愛盲時報 令和2年7月25日(土)第267号 目次  1.あはき法19条違憲訴訟 仙台地裁判決へ  2.オンライン会議の可能性と課題 ―青年協議会の取り組みから―  3.新型コロナウイルス ホットライン開設 寄せられた声を取りまとめ 要望提出  4.視覚に障害がある方、支援者・関係者の方にご活用いただきたい資料集   5.省庁への陳情について  6.第74回全国視覚障害者福祉大会 開催地決まる  7.第46回 全国視覚障害者文芸大会(旧 全国盲人文芸大会) 作品募集!!  8.ご寄付のお願いについて  9.奥付  *見出しの頭には「--(半角で2つ)」の記号が挿入されているので、検索機能を使って頭出しをする際にご利用下さい。  また検索の際、目次でご紹介した数字を続けて半角で入力すると、その項目に直接移動することができます。  (例)1をご希望のときは、「--1(すべて半角)」と入力。 (以下、本文) --1.あはき法19条違憲訴訟 仙台地裁判決へ 【写真】仙台地裁前で「視覚障害者はマッサージで社会に貢献したい!視覚障害者の社会参加を拒む訴えは棄却してください」と書かれた横断幕を掲げる集会参加者ら 平成医療学園グループの学校法人 福寿会 福島医療専門学校が、あん摩マッサージ指圧師養成課程の新設を国に申請し、非認定処分となったことを不服とし、仙台地方裁判所に提起した裁判の判決が、6月8日、仙台地裁101号法廷で言い渡されました。  裁判は、傍聴席79席のところ、新型コロナウイルス感染防止のため規模を縮小して行われました。東北の各県と東京・北関東から、日本視覚障害者団体連合、日本あん摩マッサージ指圧師会、日本理療科教員連盟、全日本視覚障害者協議会、盲学校の同窓会会員など45名が仙台地裁に参集しました。  判決で、小川理佳(おがわりか)裁判長は主文と判断理由を朗読し、「あはき法19条は、合憲である。原告が主張している職業選択の自由を保証する憲法22条に違反することには当たらない。その他を考慮して、原告の訴えを棄却する」と告げました。 仙台地裁判決を終えて…  閉廷後、仙台地裁記者クラブで、日本視覚障害者団体連合 竹下義樹(たけしたよしき)会長・日本あん摩マッサージ指圧師会 安田和正(やすだかずまさ)会長・大胡田誠(おおごだまこと)弁護士・あはき等法19条を守る東北協議会 及川清隆(おいかわきよたか)会長が出席し、記者会見が開かれました。会見で、竹下日視連会長は「東北では、あん摩マッサージ指圧師養成学校が1校しかない中でのこの判決は意義深い」と感想を述べました。また、及川あはき等法19条を守る東北協議会会長は、視覚障害あはき業者の立場で、大変苦しい生活を強いられている現状を語りました。  記者会見と並行し、裁判所前では集会が開かれ、各記者から参加者への取材の中でしたが、多くの仲間と勝訴した喜びを共に分かち合い閉会しました。 【写真】仙台地裁前で行われた集会で、挨拶する竹下義樹会長(左)と大胡田誠弁護士(右) あん摩師等法19条連絡会より声明発表  あん摩師等法19条連絡会より「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律19条訴訟における仙台地方裁判所判決に対する声明」が発出されました。声明全文は、日視連ホームページで見ることができます。 【URL】http://nichimou.org/all/news/division-news/ ahaki-200225/ --2.オンライン会議の可能性と課題 ―青年協議会の取り組みから― 青年協議会常任委員 伊藤丈人(いとうたけひと)  本稿では、青年協議会で行ったオンライン会議の実践例をご紹介した上で、今後、日視連等でオンライン会議システムを活用することの利点と注意点について、整理してみたいと思います。  新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、日視連においても、各種会議やイベントを中止せざるを得なくなっております。しかしながら、どうしても決定しなければならない事柄は多く、書面決議という形で会議を行うことも少なくないようです。  こうした状況の中で青年協議会では、オンライン会議システムを活用することといたしました。4月19日午前10時より、総勢16名の参加を得て、今年度第1回の全国委員会を実施いたしました。この際、Zoom(ズーム)というオンライン会議システムを利用し、参加者はそれぞれの自宅にいながら議論に参加しました。  Zoomは、数多くあるオンライン会議システムの1つです。会議主催者がアカウントを取得すれば、他の参加者はID登録などをすることなく会議に加わることができます。複数の人が同時に電話で会話する、といった状況です。各自の顔を映した、「テレビ電話」も可能です。