19条連絡会ニュース 5 発行日:2018年12月21日 発 行:あん摩師等法19条連絡会     〒169-8664 東京都新宿区西早稲田2-18-2 日本盲人福祉センター内     電話:03-3200-0011(代表) FAX:03-3200-7755 発行責任者:竹下義樹 (幹事会の開催後に発行) ─────────────────────────────────────────────────── ─────────────────────────────────────────────────── あん摩師等法19条は視覚障害者のためだけのものか     あん摩師等法19条連絡会 会長 竹下義樹(たけした・よしき)    あん摩師等法19条が1964年に追加されてから今日まで、晴眼者のためのあん摩マッサージ指圧師養成課程の新増設は厳しく制限されてきました。その結果、中部地方の養成施設において、課程変更に伴うあん摩マッサージ指圧師課程の増員がわずかに1件だけ認められただけです。しかし、1964年までに設置されたあん摩マッサージ指圧師養成課程から輩出される晴眼者の数は毎年1,200名以上であり、あん摩マッサージ指圧師免許保有者は増え続けています。その結果、今日においては、あん摩マッサージ指圧師の免許保有者数は約116,000名となり、そのうちに占める視覚障害あん摩マッサージ指圧師は22.9%にまで低下しています。 あん摩師等法19条によってあん摩マッサージ指圧師養成課程の新増設がこれだけ厳しく規制されていても、以上のような状況であることをふまえれば、同条に基づく規制が存在せず、あるいは緩和されていれば、とんでもない数のあん摩マッサージ指圧師が増えていたことになります。そのことは、視覚障害者にとって極めて厳しい状況を作り出すことになることは火を見るより明らかですが、業界にとって、そして国民にとっても好ましい結果とは言えないのではないでしょうか。柔道整復師やはり師・きゅう師の養成課程が急増したことによってもたらされた現実は、養成施設の経営の不安定化を招き、輩出される卒業生の資質の低下をもたらしました。そして、過当競争の中で不正行為が跋扈する事態を招いていることはご承知のとおりです。それだけにあん摩師等法19条は、視覚障害者の業権擁護にとどまらず、あん摩マッサージ指圧師そのものの粗製濫造を抑え、望ましい業界の有り様を維持することにも役立っているのではないでしょうか。 私たちは、そうした事実をも認識し、平成医療学園が自己の利益のみを考え、視覚障害あん摩マッサージ指圧師を窮地に追い込むだけでなく、業界全体の発展をも顧みない訴訟提起に断固として戦い続けなければなりません。裁判は長期化していますが、視覚障害関係者だけでなく業界とも連携しながら、今後も粘り強い運動を続けていきましょう。 ────────────────────────────────────────────────  ■ 連絡会第11回幹事会議事録 ■ ──────────────────────────────────────────────── 日時:平成30年10月13日(土) 10時30分〜12時30分 場所:日本盲人福祉センター 研修室 1 出席者の確認 出席者(敬称略) 日盲連 竹下、小川、逢坂、三宅、小柴 日マ会 野本 理教連 栗原、本田、杉本 全視協 稲垣、田中、東郷、生田目 東北協議会 高橋(代行) 関東協議会 鈴木 近畿協議会 辰巳 欠席者(敬称略) 日盲連   伊藤、木村 日マ会   安田、高橋 全鍼師会  仲澤 東北協議会 及川 2.竹下会長挨拶 平成医療学園が、教員養成課程の新設を求める申請を提出し、医道審議会として書面のみで審議を行い、不適切との決定を行った。今後の動きに注意を払う必要がある。この間、竹下会長が厚生労働省と行った懇談では、原告の主張を出し尽くさせ、論点を拡大せずに審議を進める方針ではないかと予想。経過を見守る。 3.議題 (1)新たな情勢について 次回口頭弁論で原告は、藤井論文に対する反論を行う予定。 前回の口頭弁論で原告は、晴眼者のためのあんま過程で昭和57年に増員されている施設があると主張。次回以降、原告側の主張がどのように展開されるか見極める必要がある。 (2)各団体の取り組みについて 理教連:カンパ・要請はがき(65  0枚)を継続。 全視協:カンパ・葉書2200枚。