厚生労働省 令和元年度障害者総合福祉推進事業 「地域における視覚障害者への代筆・代読支援に向けた調査研究」報告書 抜粋資料(社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 2020年3月) 資料A 代筆・代読支援 支援の様子 【資料について】 ・報告書で紹介をした代筆・代読支援の実演内容を、本報告書用に編集した上で掲載する。 ・●は、自治体名や個人名等が記載されている箇所になる。 【会話における記載内容について】 ・漢字の読み仮名の確認等があった部分     ・読み仮名を「( )」の中に記載した。 ・会話の中で笑い声になった部分     ・会話の最後に「(笑)」と記載した。 ・相手に問いかけをしている部分     ・会話の最後に「?」と記載した。 ・会話に詰まったり、途中で会話が遮られた部分     ・「・・・」と記載した。 ・内容を一部省略した部分     ・「〜省略〜」と記載した。 ・動作に関する説明     ・【 】の中に記載した。 1 郵便で届いたチラシを読む <約10分> (ヘルパー)  本日、代筆・代読をさせていただきます、ヘルパーの●●と申します。本日はよろしくお願いします。 (利用者)  こちらこそ、よろしくお願いします。早速、この封筒の中を読んでいただけませんか。 (ヘルパー)  分かりました。一つ目は、封筒に「●●●市社会福祉協議会」と書いてあります。これはお開けしてよろしいでしょうか。 (利用者)  社協からの郵便でしたか。では、お願いします。 (ヘルパー)  はい、開けさせていただきます。  中には、A4の用紙が入っていて、両面に印刷されています。催しのご案内のようです。では、表面から読まさせていただきます。  まず、「●●●市社会福祉協議会 第7回 健康と福祉のつどい」と書いてあります。右側には、イメージキャラクターの「にちまる君」が描いてあります。四角いロボットのような姿で、ほっぺは赤くて可愛いです。そして「みんなのまちで安心して暮らし続けるために」という表題があり、日時が令和2年2月28日・・・ (利用者)  2月28日ですか? (ヘルパー)  はい、そうです。2月28日の金曜日です。  そして、時間が9時40分からになっております。会場が●●●市民プラザ、弥生会館の3階となっています。入場は無料です。  そして、次の段には「講演@」とあって、会場はホールで、10時から11時30分まで「イキイキ体操で健康寿命を延ばそう」という講演があるそうです。「講演@」は定員200名で、講演のタイトルの下には「明るい毎日を送るための体作り」と書いてあり、右側に講師の先生のお写真があります。 (利用者)  健康は大切だね(笑) (ヘルパー)  そうですね、大切ですよ(笑)  そして、先生のお名前は・・・これはなんて読むんでしょう、なんとかが丘病院・・・ (利用者)  鶯が丘(うぐいすがおか)? (ヘルパー)  あっ、鶯が丘(うぐいすがおか)です。失礼しました。  そして、お話をして下さるのは、鶯が丘病院リハビリテーション所長の●村●平先生です。理学療法士だそうです。 (利用者)  ありがとうございます。大切な部分は点字でメモさせてもらいますね。 (ヘルパー)  どうぞ、メモが必要な部分があれば、聞き返してくださいね。  そして、その下には「講演A」として、会場はホールで、14時30分から15時30分まで「健康のための資産活用」という講演があるそうです。講師は・・・ (利用者)  資産活用?(笑)  健康のためには資産は必要なんだろうな・・・どんな話をするんだろう? (ヘルパー)  参加者には「暮らしの便利帳」をプレゼント!と書いてあります。それ以外は書いてないので、ちょっと分かりません。ただ、資産活用は大切なんでしょうね(笑)  そして、お話をいただく方のお名前は、ABCファイナンシャル営業部の●縣●子(●がた●こ)様だそうです。  この下の左側には「ホール」と書いてあって、全体の予定が書いてあります。9時15分から15時30分の間に、色々な催しがあるようです。  〜省略〜  そして、14時から14時30分が「フラダンス」で、14時30分から15時30分が「講演A」です。先ほどの資産活用ですね。 (利用者)  なるほど・・・ (ヘルパー)  そして、この右隣には「D棟」と書いてあって、12時から15時30分の間に、健康相談や血管年齢測定、骨健康測定・・・ (利用者)  これは興味あるから点字でメモらせてね。 (ヘルパー)  はい、分かりました。では、この部分は詳しく読みましょうか。 (利用者)  お願いします。 (ヘルパー)  D棟では、12時から15時30分で、健康相談、血管年齢測定、骨健康測定、頭の元気度測定があります。血管と骨健康は先着70名、頭の元気度は先着30名と書いてあります。  そして、9時15分から受付で整理券を配布すると書いてあります。この部分は、イメージキャラクターの「にちまる君」が元気に踊りながらコメントしています(笑) (利用者)  ありがとう。これは行きたいから、朝早くに出かけないといけないね。 (ヘルパー)  はい、そうですね。そして、一番下には、主催のことが書いてあり、●●●市社会福祉協議会のことが書いてあります。お問合せ先や電話番号が書いてあります。 (利用者)  その部分は大丈夫です。社協の番号は知っています。 (ヘルパー)  分かりました。ここまでが表面です。裏面は、会場の市民プラザの案内図が書いてあります。 (利用者)  そこは読まなくても大丈夫ですね。市民プラザは行ったことがありますから分かります。 (ヘルパー)  分かりました。では、このチラシはここまでになります。 (利用者)  ありがとうございました。このチラシは、これで大丈夫です。では、次の書類をお願いします・・・ 2 申込書を読みながら記入 <約10分> (ヘルパー)  次は市役所さんの書類で、「●●●市 視覚障害者向け代筆・代読サービス 利用申請書」と書いてあります。どうやら、代筆・代読支援や同行援護等の申込に関する書類のようです。 (利用者)  これは私たちにとっては必要なものだからね・・・ただ、この書類は毎年読んでもらったり、書いてもらったりするのが大変なんですよ。申し訳ないけど、内容を読んでもらいながら、必要なところは記入してもらってもいいですか? (ヘルパー)  はい、大丈夫ですよ。では、読み始めますね。  まず、最初に、申請者のお名前や生年月日、住所と電話番号等の個人情報が既に印刷されています。個人情報なので、お間違えがないか、確認していただいてよろしいでしょうか。 (利用者)  はい、お願いします。読んでいただいて大丈夫です。 (ヘルパー)  では、読みますね。●山三郎、昭和23年1月16日生まれ。間違えないですか。 (利用者)  はい、大丈夫です。間違えないです。 (ヘルパー)  ありがとうございます。この下には、住所や電話番号、障害支援区分が印刷されています。順番に読んでいきますね。 (利用者)  はい、ここは詳しく、ゆっくりと読み上げてください。 (ヘルパー)  分かりました・・・  〜省略〜 (ヘルパー)  印刷されている内容は以上です。 (利用者)  ありがとうございました。私の内容が間違えなく記入されていました。 (ヘルパー)  そして、この下には「申込内容」とあり、希望するサービスにチェックを入れる箇所になります。内容は「代筆・代読支援」「同行援護」「居宅介護」「対面朗読」「その他」となっています。最後の「その他」は、その内容を記入する場所もあります。  今回は、どの内容にチェックを入れますか。 (利用者)  これは、代筆・代読に関するものだから、「代筆・代読支援」に記入をお願いします。同行援護も頼んでいるけど、これは他の申請書で書いた記憶があります。 (ヘルパー)  分かりました。では「代筆・代読支援」の左にあるチェックボックスにレ点を記入しますね。  もし、同行援護のことが不安であれば、市役所の担当の方に確認してくださいね。  そして、この下には「上記内容を申請いたします。」と書いてあって、記入欄があります。 (利用者)  あっ、たぶん、認めの名前等を書いて、印鑑を押すところですよね? (ヘルパー)  はい、そうです。では、読みながら必要な場所には記入させていただきますね。まず、記入日を書くところです。ここは今日の日付を書いてもよろしいでしょうか? (利用者)  はい、お願いします。 (ヘルパー)  では、書きますね・・・次は、名前の記入になっています。ここはお名前を書いてもよろしいでしょうか。 (利用者)  はい、お願いします。 (ヘルパー)  では、お名前を書きますね。●の「●」、富士山の「山」、漢数字の「三」、太郎や次郎の「郎」です。「郎」は右側が月ではなく、おおざとの方でよろしいでしょうか。 (利用者)  はい、そうです。 (ヘルパー)  では、書きます・・・次に印鑑です。印鑑をお借りできますか? (利用者)  はい、では、この印鑑でお願いします。 【利用者:印鑑を手渡してヘルパーの方に差し出す】 【ヘルパー:利用者の印鑑を受け取る】 (ヘルパー)  ありがとうございます。では、押しますね。  はい、押しました。印鑑をお返しします。手を失礼します。 【ヘルパー:利用者の手に印鑑を置くように渡す】 【利用者:印鑑を受け取ったことを確認する】 (利用者)  ありがとうございます。印鑑を受け取りましたよ。  では、次をお願いします。 (ヘルパー)  次は、個人番号を記入する欄があります。ここは私ではちょっと書けません。 (利用者)  はい、そうですよね。分かっています。書類を持っていった時に役所の方に書いてもらうか、子供が近々帰ってくる日があるので、その時にでも書いてもらいます。 (ヘルパー)  ありがとうございます。  では、これで以上です。残りの必要な部分を書いていただければ、市役所に提出できると思います。 (利用者)  ありがとうございます。大変助かりました。 (ヘルパー)  では、大切な書類なので、封筒にいれてお返ししますね。 【ヘルパー:封筒に入れて、利用者の手に渡す】 【利用者:封筒を受け取る】 (利用者)  確かに受け取りました。これは大切な書類だから、封筒に点字でメモをしておこう。大変助かりました。