スマホやタブレット、あるいはパソコンを使って参加することもできますし、一般の電話から特定の電話番号への通話という形で会話に参加することも可能です。  Zoomを活用することのメリットとしては、感染予防の目的に適うだけでなく、直接会話することができるため、質疑応答を書面決議よりもスムーズに行うことができます。コロナ以後の社会を見据えた場合でも、全国の役員が参集するために必要な旅費や時間の節約に、Zoom等の活用は有益だと考えられます。緊急に会議を開く必要がある場合にも、オンライン会議システムの活用は、有力な選択肢になるでしょう。 【写真】青年協議会で行われたオンライン会議システムZoomを活用した会議の様子  反対にデメリットとしては、Zoom等のオンライン会議システムでは発話が相手に届くまでにタイムラグがあるため、複数の人が同時に話してしまいがちで、ストレスを感じることもあります。司会者が上手に会話の交通整理をする必要があるでしょう。また、時間制限なくZoomを利用するためには、1か月約2,000円の使用料が必要となります。スマホやパソコンから参加するには各自の自宅にWi-Fi環境が整っていることが望ましいですし、一般電話から参加する場合には通常の電話代がかかってきます(かけ放題サービスを除く)。  こうした特徴を把握した上で、Zoom等のオンライン会議システムを活用してみてはいかがでしょうか。 ・Zoomのサービスについては、次のサイトを参照のこと【URL】https://zoom.us/jp-jp/meetings.html --3.新型コロナウイルス ホットライン開設 寄せられた声を取りまとめ 要望提出  令和2年2月以降、新型コロナウイルスの感染拡大により、日本各地で様々な混乱が生じています。全国の視覚障害者からは「マスクの入手が困難になっている」「あはき業の仕事ができない」「同行援護が利用できない」等、様々な困り事が、日視連に寄せられています。そして、これらの困り事は、国や関係機関による早急な対策や支援等が必要とされています。そのため、日視連では、3月23日より新型コロナウイルス 緊急ホットラインを開設してきました。ホットラインには、累計146件(6月末現在)にも上る困りごとや要望が寄せられました。そして、ホットラインに寄せられた声は、日視連で取りまとめた後、国や自治体、関係機関に対し、その改善を求めるための要望書を4月22日と5月14日の二度にわたり提出しました。  今もなお、新型コロナウイルスの終息の目途はたっていないのが現状です。日視連 総合相談室では、継続して新型コロナウイルス関連の困り事や要望を受け付けていきますので、皆さまからの更なる情報をお待ちしております。 ・新型コロナウイルスに関する要望書 【URL】http://nichimou.org/notice/20200514-jim/ 日視連 新型コロナウイルス ホットライン 受付窓口 日本視覚障害者団体連合 総合相談室 【電話】 03−3200−0011(内線5) 【受付時間】午前:10時〜12時 午後:1時〜4時 (土日を除く) 【FAX】03−3200−7755 【メール】soudan@jfb.jp --4.視覚に障害がある方、支援者・関係者の方にご活用いただきたい資料集   平成26年の障害者権利条約の批准以降、日視連では、視覚障害者をとりまく社会問題について調査研究を行うとともに、各委員会を立ち上げ、視覚障害者の生活の質の向上を目指し、調査研究や話し合いを行っています。昨年度までに調査研究や話し合いの中から作成した、視覚に障害がある方、支援者・関係者の方にぜひご活用いただきたい報告書やリーフレットをご紹介します。いずれも、日視連ホームページで公開しており、資料はダウンロードできます。 報告書「地域における視覚障害者への代筆・代読支援に向けた調査研究事業」  視覚障害者にとって生活を送る上での困りごとのひとつである読み書きを支援することを目的に、障害者総合支援法の意思疎通支援事業「代筆・代読支援」として、市町村で実施できることになっています。しかし、実際には各市町村での取り組みが低調で、必要な人たちに届いていないのが現状です。日視連では、厚生労働省障害者総合福祉推進事業を受託し、平成30年度・令和元年度の2年にわたり、代筆・代読支援の普及に向け、調査研究を行ってきました。この度、令和元年度事業「地域における視覚障害者への代筆・代読支援に向けた調査研究」の調査が終了し、報告書が取りまとめられました。  平成30年度に行われた「視覚障害者への代筆・代読支援に関する調査」から明らかになった代筆・代読支援の課題を踏まえ、意思疎通支援事業の代筆・代読支援を実施している自治体、実施していない自治体の各自治体担当者、事業所、視覚障害当事者の三者にヒアリング調査を行い、代筆・代読支援が普及していくためには何が必要かを探っています。  