113ページ 第11章 生活支援用具・共用品 114ページ 第1節 日常生活用具・補装具 1.現状  視覚障害者にとっての補装具は白杖、義眼、弱視眼鏡の3種であり、日常生活用具は全国の市町村において、ある程度共通した品目が指定されているが、地域間格差は広がる傾向にある。また、補装具や日常生活用具の指定価格(基準額)は実態と合わなくなっている。 2.到達目標  日常生活用具の地域間格差をなくすこと。視覚障害者の生活実態やニーズに即した日常生活用具が指定され、不合理な給付要件を撤廃させること。 3.具体的方策 (1)短期  @ 本連合が実施している補装具・日常生活用具研修会を全国で定期的に開催し、自治体職員、業者及び当事者が正しい認識を持つようにする。  A 補装具・日常生活用具の購入相談や、それらの用具の使用方法の相談に特化した相談窓口の設置を目指す。 (2)長期  @ 日常生活用具の品目や支給要件の地域間格差を是正するための仕組みを作る。  A 補装具・日常生活用具の価格の改定、耐用年数の短縮、OA機器のバージョンアップに伴う再支給などを求め、実態に即した制度に改定させる。  B 補装具と日常生活用具の峻別の見直しを求め、区別をなくし、全国共通の補助機器(福祉用具)制度とする。 115ページ 第2節 一般商品のユニバーサルデザイン 1.現状  1993年(平成5年)より、視覚障害者の日常生活における不便さ調査が共用品推進機構などで行われ、その調査で明らかになった課題は、視覚障害当事者、業界団体、研究機関などが連携し、一般製品を視覚障害者が使えるようにするため、34種類の日本工業規格(JIS)が作られた。その結果、家電製品、情報機器、設備機器、移動機器、文具、玩具、その他の製品をはじめ、各種パッケージなどは、視覚障害者でも利用しやすいものが増えてきた。  しかし、共用品になったのはまだ一部の製品やパッケージに限られている。また、開発された共用品の情報が、視覚障害者に届かず、その結果、需要があるにも関わらず、廃版になったり、次のバージョンで視覚障害者への工夫がなくなっているケースがある。 2.到達目標  日常生活、非日常生活、緊急時などあらゆる場面で使用する製品や設備機器の全てが、初めから視覚障害者が使用・利用できる共用品になること。さらに、その製品情報を視覚障害者が容易に入手できる状況になっていること。 3.具体的方策 (1)短期  @ 情報入手    それぞれの共用品が、視覚障害者のためにどのような工夫がされているかを、アクセシビリティに考慮された共用品データベースで検索できるようにする。共用品データベースと並行して、実際の共用品を身近で触って確認できるように身近な場所での展示会を全国キャラバンのような形で、日盲連加盟団体、視覚特別支援学校、各地のイベント並びに共用品推進機構などと連携して行う。  A 製品開発    民間や公的機関が新製品並びに改良を行う場合、効率良く、かつ、的確にアドバイスを行える仕組みを構築する。製品などに対するニーズを常時受け付ける仕組みを設け、適宜、関係する企業、業界団体、公的機関に伝え、民間及び公的機関に改善を促す。  B 表彰制度    視覚障害者が使える共用品が継続して供給されるために、視覚障害者のニーズに適合している製品や設備機器に対して、表彰する仕組みを本連合内に設ける。 (2)長期  @ 後追いから先回りへ    今までは、販売された製品などに対して、使いづらいと指摘する流れであったが、初めから視覚障害者が使える製品になっているようにする仕組みを構築する。そのためには、共用品関連の日本工業規格(JIS)などを使って、民間・公的機関が共用品を作りやすくするためのガイドラインを作成する。さらに、アドバイス機関も設置して、予め新しい製品が共用品になっており、その情報が視覚障害者に的確に届く仕組みを構築する。 4.課題  @ 他の障害当事者団体との連携。  A 多くの業界団体との連携。  B 他国の共用品情報機関との連携。  C 各種仕組みの実施と継続。