署名の集約鈍化傾向。 日マ会:晴眼者会員に19条の必要性を理解してもらえるよう努力しているが、現状は難しい部分もある。 日盲連:署名・はがき活動は継続。  各ブロックでの集会や女性協議会での大会で、募金の上積みがある。 全鍼師会:10月13日に鹿児島で大会があり、19条問題についての分科会が開かれる。 (3)各ブロックの動き 東北ブロック:9月27日に行われた口頭弁論には、95名が参加。独自の取り組みとして点字署名2000枚を作成。裁判所の記者クラブで、朝日新聞・共同   通信の記者へ裁判の経過を説明した。 関東ブロック:毎回120名前後の傍聴者はいるが、北関東からの参加者が少ない。11月11日の決起集会に向け、650名の動員目標達成目指す。点字署名に取り組むことを検討中。 近畿ブロック:8月22日の口頭弁論の際、927筆の署名を提出。同日、大阪地裁前の路上で街頭ビラまき300枚を実施。11月11日の決起集会実行委員会を行い、資金援助なければ決起集会の運営が厳しい。 全体として動きが鈍化しつつあり、他団体へ理解を広げる必要性が出てきている。カンパを集める、士気を高める意味でも街頭宣伝を検討してもよいのではないか。 (4)集会の実施について 11月11日(日)、総決起集会(東北・東京・近畿)の進捗報告、今後の方針や役割分担、集会スローガン、アピール文を決定した。 スローガン→4種類 ・守れ、あんま師等法19条 ・奪うな、視覚障害者の職業的自律と生存権 ・実現しよう、視覚障害者の真の職業選択の自由 ・勝ち取ろう、19条訴訟における国の勝訴 東京ブロック:TKPシルク新宿において14時から15時30分まで行う。10月3日に行ったTKP新宿を下見した報告がなされ、500名分の座席を準備し、それ以上は立ち見での対応となるとのこと。 横断幕・マイク・テーブル・椅子などで80万円程度、総額90万円程度を見込む。 ※記者会見について 厚生労働省記者クラブにおいての会見を11月11日の1週間程度前に実施し、19条裁判、総決起集会の宣伝を行う。アピール文を活かし、文科省・厚労省・法務省へ働きかけることも検討する。 仙台ブロック:TKPアパホテル(エトワール)にて、13時30分から2時間程度行う。 収容人数300名、予算25万円程度を見込んでおり、入場料を500円とする。10月21日に仙台駅前、TKPホテル前で3000枚のびらを配る。 近畿ブロック:収容人数600名(座席300席)の区民センターを使用し、13時30分から16時で実施予定。(受付開始13時) 2部構成で、1部はイベント(原田義男)、2部は応援メッセージ、基調報告、各団体活動報告、アピール文採択などを計画している。 予算15万円を見込んでいるが、13万円不足している。 朝日新聞・点字毎日が、当日取材に訪れる。 アピール文・基調報告については、日盲連で作成し、必要な部数を各組織へ配る。 東北・近畿へ各15万円(日盲連10万・日マ会・理教連・全鍼師会・全視協5万円)、計30万円拠出する。 (5)啓発活動について 16団体への集会に関する呼びかけは即時行い、集会の内容を含めたニュースを11月下旬に発行する。 (6)その他 ※次回幹事会 2019年1月12日(土) 10:30〜 日本盲人福祉センター ────────────────────────────────────────────────── ■ あん摩師等法19条を守る決起集会開催報告 ■ ────────────────────────────────────────────────── あん摩師等法19条を守る決起集会東京大会開催報告 昨日は決起集会にご協力いただきありがとうございました。  また、役員として会場内での運営にご協力いただいた方並びに新宿駅でチラシの配布にご協力いただいたみなさんにお礼申しあげます。  チラシは500部を短時間で配布することができました。 報道関係者も朝日新聞、点字毎日などが取材していました。  各団体のご協力により、会場座席数500人でしたが、465名が参加していました。   以下当日の次第です。 