日本視覚障害者団体連合 新型コロナウイルス ホットライン 取りまとめ資料 集計期間:令和2年3月23日〜4月17日 意見数:53件(複数回答あり) 1.日常生活  1−1 マスク・消毒用アルコールが手に入らない(12件)  1−1−1 販売情報が入手できない(4件) ・消毒用アルコールが見つかりません。1番困っているのはマスクです。マスクは中にティッシュを詰めて使い回しています。できればスーパーに行った時にすぐマスクが手に入ればいいのですが、なかなか手に入れることはできません。ドラッグストアでも同じです。今は使い古しているマスクと僅かな未使用マスクしか手元になく、この先まだまだ続くのかなぁと思うと恐怖感でいっぱいです。 ・薬局の店頭や店内で、マスクの入荷状況が表示してあるのかどうかが分からない。そのため、入荷状況を店員に聞きたいけど、店員には聞きづらい。普段からよく利用している店では、店員との関係が良好のため取り置きをしてくれ、大変ありがたい。 ・今は、スーパーやドラッグストアでも、ようやく1家族1個の限定ながら、トイレットペーパーやティッシュも買えますが、2週間前までは、開店前に20人が並び、開店と同時に棚から消えていた。弱視の私は、妻の車で5〜6軒回りましたが、出遅れて買えなかった。私の場合は家族の車で駆け巡れましたが、視覚障害者の場合は店舗を探し回ることはできない。  1−1−2 店頭に並べない(同行援護が頼めない)(3件) ・お店でマスクを購入したいが、どこに置いてあるかわからず、迷っている間になくなってしまい、購入できなかったという方もいました。マスクを手作りで作っている人もいるようですが、視覚障害者の方にとってはそれも難しいと思います。並んでいる人は、開店1時間以上前から並んでいるという話を聞き、ガイドヘルパーを頼むのも困るそうです。 ・マスクを購入するために同行援護を使おうとしても、長時間並ばなければならないため、事業所が受けてくれない。ただでさえ少ない同行援護の持ち時間をマスクを買うために使いたくない。また、同行援護をお願いするためには、マスクを着用していないとガイドヘルパーに来てもらえない。  1−2 外に出られない(2件) ・体育館で週に何度か筋トレをしていますが、その体育館が閉鎖になりました。できれば、条件を決めたり、しっかりと管理をして、衛生が保たれ、人との接触のない場合は開放してほしい。 ・デイサービスが休止となり外出の機会がなくなり、困っている仲間がいます。特に、一人暮らしの人だと、認知症等の進行を早めないのか、閉じこもりから抜け出しつつある人がまた孤立してしまう可能性があるのではないかと心配しています。 2.あはき(ヘルスキーパーを含む)  2−1 マスク・消毒用アルコールが手に入らない(12件) ・鍼灸院を営んでいるが、消毒用アルコールが入荷されない。このままでは経営できなくなってしまう。 ・治療院を営んでいる方が、マスク・消毒用アルコール不足で困っています。市に相談したところ、「大きな施設・病院等で影響が大きいところには役所からマスク・消毒用アルコールの配布をしたが、全く行き渡っておらず役所もお手上げ状態だ」と言われた。もう半月もすれば在庫なしとなる治療院がある。 ・消毒用アルコールの入手が困難です。現在はまだストックがあるが、今の状態がいつまで続くのか心配。 ・晴眼者と違い、開店前から店の前に並んでマスクや消毒用アルコールを買うこともできないので、マスクや消毒用アルコールを少しずつでもいいので回していただきたいです。 ・最初から消毒用アルコールをしみこませてある綿花はインターネットにまだあるようですが、通常価格の4〜5倍するため購入できない。 ・消毒用アルコールとマスクが一日でも早くお店に並んで手に入るようにしてほしい。 ・一般の方が必要以上に消毒用アルコールを求めていて困っています。 ・鍼灸院を経営しているが、消毒用アルコールが入手できない。薬局に入荷されないため大変困っている。 ・市内のドラッグストアや薬局を何軒回ってみても、マスクと消毒用アルコールが一切購入できない。  2−2 患者からの依頼が激減して仕事にならない(9件) ・治療院の患者数が激減しています。「濃厚接触を避ける」という文言が通院を避けさせているのだと感じています。こちらとしても、マスクの装着や手指の消毒等の対策はとっているのですが、いかんともしがたいのが現状です。また、今まで来られていた患者さん自身も収入が減って来られなくなっているのも事実かと思います。 ・現在、患者から依頼を受けても、一切、鍼の施術をすることができません。また、その他施術所内の消毒もままならず、このままでは、来院される方に体調やどのような交通機関で来たかの確認をしたり、マッサージしか業務が行えないことを伝えなくてはなりません。そのため、患者の数が減っております。 ・自宅開業ながら、客足が止まった。企業の非正規のヘルスキーパーでもあるが、自宅待機を命じられている。客観的にはやむを得ない事情ではありますが、政府が検討している事業者補償に私達のような零細事業者や非正規職員にも必ず適用されるように願いたい。 ・治療院を営んでいるがお客さんの数が激減して困っている。  2−3 訪問系の仕事ができない(3件) ・訪問マッサージをしているが、出入り禁止の施設や患者宅があり、仕事が減っている。 ・訪問マッサージの仕事は休んでいて、年金8万円で生活している。 ・昨年12月より、市内の特別養護老人ホームでマッサージ治療をしている。施設より「新型コロナウイルス感染予防のため、2月7日から3月31日までは施設へ入場しないでほしい」と言われました。この2カ月近い間、10万円収入がなくなり、公共料金を支払えない状態です。保険治療は、治療した月より3カ月か4カ月後に入金されるため、年金の支払いがない5月には収入がなくなります。老人ホームから治療の許可が出るまでの間、国から10万円ほどの緊急の支給をしていただければと願うばかりです。私の治療室に来てくださる高齢者もコロナのことで遠慮して来られなくなりました。  2−4 ヘルスキーパーに関する問題(3件) ・新型コロナウイルスの影響で、一般職員のテレワーク化が進み、職場に職員がいなくなってきている。このまま職員がいなくなるとヘルスキーパーとして会社に在中する必要性がなくなり、雇用してもらえるのかどうかが不安です。また、正社員から嘱託社員に身分変更がされるかもしれない。この点も不安です。 ・ヘルスキーパーとして入社したが、コロナ騒ぎが出て以降、マッサージの仕事が接触業務ということで、暫定的にパソコン業務に配置転換された。慣れない仕事なので、不安でしかない。 ・緊急事態宣言が発令されたことで1カ月の自宅待機となってしまった。給料も減額するとのこと。これでは生活ができない。 3.同行援護  3−1 同行援護が利用できない(10件) ・マスクを着用していないと同行援護の利用ができない。 ・コロナウイルスの関係でガイドヘルパーを派遣してもらえないケースが出てきています。 ・盲学校の学生が、一部の事業所から同行援護を断られる事例が相次いでいる様子。これは、通院等、命に係わる問題。 ・同行援護事業所が依頼を受けてくれません。精神疾患があり、薬がきれると症状が悪化する可能性があります。薬の処方量にも限界があり、月に1回は医療機関の受診が必要です。しかし、事業所から「延期するように」や「コロナが収まったら契約します」という返事しかいただけません。 ・同行援護を利用して外出する際、感染するリスクを冒してバスやタクシーへ乗車するのはかなり気に掛かります。そのため、事業所に、公共交通機関ではなく、有償、いわゆる車両を用いての外出を依頼したのですが、先方から、それはできないと拒否されました。これでは、日常の生活に関わる買い物をするのに、恐怖と隣り合わせで出掛けなくてはいけなくなります。 ・全盲のため、ガイドヘルパーに同行してもらって買い物をしていたが、ガイドヘルパーの中から感染者が出たため、事業所が閉鎖されてしまった。宅配サービスを利用しているが、この先のことを考えると、不安でいっぱいです。 ・同行援護のガイドヘルパーからコロナウイルス感染拡大を防ぐため、4月中は医療機関への受診以外、同行援護はできないと言われた。 ・同行援護と家事援助を利用している事業所に感染者が出てしまい、ここ2週間、同行援護の利用ができなくなってしまった。宅配の食事を食べているが味気ない。外出もできないので息が詰まりそうです。 3−2 事業所の経営が成り立たない(6件) ・外出の自粛要請が出ているため、いつも利用している同行援護事業所ではキャンセルが相次ぎ、このままでは経営破綻につながりかねない様子。国から補助金が出るのは、法人格の大きな施設であって、私たちが利用している小さな事業所には、補助金が出ていないと聞いた。今のところ同行援護を申し込めば応じてもらえる状況ではある。 ・イベント、コンサート等相次ぐ中止により、同行援護の依頼が激減しています。このまま長期間にわたって依頼がなくなると、事業所としても運営が厳しくなると推察します。視覚障害者の外出支援の要である同行援護事業所が倒産すると、将来的に制度の運用もままならなくなると想像します。 ・ガイドヘルパーの仕事がなくなり、生計の足しにされている方たちの収入補償が必要ではないか心配しています。今でもガイドヘルパー不足なのに、これを機にガイドヘルパーをやめてしまう人が増える等、更に人手不足になってしまうのではないかと心配しています。同行援護事業所の収入減等で事業継続が困難にならないようにしてほしい。 ・同行援護事業所の3月の売り上げはいつもの5割ぐらいしかなかった。このままでは経営の破綻が危惧される状況。