的な不安、治療院の患者の減少、持続化給付金の申請等の相談が増えた。これらの相談に対し、相談員が対応して、適切な専門家に繋げる等、丁寧な対応を心掛けた。 資料【令和2年度盲人生活相談状況】 文書は点字によるものも含む。 (1)病気・健康等、家庭心配事相談(含む施設・その他) @件数 電話 1,096 文書 154 来訪 33 計 1,283 A主な内容 眼病進行の不安 ロービジョン関係の相談 視覚障害者用情報支援機器 その他 (2)就学・就職相談 @件数 電話 194 文書 49 来訪 4 計 247 A主な内容 あはき開業 障害者雇用・公務員試験 就学 その他 (3)年金・社会保険相談 @件数 電話 391 文書 43 来訪 1 計 435 A主な内容 障害者手帳 介護保険・65歳問題 その他 (4)移動・旅行相談 @件数 電話 332 文書 33 来訪 1 計 366 A主な内容 交通機関の相談 点字ブロック・音響式信号機等 その他 (5)法律相談 @件数 電話 55 文書 3 来訪 0 計 58 A主な内容 1.遺産関係のトラブル対処 2.交通事故等のトラブル 3.その他 (6)合計 2,389   資料【令和2年度盲人総合相談状況】  第75回 令和2年10月9日実施、第76回 令和3年2月12日実施 (1)眼科相談 @第1回 3件 担当:赤崎安序(順天堂大学眼科医) A第2回 3件 担当:平塚義宗(順天堂大学眼科医) (2)法律相談 9件 担当:大胡田誠(弁護士) (3)生活相談 @第1回 11件 担当:工藤正一 A第2回  2件 担当:橋井正喜 B第3回 1件 担当:佐々木宗雅 (4)合計 29件  (3)点字出版に関すること  @委託事業の実施   厚生労働省委託事業である「点字厚生」(奇数月、年6回発行)、「ワールド・ナウ」(年2回発行)を点訳・発行した。  A自治体・議会広報等の製作   各自治体発行の広報・議会だよりを点訳・発行した。  B点字版選挙公報製作事業   日本盲人福祉委員会の視覚障害者選挙情報支援プロジェクト点字版部会の事務局として、研修会の運営及び事務局会議の準備等を行った。なお、本年度は、前橋市議会議員選挙の「選挙のお知らせ」を製作した。  C点字の普及及び相談事業  ・本連合発行の情報誌「点字日本」(毎月発行)、「全国視覚障害者文芸大会作品集」を製作した。「用具カタログ」、「タクシー券利用案内」等の点字版を製作した。  ・「視覚障害者リモート将棋大会」等の各種プログラムの点字版を製作した。  ・自由民主党広報誌「自由民主」点字版(年4回発行、日本盲人福祉委員会からの委託)、公明党定期刊行物「点字こうめい」を製作した。  ・取扱説明書、点字名刺等を製作した。  ・本連合及び関連団体の会報、事業報告書、予算書を製作した。  ・東京都「家庭生活訓練事業」の点字教室の講師を務めた。  ・各省庁・各自治体・民間企業・社協・選管等からの点字印刷物作成についての問い合わせや相談、点字出版所の見学に対応した。  ・「点字こうめい」から取材を受け、「公明新聞」に当出版所の記事が掲載された。  D研修の実施と参加   日本盲人福祉委員会主催でリモート開催された選挙プロジェクト「衆院選選挙公報製作研修会」に職員全員が参加し、職員の技術向上に努めた。  E触知図・触知案内板の製作等   新幹線トイレ触知案内図銘板の監修を行った。  F機材及び作業環境の整備   4種7台の点字プリンタ、2台の自動製版機のメンテナンスを随時行った。  G本の出版   点字出版所が独自に制作を進めている本の出版については、職員の入れ替わりや休業の影響があったため、点訳が少し進んだ程度に留まった。 資料【令和2年度点字出版】 (1)製版枚数 令和2年度:11,173枚 令和元年度:11,018枚 (2)印刷枚数 令和2年度:1,803,110枚 令和元年度:1,805,634枚 (3)製本 @自治体、議会広報 令和2年度:6,115冊 令和元年度:6,257冊 A点字厚生 令和2年度:150,000冊 令和元年度:150,000冊 B点字日本 令和2年度:2,100冊 令和元年度:2,100冊 Cその他 令和2年度:186,341冊 令和元年度:39,932冊 (4)点字図書館に関すること  @新刊図書製作への取り組み   本年度も医学関連図書を主体に、点字図書・録音図書の製作に取り組んだ。点訳とテキストデイジーについては、例年と同水準の製作活動を行った。音訳については、新型コロナウイルス感染症の影響により、製作数が微減した。  【製作タイトル・巻数または時間数】  ・点字図書:31タイトル・97巻  ・音声デイジー図書:23タイトル・203時間26分  ・テキストデイジー:1タイトル  A選書体制の整備   選書委員会を新規に立ち上げ、今年度2回開催。外部委員も交えた、医学専門書等の選書体制を構築した。  B図書の貸出   点字図書、録音図書ともに郵送による全国貸出を行った。休館期間があったにも拘わらず、点字図書は大幅に増加、デイジー図書も増加した。  【貸出数・人数】  ・点字図書:2,209タイトル・4,240巻・1,466人  ・音声デイジー図書:24,139タイトル・24,140巻・17,362人  ・カセットテープ図書:4,933タイトル・6,647巻・4,818人  Cデータの提供   サピエ図書館へ自館製作コンテンツの提供を行い、利用者の幅広いニーズへの対応を行った。音声デイジー、テキストデイジーは利用数が増加した。  【データ利用数・人数】  ・点字:380タイトル・1,072人  ・音声デイジー:1,749タイトル・8,736人  ・テキストデイジー:48タイトル・162人  D古書のデジタルデータ製作と保存   点字及びテープ図書のデジタルデータ化を行い、古書の保存に努めた。  