日時:平成30年11月11日(日)  14時〜15時30分 会場:TKP新宿8階 「シルクホール」 次第: 1 開会のことば 日本あん摩マッサージ指圧師会 安田会長 2 主催者挨拶 あん摩師等法19条関東協議会 鈴木会長 3 参加団体(来賓)挨拶 全日本視覚障害者協議会 田中会長 4 基調報告 日本盲人会連合 竹下会長 5 指定発言 6 応援メッセージ披露 7 アピール文採択 日本理療科教員連盟 原田 8 閉会の言葉 全日本視覚障害者協議会 正岡 あん摩師等法19条を守る決起集会大阪大会報告 あん摩師等法19条を守る決起集会大阪大会が11月11日(日)に、大阪市西区民センター大ホールにて開催された。  集会には約150名が参集し、最初に近畿19条問題対策協議会代表の辰巳寿啓から大会の挨拶が行われた。続いて19条連絡会竹下会長の応援メッセージが流された後、岡田康平弁護士によるこれまでの裁判の経過と基調報告が行われた。次に日盲連、全視協、理教連、日マ会の各代表からあん摩師等法19条を守る決意表明がなされた。  最後に、視覚障害者のあん摩マッサージ指圧師を通した社会参加と経済的自立を確保するためのアピールが参加者全員の拍手により採択されて閉会した。 あん摩師等法19条を守る全国決起集会― 仙台大会 ―報告 去る11月11日仙台のTKPアパホテル仙台駅北において、参加者・来賓・ボランティアを含めて約270名が参集しました。 大会スローガンとして、 共有しよう 視覚障害者の現状 学び合おう 先人たちの智恵 目指そう  差別なき社会 絶対守ろう あはき等法19条  開会行事では、及川協議会長の挨拶があり、スローガンにあるように先人たちが守り抜いてきたマッサージを未来の視覚障害者の自立と文化を守るため、戦い続けることが力強く述べられました。  来賓の挨拶として赤門鍼灸柔整専門学校の坂本校長より晴眼養成学校の現状報告がなされ、共にあはき等法19条を守るという意志が示されました。  また、日マ会の笹原副会長、盲導犬訓練センター・山形と仙台のフォーラムの代表の方のメッセージと紹介がありました。  大会では、大胡田弁護士の裁判に関する基調報告の後、視覚障害者の演奏グループSMILE座(すみれざ)がピアノとフルートの心あらわれる素晴らしい響きを聞かせてくれました。  体験発表では、北三県から南舘さん、南三県から伊藤さんのあんまコンテストの経験・温泉あん摩から老人施設での経験を話されました。応援メッセージとして山形の視覚障害児のお母さんが話される予定でしたが、一身上の都合により欠席となり、代読という形で伝えられました。  もう一人あはき問題で視覚障害者と連帯する市民の会やまがたの会長松井さんから視覚障害者の自立のためあはきを一緒に守っていきましょうというメッセージがありました。  宮城盲学校のブラスバンド部のOBが結成した仙台ガブリエリブラスの力強いそして、巧みなハーモニーの金管アンサンブルは、会場全体を包み、勇気と希望を与えてくれる響きでした。  千葉義信さんの力強いアピール文の朗読の後、武藤実行委員長の謝辞があり、 福島の阿曽会長のがんばろうコールで会は終了となりました。  駅から会場、会場内の誘導等ボランティアの方々の協力と支援により、無事に二時間半に及ぶ熱のこもった大会を閉じることができました。  皆様本当にありがとうございました。 ────────────────────────────────────────────────── ■ あん摩師等法19条を守る決起集会参加報告 ■ ────────────────────────────────────────────────── 11.11 決起集会に参加して 全日本視覚障害者協議会 生田目和美(なばため・かずみ)   様々な登壇者の発言を聞きながら、改めて自らのことを振り返ってみた。  26歳で網膜色素変性症と診断されたことをきっかけに運転を諦め、徒歩で生活できる街中へアパートを借り、30歳で雑誌や参考書、携帯電話などの文字が一切読めなくなった。 落ち込みはしたが生活費を捻出するためハローワークへ就労の相談をした結果、 マッサージの国家資格を持っていない、点字が読めない、パソコンが操作できない視覚障害者への求人はないときっぱり断られた。 これが現実かと憤りを感じながらも、紹介された国立塩原視力障害センターで様々な制度、白杖を使用しながらの歩行、音声パソコンや点字、そしてあん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師国家資格の取得を目指して勉学に励むこととなった。 