また、本調査では、報告書の他に意思疎通支援事業の代筆・代読支援を全国の自治体で開始するために必要な要点をまとめたリーフレットなども用意しています。全国の視覚障害当事者の皆さまにおかれましては、自治体への要請活動を行う際にご活用ください。 【写真】報告書の要点をまとめたリーフレット 資料 ・「地域における視覚障害者への代筆・代読支援に向けた調査研究」 報告書(令和元年度) 【URL】http://nichimou.org/all/news/secretariat-news/200323-jim/ ・「視覚障害者への代筆・代読支援に関する調査研究」 報告書(平成30年度) 【URL】http://nichimou.org/all/news/secretariat-news/190409-jim/ 報告書「視覚障害の教育のあり方に関する実態調査」  平成19年に「特殊教育」から「特別支援教育」への転換が行われ、平成25年度から文部科学省が「インクルーシブ教育(※1)システム構築事業」に取り組むなど、日本の教育は共生社会形成に向け、障害のある子ども達が障害のない子ども達と共に学ぶ場を求めてきました。インクルーシブ教育システムにおいては、小・中学校における通常の学級、通級による指導(弱視通級指導教室)、特別支援学級(弱視特別支援学級)、特別支援学校(視覚障害特別支援学校)といった連続性のある「多様な学びの場」が用意され、その結果、通常の学級で学ぶ視覚障害のある児童生徒も増えてきています。そこで、日視連では令和元年度事業として、教職員共済生活協同組合・全国労働者共済生活協同組合連合会のご助成の下、「どのような学びの場を選んでも専門性の高い視覚障害教育を受けられる体制を確立すること」をテーマに視覚障害当事者、保護者、教育関係者が集まり、議論を重ねるとともに盲学校と保護者へのヒアリングを実施し、視覚障害教育の現状と課題を報告書として取りまとめました。 (※1)障害のある者と障害のない者が可能な限り 共に学ぶこと 【写真】昨年11月に開かれたシンポジウム「視覚障害教育の現状と課題」では、本調査の委員が登壇し、パネルディスカッションが行われました。フロアからも質問や意見交換が行われ有意義なものとなりました。 資料 ・「視覚障害教育のあり方に関する実態調査」 報告書 【URL】http://nichimou.org/all/news/secretariat-news/200612-jim/ リーフレット「見えにくいことははずかしいことではありません!」 【写真】ロービジョン(弱視)の方に向けたリーフレット  日本の視覚障害者の数は、31.2万人(平成30年版厚生労働白書より)。この数は、身体障害者手帳所持者で、身体障害者福祉法の定める視覚障害の認定基準に基づくものです。そして、その多くの方が、全盲ではなく、ロービジョン(弱視)とされる方です。一方、世界保健機構(WHO)の示すロービジョンの基準では、矯正眼鏡を装用しても視力が0.05以上、0.3未満の状態と定義されています。  見えにくさを抱える方の中には視野狭窄(※2)、中心暗点(※3)といった視野が欠けて見えにくい方、暗いところで見えにくい方(夜盲)、眩しく感じる方(羞明)などもおり、見えにくさの程度や困りごとは人それぞれです。  そんな見えにくさを抱えた方の中には、自分からロービジョンであることを言えずに、困難を抱えながら日常生活を送っている方が多くいます。そのため、このような方々がロービジョンの困難さを感じずに日常生活を送れることを目的に、本リーフレットを作成しました。 「見えにくくなってきて、お困りでないですか?」「周りに見えにくくなって、困っている方はいませんか?」見えにくいことは、決して恥ずかしいことではありません!あなたが抱える困りごと、私たちと一緒に考えませんか? (※2)目を動かさずに見える範囲(視野)が 次第に狭くなる状態 (※3)視野の中心部分が見えにくくなった状態 【写真】リーフレットの内容の一部 資料 ・ロービジョン(弱視)の方向けリーフレット 「見えにくいことは はずかしいことではありません!」 【URL】http://nichimou.org/all/news/secretariat-news/200303-jimu/ --5.省庁への陳情について  第73回全国視覚障害者福祉大会(宮城大会)は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う厳しい情況をふまえ、開催を中止しました。本来ならば、全国大会で採択された決議内容を基に、大会終了後に関係府省庁等への一斉陳情を行っています。本年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、全国の加盟団体から寄せられた提出議題をとりまとめた後、陳情書として関係府省庁等に郵送することになっています。