Eボランティア養成事業と交流会の開催   新型コロナウイルス感染症の影響により、ボランティア交流会、勉強会等は概ね開催中止となった。点訳ボランティア基礎講座は、時期を変更して開催し、17名が修了した。初級講座は次年度の開催となった。  F広報活動   新刊案内「点字図書館ニュース」、点字図書・録音図書の追加目録を製作した。また、「点字JBニュース」による既存図書の広報により、情報提供と貸出数の増加を図った。また、録音雑誌「日視連アワー」、「声の広報 厚生」、「日視連 声のひろば」の貸出を行い、本連合の活動の普及啓発に努めた。  G職員研修   新型コロナウイルス感染症の影響により、全国視覚障害者情報提供施設大会、全国盲人福祉施設大会が中止となった。なお、サピエ研修会(オンライン)に参加し、最新の情報収集に努めた。 (5)録音製作に関すること  @厚生労働省からの委託事業   「声の広報 厚生」を隔月で年6回発行。インタビューコーナーが好評を得ている。また、「厚生労働白書」、「障害者白書」を発行した。  A各自治体及び関係団体・施設等からの委託事業   各自治体発行の広報・議会だより等の音声版を発行した。本年度の累計マスター制作数は1,229枚、コピー総数は28,091枚となる。  B日視連発の広報媒体の製作   「日視連アワー」を月1回発行した他、本連合会長による中央情勢報告(講演)を収録したCDを制作し、情報提供に努めた。  C機材及び作業環境の整備   使用しているパソコンを新調し、作業の効率化を図った。  D研修の実施   日本盲人福祉委員会の視覚障害者選挙情報支援プロジェクト音声版部会主催の研修会に参加し、音声版選挙のお知らせ(音声版選挙公報)制作に関して理解を深めた。 資料【令和2年度録音製作】 (1)マスター制作数 @全体 令和2年度:1,229枚 令和元年度:1,641枚 A内訳 自治体広報・議会報 令和2年度:621枚 令和元年度:615枚 声の広報 厚生、厚生労働白書・障害者白書 令和2年度:16枚 令和元年度:16枚 日視連アワー 令和2年度:24枚 令和元年度:24枚 その他 令和2年度:568枚 令和元年度:986枚 (2)ダビング・コピー数 @全体 令和2年度:28,091枚 令和元年度:29,776枚 A内訳 自治体広報・議会報 令和2年度:9,692枚 令和元年度:10,464枚 声の広報 厚生、厚生労働白書・障害者白書 令和2年度:15,200枚 令和元年度:15,200枚 日視連アワー 令和2年度:1,719枚 令和元年度:1,775枚 その他 令和2年度:1,480枚 令和元年度:2,337枚 (6)用具購買所に関すること  @盲人用具販売あっ旋事業   事業の目的を踏まえ、用具の販売斡旋を行うとともに、開発・製造業者に対し助言や情報提供等を行った。  A販売の活性化に向けた取り組み   販売促進会議を開催し、販売方法等を検討・実施した。本年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、音声体温計の売り上げ増加等があり、年間を通して売り上げの向上に繋げることができた。  B用具関連情報の提供   「点字日本」、「日視連 声のひろば」、「日視連アワー」、メーリングリスト「用具インフォメーション」により、視覚障害当事者や行政関係者、一般個人に対し、用具の情報を発信した。また、本連合のホームページに商品カタログを掲載し、内容の追加や変更がある場合は随時更新した。  C出張販売の実施   用具販売所の職員による出張販売については、第73回全国視覚障害者福祉大会(宮城大会)を含む7会場で実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響のため実施できなかった。  D用具の適切な使用に向けた取り組み   ブレイルメモ講習会を5月から行う予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響のため実施しなかった。なお、視覚障害当事者からの相談に対しては、総合相談室と連携し、随時対応した。特に、プレクストークや音声時計の使用方法については積極的に対応した。  E商品の発掘や新商品の開発   セイコーウオッチ株式会社の依頼により触読腕時計、音声腕時計の開発に協力し、販売を開始した。  FICTを活用した商品の販売   インターネットによる注文は効率的な業務運営の観点で重要な目標であるが、ネット環境の整備等の課題があり、本年度は実現できなかった。 (7)点字校正に関すること  @点字による文書や冊子、図書の製作   「点字JBニュース」、「愛盲時報」の校正を行った。また、自治体関連の広報誌、本連合の各種会議資料、日本あん摩マッサージ指圧師会の会議資料等、点字出版所と連携しながら、各種発行物の製作を行った。さらに、点字図書館の蔵書について、点字使用者の立場から、良質な点訳書の製作のために協力した。   なお、東京都委託の点訳奉仕員指導者養成講習会(専門点訳)については、受講者選考試験問題の作成と受講者選定作業を行った。  A各種相談への対応   シャンプーや牛乳パックから地下鉄・空港・公園まで、日々の暮らしの幅広い場面について、ヒアリング・アンケート・研修会の参加を通して、視覚障害当事者の観点からアドバイスを行った。  B点字版選挙情報製作について   日本盲人福祉委員会の選挙情報支援プロジェクト点字版部会の委員として活動した。また、前橋市議会議員選挙の「選挙のお知らせ」を製作した。  C正しい点字の資料製作のために   日本盲人福祉委員会主催でリモート開催された選挙情報支援プロジェクトの「衆院選選挙公報製作研修会」に職員全員が参加した。また、理数記号の研修会及び触図講習会に出席し、職員の技術向上に努めた。