皆さん、こんにちは。新型コロナウイルスの感染拡大で、日本も世界も大きく変わろうとしております。  単にコロナの被害が広がるというだけじゃなくて、社会の有り様【よう】とか政治の在り方とか、福祉の考え方、それらがすべて見直されようとしているのではないかと思うのです。  そういう中にあって、視覚障害者がどういう状況におかれていて、視覚障害者の日常生活は、どのようにして確保されていくのか。どういう困難が新たに見えてきたのか。社会参加をする上でも、どういう支援が新たに必要なのか。これまでの福祉では、何が足りなくて、何を変更しなければならないのか。  そういう問題について考える時代に来たんだろうと思っております。そういう意味では、この新型コロナウイルスの感染拡大を機会に障害者問題を含めて、改めて人権問題を考え、大事にしていく社会を作るために我々も動いていきたいと思います。  私自身もこの間【かん】、コロナの広がりの中で、会議の参加の仕方も変わりましたし、様々な弁護士としての活動も違った動きをさせられております。  例えば、シンポジウムも含めた人が集まる会合はほとんどなくなりましたし、諸種の会合もすべてZoomとかを使ったオンラインでの会議が増えておりまして、ほぼ毎日のように、Zoom、あるいはSkypeでの会議に参加しているという状況です。  このオンラインの会議についても、我々の活動の中にも取り入れていくことが必要になるでしょうから、今後はオンラインでの情報交換、オンラインでの会議の持ち方などが当たり前になるのではないかなという印象もあります。  さて、国の動きについて二、三報告をしておきたいと思います。  一つは三年に一度見直しが決められている障害者差別解消法の問題です。昨年の秋から今年の春にかけて、問題点を整理しながら改正の為の議論が進められてきました。  そして6月22日に改正の4ポイントに絞り込んだ報告書が決定され、総理大臣に答申されることになりました。  簡単に中身だけ言いますと、差別の定義をどうするのか、何が差別かを国民にわかりやすくするにはどうしたらいいのかという問題が一つでした。  それから民間事業者については、合理的配慮の提供義務が、現在は努力義務となっているものを公共機関と同じように法的義務にすることが必要だということが答申されました。  それ以外にも障害者差別解消地域協議会の活性化であったり、相談体制の問題であったり、さらには紛争解決の在り方について、より合理的に我々が相談しやすいような、解決に結びつくような体制作りということが議論されました。  もう一つホットな情報としましては、読書バリアフリー法に基づく国の基本計画というものがあります。  これは読書バリアフリー法の中で、国は5年間の環境改善の為の計画を立てなさい、という風になっております。  その基本計画が7月14日に発表されました。  この基本計画が今後私たちの運動の言わば糧となるものです。  この基本計画によって、どういう取り組みが必要になるか、国が何をするのか、さらに都道府県には何を求めているのか。これらについてもより見えてくるようになるかと思います。  最後に私から、一つだけお願いです。コロナの拡大の中で、私たちの生活も苦しいし、なかなか人とのつながりも難しくなっている訳でありますが、私たちが内に籠もってしまったのでは、それぞれが孤立し、私たちの仲間としての良さが消えてしまいます。  何としても私たちの仲間意識というものが、損なわれない、薄れないようにするための交流、あるいは、私たちの横のつながりというものを作り出すための工夫をしていきたいと思っております。  団体というのはあくまでも一人一人の結びつきが基本です。その一人一人の結びつきを大事にする。そして一人一人の明るい笑顔が取り戻せるような組織でなければならないと思っております。その点での皆さんの声も聞かせていただければと思っております。