陳情書全文は、日視連ホームページ(http://nichimou.org/)で後日掲載します。 --6.第74回全国視覚障害者福祉大会 開催地決まる  第74回全国視覚障害者福祉大会の開催地が岡山県倉敷市に決まりました。岡山大会は、令和3年5月23日(日)〜25日(火)の3日間にわたり、倉敷市芸文館(1日目)、倉敷アイビースクエア(2日目)、倉敷市民会館(3日目)を会場に開催されます。 --7.第46回 全国視覚障害者文芸大会(旧 全国盲人文芸大会) 作品募集!!  深刻な世情の中にも心のゆとりとうるおいを求めようと、愛好家の要望に応えて1975年にはじめて開催された視覚障害者のための文芸大会が、今年も開催されます。今年は、例年と時期をずらしての開催となりますので、ご注意ください。 目的:文芸を通して視覚障害者の情操を耕し、豊かな心の目を養いながら相互理解と友情の輪を広げる 応募資格:視覚に障害のある方 作品の種類:1.短歌部門 2.俳句部門 3.川柳部門 4.随想・随筆部門 締め切り:令和2年8月31日(当日消印有効) 入選者発表:令和2年12月ごろ 参加料: (短歌・俳句・川柳部門)1部門につき1,000円 (随想・随筆部門)1,500円 ・2部門以上応募の場合は、それぞれの参加料を加算 ・参加料は現金(必ず現金書留封筒を使用)、小為替、切手、郵便振替(口座名「社会福祉法人日本視覚障害者団体連合」、口座番号「00170−9−48326」)のいずれかで 応募にあたって:短歌・俳句・川柳部門は、1人3首(3句)以内、随想・随筆部門は、1人1作品。また、随想・随筆部門は、点字の場合1行32マス250行以内、墨字の場合400字詰の原稿用紙10枚以内。随想・随筆には、タイトルを付けること。川柳の課題は、「祈る」または「電話」で3句の中でどのように使ってもよい(他部門に課題はない)。ただし、自作・未発表の作品に限るのでご注意を。応募者には応募作品を掲載した作品集(随想・随筆は入選作品のみ)を送付するので、応募の際に点字版、墨字版のいずれを希望するか書き添える。墨字版希望の場合は、応募1部門につき、全部門掲載された作品集を1冊、点字版希望の場合は、応募1部門につき、1部門のみ掲載された作品集を1冊送付する。 応募方法:部門ごとに別々の用紙を用い、1行目に部門、2行目から住所、氏名(ふりがな)、電話番号、その次の行から作品を書く。 【郵送で応募】参加料を同封し、封筒には墨字で住所・氏名を明記。 【メールで応募】件名を「文芸作品応募」とし、入金方法と入金日を明記。参加料入金の際に、作品をメールで送信したことを明記すること。 このほか応募にあたって詳しくは、日視連ホームページをご参照ください。皆さまのご応募、心よりお待ちしております。 【URL】http://nichimou.org/notice/200625-jim/ --8.ご寄付のお願いについて  日本視覚障害者団体連合は視覚障害者自身の手で、<自立と社会参加>を実現しようと組織された視覚障害者の全国組織です。  1948年(昭和23年)に全国の視覚障害者団体(現在は、都道府県・政令指定都市60団体が加盟)で結成され、国や地方自治体の視覚障害者政策の立案・決定に際し、当事者のニーズを反映させるため、陳情や要求運動を行っています。  活動内容は多岐にわたりますが、そのために必要な経費の確保は、厳しい財政の中困難を極めています。  視覚障害者福祉の向上を目指し、組織的な活動を維持していくため、皆様からの特段のご厚志を賜りますよう、何とぞ宜しくお願い申し上げます。 ■ゆうちょ銀行 記号番号 00160−5−536104 加入者名 社会福祉法人日本視覚障害者団体連合 ■みずほ銀行 店名 高田馬場支店 預金種目 普通  口座番号 2868101 カナ氏名(受取人名)フク)ニホンシカクショウガイシャダンタイレンゴウ ※領収証が必要な方、本連合が振り込み手数料を負担する専用の振込用紙をご希望の方は、日本視覚障害者団体連合までご連絡ください。(電話:03−3200−0011) --9.奥付 愛盲時報 令和2年7月25日(土)第267号 ※この愛盲時報は鉄道弘済会の不動産賃貸事業などの益金等、日本盲人福祉委員会の愛盲シール維持会費の中から贈られた寄付金などで作られたものです。 発行所:社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合  〒169-8664東京都新宿区西早稲田2-18-2 発行人:竹下 義樹 / 編集人:三宅 隆 電話:03-3200-0011/FAX:03-3200-7755 URL:http://nichimou.org/ Eメール:jouhou@jfb.jp(情報部) 以上で、愛盲時報 令和2年7月25日(土)第267号を終わります。