これが私とマッサージの出会いであり、視覚障害者として生きていく覚悟を持つことができるようになったのもこのころである。 そして今、私が視覚障害者として生きてゆく原点となったマッサージをめぐる裁判が行われ、「全国の視覚障害者は1つ」、「あはきのバトンをつなぐ」との想いを胸に、あん摩師等法19条を死守するという強い決意が込められた素晴らしい決起集会が開催された。  今後の課題として、過去の私自身のように視覚障害に対する制度や支援機器などについて無知、あるいは無関心な方々へ「視覚障害者が行うマッサージの意義」を的確に伝える努力も合わせて行う必要があるだろう。  集会成功に携わった多くの皆様、本当にお疲れ様でした。 「あん摩師等法19条を守る決起集会に思う」          公益社団法人 日本あん摩マッサージ指圧師会                   会長 安田 和正(やすだ・かずまさ)   あん摩師等法19条裁判における総決起集会が、仙台、東京、大阪の裁判所管内で行われたこのイベントは、3地区で一千名を超える集会となり一応の成果はあったように思う。  然しながら課題は山積みである。  折角、全国的に行われるものであれば、もっと横の連絡を密にする必要があったのではないだろうか。地域性を出すことも大事だと思うが、なにかしらしっくりこなかったのは私だけだろうか。  一番気になるのが、今度の裁判に対して視覚障害者あはき師の関心度がどの程度あるのか。  裁判が始まって二年。裁判傍聴、署名活動、陳情ハガキ、募金活動と内容はしっかりとしたものです。数字的なものも一応の成果をあげているが、全体的な関心度はと言うと地域性のばらつきが多く、この運動の難しさを如実にあらわしている。  ともあれ裁判は長期化する様相になっている。国民を、マスコミをもっと味方につけなければ…。 みなさん、もう一度よく考えていきましょう。 ─────────────────────────────────────────────────── ■ あん摩師等法19条を守る決起集会実施結果 ■ ─────────────────────────────────────────────────── 期  日  9月16日(日) 場  所 山口県下関市 開催形式 中国ブロック大会の中で実施。 参加者数 250名 期  日  9月29日(土) 場  所 福岡県久留米市 開催形式 九盲連 あはき研修会の中で実施。 参加者数 72名 期  日 11月11日(日) 場  所 東京(TKP新宿シルクホール) 開催形式 単独開催。 参加者数 465名 期  日 11月11日(日) 場  所 大阪市(大阪市西区民会館大ホール) 開催形式 単独開催。 参加者数 150名 期  日 11月11日(日) 場  所 宮城県仙台市(TKPアパホテル仙台駅北) 開催形式 単独開催。 参加者数 270名 期  日 11月11日(日) 場  所 北海道札幌市(札幌市身体障害者福祉センター3階) 開催形式 単独開催。 参加者数 50名 期  日 11月11日(日) 場  所 愛媛県松山市(愛媛県視聴覚福祉センター) 開催形式 単独開催。 参加者数 236名 期  日 11月11日(日) 場  所 徳島県徳島市(徳島県立障がい者交流プラザ3階研修室) 開催形式 単独開催。 参加者数 100名 期  日 11月18日(日) 場  所 香川県高松市(香川県社会福祉総合センターコミュニティーホール) 開催形式 平成30年度文化祭の中で実施。 参加者数 65名 期  日 11月18日(日) 場  所 高知県高知市(こだかさ更正センター第1研修室) 開催形式 県理事会にあわせて実施 参加者数 10名 期  日 11月24日(土) 場  所 新潟県新潟市(新潟アートホール) 開催形式 北信越ブロック大会の中で実施。 参加者数 120名 期  日 12月 2日(日) 場  所 愛知県名古屋市(ナディアパーク・デザインセンタービル) 開催形式 東海地区三療研修会に合わせて実施。 参加者数 約40名 【まとめ】  平成30年6月30日、第9回幹事会において、本裁判が大詰めを迎えていることを踏まえ、全国規模での決起集会の開催を決議し、同年9月16日(日)から12月2日(日)にかけて12会場で開催され、総参加者数は1828名であった。  決起集会に合わせて、市民へのアピール文や集会スローガンの配布、ビラ配り、署名活動などが実施された。