視覚障害者の社会活動の自粛に関連して、通院、買い物以外の依頼はほとんどない。ガイドヘルパーからもしばらく職務を停止したいとの申し出がある。4月の催しはすべて中止、5月は縮小となった。生活訓練はマンツーマンのため、4月中は申込があっても断らざるを得ない状況です。 4.情報提供  4−1 新型コロナウイルスに関する情報提供の在り方(4件) ・感染者数等のマスコミ発表に際しては、発生した「区市町村名」までを公表するように強く要望します。 ・テレビでコロナ関係のニュースが流れても、字幕スーパーが読めないので困っている。 ・各自治体が、公共施設(図書館等)を急に休館にします。自治体は、ホームページを見てくれとの説明ですが、視覚障害者や高齢者でどれだけの方がホームページを読めるか。情報提供者側からの一方通行です。例えば、市内の掲示板に大きく掲示したり、駅に貼りだす等の工夫はできるはず。あるいは、視覚障害者団体に連絡して、会員に極力の電話連絡を依頼する。また、同行援護事業者にも伝え、機会があれば利用申し込み時に伝えてもらう。 ・感染者情報がわからない。当然のことながら、個人情報や人権への配慮から、ホームページを見ても詳しいことはわからない。また、地域で感染者がでたら、健常者には口コミで情報が伝わり、感染者が利用していたスーパーは行かないでおこう等の心づもりがそれなりにできるだろう。ただ、外出を自粛している私達にはその情報はつかめない。私は、会員に個人情報にも配慮しつつ連絡していますが、ここでも視覚障害者が情報弱者であることを思い知らされる。 5.医療機関等に対する不安  5−1 病院等での情報提供(2件) ・もしもコロナウイルスに感染してしまった場合、全盲の人は、感染症病棟に入院したり、軽症で医療機関に準ずる場所に隔離となったりすると、その場所でどのように過ごすことになるのか、関係機関やマスコミはテレビで放送していません。これでは、緊急事態に見舞われた場合、どのように対処すればいいのかが分かりません。その点についても、音声で分かる形等で、事情が分かると助かります。 ・ニュースで、コロナの軽症者はホテルに隔離されると聞いた。もし、視覚障害者がホテルに隔離された場合、しっかりとしたフォローがあるのかどうかが心配だ。このような視覚障害者には、ホテル内で様々な情報提供、移動の支援が必要だと思う。  5−2 検査機関や医療機関への移動(2件) ・自宅で開業しているかたわら、週1回隣町にある外科医院の院長先生から頼まれて、物療室でお手伝いをしています。高齢の院長先生は暇になると、物療室に来て、患者さんがトレーニングに励んでいるのに、大声で話しかけ、大声でよく笑います。問題は、コロナ問題が大きな社会問題になっているのに、マスクもしないで入って来ることです。万が一感染したらどうしようと思うと、はらはらしています。電話で愚痴を言っても仕方がないのですが、私は71歳で、夫婦とも全盲なので、感染したらどうなるか、とても不安です。もしPCR検査を受ける必要があったら、その場所までどのようにして行けばいいのでしょうか。ガイドヘルパーは使えないので、移動手段がありません。救急車かパトカーで連れていってもらうしかないのかなどと、妻と話し合っている毎日です。 ・眼科医をしていますが、新型コロナウイルス感染症対策において、視覚障害者はどのように行動すればいいのでしょうか。私の周りには、まだ感染の疑いの生じた方はいませんが、とても不安を感じています。発熱等で感染したかなと思ったとき、帰国者・接触者相談窓口に電話したとして、結果的に帰国者・接触者外来受診を指示された場合、視覚障害者はどうやって行けば良いのでしょうか。特に一人暮らしの視覚障害者はどうなるのか、とても心配です。 6.その他  6−1 盲学校の寄宿舎 土日の受け入れ(3件) ・盲学校の理療科に通っている。4月から授業が再開されると思うが、父が白血病で静養しているので、コロナウイルスの感染が心配で家に帰れない。寄宿舎は土日が休みになる。このような状況下なので、土日も宿泊できるよう県に要請したが断られてしまった。寄宿舎の土日利用を要請してもらいたい。 ・息子が盲学校の中等部に通っている。4月から授業が再開されると思うが、家で面倒をみきれないため、寄宿舎に土日も宿泊できるよう県に要請したが断られてしまった。寄宿舎の土日利用を要請してもらいたい。 6−2 障害者福祉施設の運営(1件) ・この度のコロナウイルスの感染予防のために、市の助成により運営する自立支援センターを3月1日から約3週間閉鎖しました。本来なら3月いっぱい閉じたいと思っていたのですが、3週間以上閉鎖すると令和2年度の助成額が減額になると言われ、3週間で開始することになりました。国では閉鎖に協力するようにと言いながら、市の担当者から減額のことを言われるのは納得できないです。